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魔王領慰問団17

「はぁ、変な行動やってる奴っすか」


 最初の面接相手はホルステンである。

 頭を掻きながら必死に記憶を探るホルステン。

 この行動からしてもコイツがもう一度俺に反感を、みたいなことは無いようだ。

 というか、こいつは隠し事に向いてない。


 最初に俺に忠誠誓ってるかって質問に眼を泳がせながら当然ですとか答えたしな。

 どう見ても嘘だろ。

 つまり嘘を吐いても直ぐ分かる性格なのだ。

 そんな奴が魔族にとっての怪しい行動など取れるはずもない。

 ラオルゥからもお墨付きを貰ったのでそこは確定でいいだろう。


 こっちに一緒に持って来た魔木を見ても何にも思わなかった所を見るとアウグルティースとの面識はなかったのか、それともただ変わった魔木としか思えなかったのか。考えるのもあまりしてなさそうだな。刹那で生きる生物ってところか。


「んー、俺から言えるのはないですね。この通り、筋肉付けるのに必死で他人にはあんまり感心ないんですよ」


 まぁ、そうだろうな。俺も思った。

 その後幾つか応答を繰り返し、ホルステンと別れる。

 次にやって来たのはレーバス。この二人は直ぐに都合が付くというので本営で面接することにした。

 他の二人は仕事があるらしいのでこちらが仕事場に向わなければならない。

 魔王が部下の仕事場にわざわざ呼ばれるというのはどうなのかと思わなくもないが、俺自身がそう言ったのでどうしようもない。嫌なら命令すれば良かった訳だし。


「陛下、俺呼んだか」


「うむ。いろいろ聞きたい事があるからな」


「女も男もイケる。攻めも守りもイケる。他に何聞きたい?」


 お前の変態度合いは聞いちゃいねぇよ。

 というか、誰だこんな奴魔将にした奴は。

 実力持たすなよ神様。こんなのの部下とか地獄しかねぇだろ?


「お前の部下ってどんなのが居るんだ?」


「ゴブリン、オーク、サキュバス、インキュバス。あとナイトメアとか? 皆享楽に耽ること多くて他の部隊から怒られる。もっと戦争頑張れ言われた」


 そりゃそうだろ。とりあえずろくでもない部隊であることは理解した。


「今の仕事は?」


「本来は斥候が多い。相手国に入って娼婦などになり相手の情報を手に入れる。今は最低限の部下が人族国にいる。俺達暇。闘いあまり得意じゃないの多い。むしろ淫蕩得意」


 ダメだコイツの部隊。とりあえず死兵にして敵軍に突っ込ませちまった方が後のためにはなるかもしれない。

 そうなる時は身体に爆弾でも巻きつけてやろう。

 敵軍への被害は増大になるだろ。


「仕事に満足できてるか?」


「仕事自体は楽。むしろもっと欲しい。でも闘いはいらない。夜の闘いなら喜んで」


 なんかもうコイツと話してると精神的な疲れが大きい。

 問答は早めに切り上げレーバスを開放する。

 天幕を出たレーバスは、すぐさまホルステンの元へと向かって行った。


 俺達が準備を整えムレーミアの居る場所向けて天幕を出た頃には、ホルステンに今夜どう? とナンパしているレーバスがいたが、俺は見なかったことにした。

 あの変態にはもう関わらないようにしておこう。


 おお、ホルステンが切れて渾身の一撃、殴り飛ばしたぞ!?

 放物線を描いて吹っ飛んだレーバスは、なぜか物凄い恍惚の笑みを浮かべてびっくんびっくんしてやがった。アレはいろんな意味でヤバい人だ。マジで関わらないようにしよう。


「あら、本当に来たんですか?」


 死傷者が大勢収容された天幕に、ムレーミアはいた。

 手に持っているのはナイフだ。

 俺に視線を向けながら患者の患部へとナイフを刺し、切り開いている。

 あの、見てなくて大丈夫?


「少しお待ちください。こちらの患者を終えれば一息付けます」


 悲鳴を上げる魔族を気にせず切り裂くムレーミア。この世界に何故あるのか分からないが、注射器を手にすると、露出した臓器に迷いなく突き入れ液体を注入。

 その後回復魔法で患部を直していく。

 なんか、治療された魔族の人泡吹き出して痙攣始めてるんだけど、これ、大丈夫?


「それで、面接だそうですが、何をお聞きになりたいので?」


「まずはそうだな。俺の耳に怪しい動きをしている存在がいるというのが入ってきた。お前の知る限り怪しい動きをしている魔将は居るか?」


「怪しい動きですか? 具体的じゃないとなんともいえませんが……そうですね。コーレセルさんは怪しいかなぁ」


「いやムレーミア様、アレは怪しいですけど意味合いが違うと思います」


「えー? でもほら、いっつも俺の右手がとか、封印された左目を、とか言ってるじゃない」


 ムレーミアの言葉に患者の一人から反論が出る。

 というかコーレセルだっけ、それ、怪しいというか、中二病?

 確かに傍から見れば怪しいことこの上ないけどさ。


「あー、後はドーマも怪しいかな?」


「あの方も意味合いが違います!」


「えー? でもほら、いっつも殺殺殺とか、死ね死ね死ねとかぶつぶつ呟いてるじゃない」


 ムレーミアと患者の対話みたいになってしまっている。

 あのさ、一応聞いてるの俺なんだけど、魔王放置って良い性格してるなあんたら。

 というか、ドーマ、どう見ても殺戮好きの変態野郎じゃないか。

 コーレセルは見覚えあるけどドーマは無いな。おそらく魔王の謁見に向かわせられないほどに殺人狂なんだろう。できるだけ関わり合いにならないようにしよう。

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