対決女神4
光が溢れた。
セイバーから迸る赤き光の奔流がギルティバスターによる一撃で動けない女神に襲いかかる。
威力がさらに強化された奔流に、彼女は何も出来はしなかった。
ただただパニック状態で迫る光を見つめている。
「あり得ない。なんでっ!? この程度の力、打ち消せない訳が。私の力が、思った以上に減ってる? どうして、あいつらに渡した力はそこまで……あ、ま、まさか。まさかまさかまさかっ、あの男……ああ、不幸だわ。なんであんなのが混じっていたのよっ。不幸過ぎる。なんでこんな、このタイミングで、この不幸は……ふ、こう?」
眼前に迫る赤い光に、女神はついに気付いた。
「あいつか……アイツのせいかっ!? まだ私の邪魔を、アンゴルモアァァァァァァァァ――――ッ」
赤い光が女神を包む。
慟哭にも似た悲鳴のような怒号が、光に呑まれ消えていく。
赤い光が闇を拭き散らすように、俺の視界を染めていく。
光が止まるまで、ただ正義の為に力を使い、再び闇が戻ってきた時、全身から抜けた力にふぅっと息を吐く。
正義……か。俺はその器じゃなかった。
きっと、最初のアルバイト感覚であればこんな正義はなかっただろう。だけど、俺は最初に闘った存在が悪かったんだ。
怪人、フィエステリア。あいつと闘った事で、あいつが英雄みたいに振る舞った事で、俺はあいつにだけは負けたくないと思ってしまった。それが俺にとっての正義になってしまっていたんだ。
ただ、あいつより正義でありたい。人助けも怪人を倒すのも、悪に負けない事すらも、俺にとってはどうでもいい事になっていた。俺の支柱はすでに、怪人フィエステリアより英雄であること。そのことだけが俺の正義になってたんだ。
そりゃ、正義力なんて発揮されないよな。一番認めたくない事実が俺にとっての正義だったんだから。
既に女神が作りだした個室は崩壊したらしく、俺の側に女神マロンが近づいて来た。
虚空に浮かぶ女神には六人の神々が。あいつ、今の必殺受けて生きてやがるのか。
へぇ、わざわざ視認出来る姿を出して来てるのか。こうして見ると多少変わっているが人間と変わらない状態の奴がそれなりにいるな。
「おつかれぃ誠っち」
「勝った。ってことでいいのか?」
「そうなるかな。これであいつは裁判所に連れてかれてそこにいる裁判長たちの判決を受けるんだにゃぁ。とりあえずあちしと一緒で女神としての能力は封印、あとどんな罪が下されるかは判決しだいかな」
気絶しただけらしい女神を捕縛して連れ去る五人の神々。
残ったのはグレイ型の銀肌の生物。メガネを掛けたそいつは俺の側へと寄って来るとやぁ。と手をあげた。
「君の御蔭で女神は倒せたらしいね。これで君も神殺しだ。おそらくだけど武藤君と同様、地球にいは居られなくなると思う。もしも良ければ私の世界に来て貰ってもいいが?」
「いや、武藤の居る世界にやっかいになるよ。萌葱もきっと、そうするだろうし」
「あー、それはないと思うぞえグーレイさん」
「ん? なぜかな?」
「薬藻っちは地球で神様倒した訳だけど、誠っちは女神の世界で女神を倒した訳ですわ。この世界には来れなくなる代わりに地球は問題ナッシンですわ」
「ああ、そういえばそうか。なら地球に戻って貰うことにしようか」
そうか。地球に……戻れるのか。
あれ、おかしいな。スーツを着たままなのに、目の前が滲んでる気が……
思わず目元を拭う。でもスーツは全く滲むような液体は掛かっていなかった。
「さて、後はあの後始末をどうすっか……」
「女神の人形か……同じ女神としてあなた何とかできません?」
「女神の力封印されてるっちゅーねん。どうしろと? とりあえず人形共自壊しろや! とか言ってみたらなんとかならない?」
マロンがふざけてそんなことを告げた瞬間だった。
ただただ空しく点灯していたモニターに異変が起こった。
ディアリッチオ人形達がダメージを喰らっても居ないのに自爆を始めたのである。
「あ、あらら?」
「ふむ。多分この元個室空間で指示を送っていたのでしょうね。女神という事実があれば操れるということですか」
「んなご都合主義な……」
「あるいは、女神の気絶と共に自壊するようにされていたか。ともかく、これでこの世界も救われそうですね。この後は誰が管理するか、意見が別れそうですが」
なんとか、女神の企みは全て破壊出来たってことでいいのかね?
俺は思わず息を吐く。
「んじゃ、この世界に送ってあげるわ。大団円は必要っしょ?」
「大団円になりますかね? 一部が人生の危機に瀕してるようですが」
「潰れヒョットコはどうでもいいのよ。何度刺されても生き返ってるんだから」
「あいつマジ怪人だな。なんであの容姿で女性を侍らせられるんだよ。チキサニと稀良螺がオトされてんじゃねーか」
なんか、納得いかない気分なのはなぜだろうな? 寝取られたつもりはないんだが。あのオプケ娘が武藤の奴に寄り添ってるの見るとこう、イラッとくるな。




