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外伝・VS災厄のキマイラ3

致死之痛撃アゴニー・アグレシオン


 アルティメイトキマイラの悲鳴が轟く。

 女神に見せないように使ってはいるが、聖剣の使いどころはかなり慎重にならざるを得ない。

 黒い聖剣で繰り出されると誤認させられれば儲けものなのだが、流石に相手が女神という事も合って不安は尽きない。


「GARァッ!」


「っ!? いけないっ。皆端に避けて!」


 咄嗟に回避する。

 アルティメイトキマイラの山羊の口から破壊光線が放たれた。

 慌てて背後のメンバーを見るが、なんとか全員無事らしい。

 危なかった。今の一撃、下手すれば纏めて消し飛ばされていてもおかしくない。


暴力的な闇ゲ・ヴァルトザーム・ドゥンケル


 危険な物は先に排除する。

 若萌は山羊の頭を切り裂く。

 どさりと落下する山羊の頭。

 ライオン頭が怒り狂ったように咆え猛け、ファイアブレスが周囲に撒き散らされる。


 ばさり、蝙蝠羽をはためかせ、アルティメイトキマイラが空を飛ぶ。

 慌てて羽を切り裂こうとするが、鶏の頭が煙幕のようにポイズンブレスを吐き散らす。

 一応、闇の靄で動きは阻害したが、それでもレベル差の有り過ぎる人族たちが避け切るのはギリギリだった。

 周囲を吹き飛ばしながら空を特攻するアルティメイトキマイラ。

 風圧に撒かれて壁に激突した若萌は大きく呻きながらも回復魔法を掛ける。

 今、ここで出し惜しみをしてはいけない。流石に奥の手だけは切り過ぎることはできないが、もう一つ、二つ切らざるをえないかもしれない。


「烈空刃!」


 ダメだ。

 この世界で手に入れたスキルではアルティメイトキマイラを押さえきれない。

 壁に激突したアルティメイトキマイラは旋回して若萌に怒りを向ける。

 幸いなのは自分に意識が行っていることだ。他のメンバーにこいつの敵意が向えば、確実に人死にが出てしまう。


「嬢ちゃんッ」


「来ないでッ!」


 ギーレンはお人良し過ぎる。

 死の可能性しかないのに果敢にも若萌を助けようとして駆けだしかけていた。

 慌てて叫びながら若萌は体勢を整える。

 やはり、片方の剣で相対するのは流石にキツイ。

 残念だが、ここでセレスティアルフェザーも見せなければならないらしい。


 迫るアルティメイトキマイラ。

 若萌に避ける場所は無く、その暇すらもない。

 やきもきするギーレンたちが駆け付けたそうにしていたが、ソレを押し留め、先程まで隠しながら使っていた聖剣をアイテムボックスから取りだす。


希望の光の盾リヒト・ブリック・シルト


 聖剣を地面に突き立てる。

 現れるのは光の盾。

 若萌の前方に展開された半透明の巨大な盾に、突撃して来たアルティメイトキマイラが追突する。

 物凄い衝撃音が轟いた。


「GAAAAAAAAAAAッ!?」


 山羊の首が有った場所から血飛沫を飛び散らせながら仰け反り絶叫するアルティメイトキマイラ。そのまま地面に墜落した瞬間だった。


青ざめしブラス・ハイムリヒ秘密の花園・ブルーメンベート


 力ある言葉と共に聖剣の本領が発揮された。

 地面を割り砕き、無数の薔薇蔦がアルティメイトキマイラを拘束していく。

 暴れるアルティメイトキマイラにより数本は引き千切られるものの、彼の血を吸い取り、薔薇が青く咲き誇る。


高慢な衛兵デュンケルハフト・ヴァッハ・ポステン


 すぐさま逆手に闇剣を取り出し、聖剣引き抜き駆けだす若萌。

 闇の聖剣が闇色に輝き放電を始める。


ずっしりとした霞シュヴェーァ・ドゥントス


 青ざめしブラス・ハイムリヒ秘密の花園・ブルーメンベートから抜け出そうとしたアルティメイトキマイラに闇の靄が襲いかかり動きを阻害する。

 そこへ若萌が突撃。


暴力的な闇ゲ・ヴァルトザーム・ドゥンケル


 闇の聖剣で鶏の頭を切り裂く。


致死之痛撃アゴニー・アグレシオン


 蝙蝠羽を聖剣で薙ぎ散らす。

 もはやメインのライオン頭以外殆どの身体を切り裂いた。

 左右の山羊も鶏も、カエルの足も馬の蹄も、尻尾の蛇だって切り落とし、最後の蝙蝠羽を切り裂いた。


 だが、そこで若萌は思わず油断した。

 勝利目前となった彼女は、ライオン頭が向いている方向を忘れていたのだ。

 ファイヤーブレスが放たれたその瞬間、一瞬だけ、矢鵺歌がニヤリと笑った気がした。


 ファイヤーブレスの先に、矢鵺歌がいた。

 丁度若萌の援護のために弓に矢を番えた格好で、その直ぐ横には彼女を付き飛ばそうとしているギーレン。

 折角最後まで生かそうと手を尽くしていた若萌の目の前で。矢鵺歌を押し飛ばしたギーレンが炎に消える。


 その光景を、若萌はただただ呆然と見つめていた。

 今までの苦労が全て水泡に帰したような、愕然としたその姿に、女神の嘲笑だけがただ聞こえている。そんな気がした。

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