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懐柔作戦1

 ルトラとディアが到着しました。

 レーバスの部隊が臨時で戦場に向っている間にディアにより負傷兵が全員復活した。

 まさか手足を失った魔物が五体満足に復活するとは思わなかった。

 回復魔法の技術が高過ぎる。


 といっても、数年前の傷。とか失ってしまっている腕や足は流石に再生できなかったようで、多少の負傷兵は残ったが。

 それでも、復活した負傷兵が戦闘参加出来るようになったことでルトラを撃破させてレベルを一気に800前後まで引き上げてやる。

 魔将であるケーミヒと、ホルステン、ついでに負傷兵が居なくなったせいで手が空いてしまったムレーミアの三人だけは俺と一緒にルトラ倒しまくってレベルを1500前後まで強制的に上げてやった。


 ルトラが涙目になっていたが、俺に真名を握られてるせいで反抗できないと諦めた顔をしている。

 まぁ、ダメージ受けまくってもディアが回復してくれるから別にいいだろ?

 ついでにマイツミーアやペリカ、ハゲテーラのレベルも上げておいた。矢鵺歌のレベルもついでに上がっていたのは俺とパーティー組んでたからだな。あれ? マイツミーアたちもパーティー組んでたから三人で戦わせる意味なかったんじゃないか?


 というか、いつの間にかエルジーのやつがパーティー組んでやがる。多分、さっきの勇者たちとの戦いのときに俺かラオルゥとパーティー組めと言った時だろう。エルジーも思わず俺とパーティー組んだらしい。人族でおそらく一番レベルが高くなってるぞ。1500レベル越えたからな今。彼女自身は気付いてないみたいだけど。今のうちにパーティーから切り離しとこう。これ以上レベルアップされると俺と同レベル帯に来てしまう。


「しかし驚きましたな。人族がレベル800まで自力で上げるとは」


「ディアでも驚くか」


「ええ。その力を付けるために一体どれ程の敵を屠ったのか。少なくともあちらの国の近くにレベル800前後の魔物がいるのは確定でしょうな」


 冒険初期位置の近くにレベル800帯の魔物が出現するのか。それはそれで悪夢だな。

 まぁ、その辺りについては捕虜に聞けばいいだろう。

 折角だから皆で聞くことにしよう。

 俺一人で尋問を行うといろいろと悪認定されそうだし。矢鵺歌にストッパーとして付いていて貰っておいた方がいい気がする。

 どうも俺は正義よりも悪型の思考らしいんだよな。あの首領が言った事が現実味を帯びてきた気がする。


 ルトラとの対戦が終わると、ホルステン率いる部隊とケーミヒ率いる部隊が防衛に向う、レベル1000越えの軍団だから防衛だけならあの人数でも充分機能するだろう。

 戻ってきたレーバスの部隊をどうするかだが、とりあえずレベル800越えくらいまでは上げておいた方がいいだろうか? いや、被害が増えそうだからあいつの部隊だけは放置でも良いかもしれない。俺、ルトラ様もイケます。とか真顔で言ってやがったからな。


 シオリアに被害状況を纏めて貰っている間に俺はメンバー引き連れ捕虜を捕獲している天幕へ。

 護衛として付けていた矢鵺歌とラオルゥと合流し、稀良螺の座る椅子の前に椅子を置いて俺が座る。左右にラオルゥと矢鵺歌。他のメンバーは背後に控えて貰う。

 ディアだけはラオルゥの横に並んできたけど。あ、ルトラも来たのか。


「ふむ。こちらが人族の捕虜ですな」


「桜井稀良螺というらしい。真名を知らんかったぞ?」


「ソレはおかしいですね。普通は国から知らされるか無理矢理に真名を奪われ奴隷のように使われる筈ですが? その辺り、どうなのです?」


 俺が尋問始める前にディアが質問していた。

 魔族に囲まれた稀良螺は憮然と俺を睨みつけるだけで喋ろうとしない。


「仕方無い。桜井稀良螺に命ずる。嘘偽りなく俺達の質問には答えろ」


「真名が何かは全く聞いてないし知らなかったわ。こんな酷いことができるなんて……くっ。殺しなさい」


 質問に答えろと言ったのに答えない不思議。いや、知らないと言ってるからこれが答えになるのかな?


「ふむ。国が隠しているのか、あるいは真名で縛る前にこうなったのか。どっちにしろ、不幸中の幸いでしょうな。下手に向こうに操られてしまえば殺さざるをえませんでした」


「死兵となると流石に捕獲も見逃すのも無理だからな。あの三人が真名をどうにかしてればいいけど。操られないと良いな」


「それは、どういうこと!?」


 俺の呟きに反応したのは稀良螺。思わず立ち上がった彼女を、慌てて彼女の元へ走り込んだペリカとハゲテーラが椅子に座り直させる。


「どうもこうも無い。まず真名に付いて話そう」


 俺は落ち着くように言い聞かせ、彼女の知らない真名というこの世界のルールを説明する。

 この世界に住む住人も、この世界に来た異世界人も、この世界では真名を持つ。異世界人は異世界で名乗っていた本名が、この世界の住人は生まれた時に自動で付いている名前が真名となる。

 これを唱えることでその人物を自由にできるのが、真名である。


 真名無効のスキルを持っていない限りはほぼ確実に相手の言いなりにされてしまうので、どれ程レベルを上げようとも真名だけは絶対に周囲に漏らしてはならない。

 しかし、異世界人はこのルールを知らないため、召喚後に自分のフルネームを周囲に漏らしてしまい、即行操られてしまうのである。

 そのため勇者とは名ばかりの強い奴隷を各国が手に入れるのである。


 この事実を聞いた稀良螺は信じたくないっと言った青い顔になっていた。

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