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外伝・嘆きの洞窟3

 嘆きの洞窟は、初めの方は雑魚敵と言ってよかった。一階層に出現する魔物は1から10レベルの魔物達。奥に行くほど強くなる傾向なのでレベル上げには最適なのだろう。

 残念ながら軍団相手には役不足なので、事前に貰っていた地図を片手にロイド隊長指揮の元ネンフィアス帝国軍は二層、三層と攻略していく。九層目に入ると、91レベルから100レベルまでの魔物達が出現して来る。十層ごとに広いボス部屋もあるらしい。


 洞窟内はあまり広くは無く、迷路のように入り組んでいる訳でもない。

 とぐろを巻くような通路が存在しており、小部屋が幾つか、そこに魔物が湧いている。

 なので、闘いたくなければ小部屋に向わなければ良いようで、ほぼ素通りでこの十層目まで降りて来れたのである。


 兵士達の平均レベルは200程らしいので、二十階層まではこのまま直進するそうだ。

 そして二十階層目から野営を行いつつ部屋の探索に向うらしい。

 ただ、若萌達にとっては200程度のレベルは雑魚でしかないため、兵士の一部、マイツミーア戦で好成績だった五人と共に先行する事になっている。


 ちなみに、ギーエンも何故か一緒に付いて来ていた。

 彼もレベル帯が違うため、一人先行するように言われたらしい。

 兵士達と分かれて9人パーティーで歩く。

 内訳は若萌、矢鵺歌、稀良螺、ギーエン、ラスレンティス、フローラモ、ロイド、オーガン、ゲドである。

 総大将であるロイドがこちらに来ているのだが、副将の兵士が全軍指揮を行うらしいので問題は無いようだ。


 既に洞窟に入っていたらしい他国の兵団が三十一階層に居た。

 野営を行い三十一層でレベル上げの最中らしい。

 そんな兵士達に見られながら奥へと向かう若萌達だったが、不意に小部屋の一つから見知った顔が野営地に戻ってきた。


「あれ、若萌さん、矢鵺歌さん!?」


「あら、大悟君。もう300レベルに達したの?」


 やって来たのは大悟とソルティアラ、騎士団長のベックナーもいるようだ。


「若萌様お久しぶりです」


 そして、彼らと同行していた粘体生物が深々と礼をしてくる。


「モルガーナ? 何故ここに?」


 彼女はモルガーナ。スライム族の魔族であり、ルトバニアに交換留学している存在の一人である。魔物は入れないはずのここに何故彼女が居るのか、若萌は軽い驚きを覚えた。


「種族判別時のみ荷物に紛れてました。道具等に化けておけばバックパック等に入れますから。彼ら雑だったので荷物まで調べようとはしてませんでしたし」


 エルダーマイアもまさか荷物に化けて侵入して来る魔物が居るとは思っても居なかっただろう。スライム族だからこそ出来る潜入か。

 彼女のレベルは300後半だったそうで、大悟たちのレベルを底上げするのに使われているらしい。情報提供の駄賃だと思えば問題無いとか。


 一応、事前に魔王と連絡はしていたそうで、若萌達は知らなかったが魔王達は既に知っていたそうだ。

 セイバー、後で捻る。若萌は決意を一つして、笑顔でモルガーナと対応する。

 内に隠したイラつきが気付かれたのか、若干困った顔のモルガーナだったが、まだまだレベル上げを行うらしいソルティアラに急かされ、次の小部屋へと向かって行った。


「色々な軍が来てるんですね。まさか魔物まで来てるとは思わなかったですけど」


「モルガーナについては私も予想外だったわ。まぁ、彼女についてはそこまで問題にならないでしょう。大悟たちのレベルが上がってもそこまでの脅威にはならないわ」


 通路をひたすら直進し、螺旋階段を下りて行く。

 五十階層を素通りし、五十一階層にやってくると、流石にしんと静まり返っていた。

 レベル500帯の人族は居ないらしい。


「我々だけならばこの辺りまで来るだけでも充分過ぎる気はしますが」


「そうね、折角だし一戦してみましょうか。貴方達がどれだけ保つかも見たいから、これより先に進むかどうかを見るためにも、レベル500の魔物と闘ってみましょう」


 適当な小部屋に向い九人でパーティーを組む。若萌チームと矢鵺歌チームに分かれて戦うことにして、稀良螺は矢鵺歌チームに、ギーエンが若萌チームに入り、他の五人は3、2で分かれる。

 若干の不安はあったが、流石にこの戦闘で何かしら小細工はしてこないだろうと矢鵺歌たちと別れ、若萌は別の小部屋へと入る。


「はー、すげぇな嬢ちゃん。その年でこのおっさん共従えてリーダーかよ」


「別に、ただレベルが高いだけのド素人よ」


 ギーエンの言葉にそっけなく答えて小部屋に侵入する。

 出現した魔物は二体。

 一体はアルマジロを巨大化させた生物だ。オオマジロというらしい。

 もう一体は剣を手にしたパンダ。サーベルパンダだ。

 両方レベルは502。普通の兵士なら即殺されるレベルの魔物だ。


「は、502レベルかよ。熊公よりも強いのかあの容姿で」


「皆さんで闘ってみてください。フォローはします」


「え、マジで!?」


 驚くギーエン。その間に闘いの準備を整えるラスレンティス、フローラモ、オーガン。

 彼らのフォローにいつでも入れるように、若萌はアイテムボックスからコバルトアイゼンを取り出し構えるのだった。

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