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魔王国会議4

「モシレチク・コタネチクチク・モシロアシタ・コタノアシタはウェンカムイの遣わす悪。英雄の皮を被った悪意。でも誰も敵わない。魔王も。魔神も……だったか」


 俺は言葉を思い出すように告げる。ディアが何も言わないので合ってるんだろう。


「モシレ……?」


「モシレチク・コタネチクチク・モシロアシタ・コタノアシタ……英雄オキキルムイに討たれた魔物ですね。確かアイヌ民族に伝わる話だった気がします。私の記憶だと雷神カンナカムイとチキサニ姫との間に生まれたとかいう英雄物語で数々の神を捕獲していた魔神だったはず」


「え? 私の知っているのではチキサニ姫は姉神だって聞きましたけど?」


「私達の世界が一緒とは限らないわよ稀良螺さん。異世界の地球の可能性もあるから多少の違和感があるのは仕方無いと思うわ。それより、問題はソレを予言としてセイバーに伝えてきたってことね」


「この世界では予言は馬鹿に出来んぞ。何しろ神の声を聞くという人族の猊下様がいるくらいだからな」


「ユクリ、それってあのじいちゃんのことか。あいつは確かにヤバかったな。目がイカれてやがった。アレに率いられるとか国が可哀想だ」


「セイバーに言われちゃおしまいね」


 オイコラ若萌。それはどういう意味だ?


「とにかく、予言が馬鹿に出来ないなら、近いうちにそのモシレなんとかっていう魔神が降臨するんでしょうね。そいつが好き勝手するから私たちは防衛に回らざるを得ない。なら足掻かないと。オキキルムイとかいうのが来るまでね」


「しかし、実際どんな防備を行えばいいのか見当付かないぞ?」


「現状は先程まで出たことをやって行けばいいでしょ。他に出来る事があればやればいいのよ。それともセイバー、他に何かできることがある?」


「……いや。ない、かな?」


「ならモシレなんとかについてはここまでね。他に話しておくことは?」


 現状だとこんなもんかな? 他にあったの思い出したらそんときでいいだろ。


「じゃあ、今回の会議は終了。あ、ディア、ちょっと用事があるから来てくれる?」


「私に? 若萌殿にしては珍しい。良いでしょう。ではそれが済み次第森に向いましょう。陛下は一緒に向われるメンバーを選定しておいてください」


 と、若萌とディアが去って行く。

 ふむ。ディアの森に行くんだよな。せっかくだから矢鵺歌と稀良螺はつれてっとくか。ラオルゥとユクリが来る訳だし、護衛にペリカ、マイツミーアかな。


「あの、ハゲテーラはどうしましょう。まだまだ教えることが多いのですが」


「そうか。ならペリカは居残りでハゲテーラの育成を頼む。ん? どうしたムイムイ?」


「え? あの、いえ。私は結局どうしてここに呼ばれたんでしょう?」


 そう言えば結局ムイムイが何故ここに来たのか聞いてなかったな。アレか? 俺の護衛騎士になったことがわかったから告げる必要無くなったとか?


「ああ、そうだったムイムイ」


「ひゃい!? あ、スクアーレ総司令官!」


「言われなかったみたいだから言っておくが、お前今日から魔王陛下近衛部隊の隊長に任命されたらしいぞ。じゃあそういうことで」


「……え?」


 呆然とムイムイが呟いた時には、既にスクアーレはギュンターと話をしながら部屋から出て行った後だった。


「え?」


 ムイムイは未だに信じられないというか、現実理解できてないみたいで愕然としたままこちらを向く。


「え?」


 いや、俺に疑問をぶつけられても。俺は全く聞いてなかったんだがな? ペリカにでも頼もうかと思ってたんだけどもう決まってたのか。


「まぁ、なんかよくわからんが、護衛隊長よろしくムイムイ」


「え? え? ええええええええええええええええええええええええええええええ!?」


 驚くムイムイとその背後でほっと息を吐くペリカ。

 傍から見ていたコルデラが苦笑いしていた。


「んじゃあ、矢鵺歌と稀良螺、マイツミーアとユクリ、ラオルゥの面子で向うか」


「結構大人数ね。私達も良いの?」


「別に構わないだろ。どうせだし今のうちに稀良螺と連携の練習でもしたらどうだ?」


「そうね。稀良螺さん、悪いんだけど連携で闘う練習、いい?」


「え? は、はい。別にいいですけど、あの、私捕虜……ですよね?」


 普通に仲間として扱われている状況に戸惑い隠せない稀良螺。

 まぁ、稀良螺の性格はそれなりに良いと思うから無理に牢屋に入れる必要無いしな。

 魔族に対しての偏見もなさそうだから問題はないだろ。


 嫌だったら本人から否定するはずだけど、俺を警戒する以外他のメンバーには気を許しているみたいなので軟禁状態にしとこうと思う。

 俺は悪でない存在には結構緩いんだ。

 断じて女の子に甘い訳じゃないぞ。なんだよ武藤。こっち見んな。その蔑んだような眼を止めろ。斬り殺すぞ!


 ただただ無言で見つめるナビゲーターを何度殴ってやろうと思った事か。

 いや、本人はただ立ってるだけなんだけど、なんかイラッと来たので殴っておいた。

 理不尽な攻撃に文句言いながら何か叫んでいたが、聞かなかったことにした。

 ってかお前、実体ないんだから殴れないんだってば。なぜ怒るし?

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