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魔王領慰問団16

「どうしてこうなった?」


 馬車に揺られながら俺、ジャスティスセイバーは一人ゴチた。

 俺の背中にはラオルゥが背中合わせで眠っており、隣にはペリカとハゲテーラが未だに軍隊の仕来たりを話し合っている。そして胡坐をかいた足に乗り、ゴロゴロと気持ち良さそうな声を上げているマイツミーア。そのマイツミーアをモフるために俺の右隣に座る矢鵺歌。

 女性率が一気に上がった。エルジーが少し離れた場所で呆れた顔をしているのが痛い。

 あと、もう一人いた人族の男性はなぜか御者台の方に退避してしまった。


 東で彼らとの面接を終えた次の日、明け方までモフり倒していた俺達の元へ朝の報告とばかりにやってきたカルヴァドゥス。

 モフりまくっている俺達を見た彼は何を勘違いしたのか、マイツミーアをお持ち帰りくださいと言って来たのだ。

 何かを勘違いしていると思ったのだが、マイツミーアは既にモフられるのが気に入ったのか俺に懐いてしまっていた。飼い猫でも得た気分だったし、このまま別れるのもどうかと思い、引き取ることにした。


 魔将が7人になってしまったが問題無いだろう。と思っていたのだが、ハゲテーラの知識があまりに少ないと言うのでペリカが同行させるようにお願いして来た。

 ハゲテーラも教えを請いたかったようなので、彼女も同行したいと言って来た。

 魔将は結局6人になったが和平状態なので問題無いと言う事で微笑ましい顔をしたカルヴァドゥスに見送られて東の前線基地を後にした。


 やって来たのは南の前線基地である。

 ここには南方十二将がいるらしく、また、怪しい動きはここでもあるらしい。

 しかし、各地を回るごとに一緒に回る人数が増えてるんだけど、これはいいのだろうか?


「げぇ!? 魔王陛下!?」


 前線基地の天幕に付いたので馬車から出ると、ミノタウロスの男が目ざとく気付いて驚きの声を上げた。


「よぉ、ホルステンじゃねーか。元気してたか?」


 ホルステン・ワーグナス・ベルトホルン。俺が魔王になったとき一番に反論を言って来た奴だ。

 真名を奪ったせいか露骨に警戒されている。

 いや、違うな。俺と共に出て来たのが女性ばっかりだったからかもしれない。


『どう見ても女の子侍らせてる権力者だもんな。舌打ちしたい気分じゃないのか』


「悪いがホルステン。余裕のある魔将を天幕に集められないか?」


「はぁ!? なんで俺が。あ、いえ、私はそういう役職にありませんので、リーダーであるゼオラムに」


「ではそのゼオラムは何処に?」


「今は前線で指揮を取っております」


 ゼオラムは魔王就任の際にも姿を露わしていなかった存在だ。

 ぜひとも会いたいところだが、前線で戦っているのならば仕方無い。


「余裕のある魔将は?」


「それは……私とシオリア、レーバス、ムレーミアであります」


「四人か。集められるか?」


「皆部下からの報告を聞くだけですので集めるのに時間はかからないかと」


「では支障が出ない程度の時間で召集を頼む」


「……はっ」


 舌打ちしたそうな顔をしながらホルステンが去って行く。

 叛意はありあり、真名を握っているといえども裏切りには注意しておいた方が良いかもしれない。

 まぁ、このメンツ相手にそんな愚考を行うとは思えないけど、ラオルゥが居ることは多分分かってないだろうしなぁ。暗殺が行われる可能性は考えておいた方がいいだろう。俺は問題無いけど他のメンバーがなぁ。ラオルゥ、そんときは頼みます。


 しばらく本営で待っていると、四人の人物がやってきた。

 先程俺の命令に従い他の三人を呼びに行ったホルステン。

 牛の顔に筋肉質の男の肉体。毛深い下半身はブーメランパンツを履いて見せちゃいけない場所こそ隠しているが、ギャランドゥ感がハンパない。

 コイツの毛は剛毛なのでマイツミーアみたいな触り心地がないんだよなぁ。


 次にシオリア。クリオネのような容姿の女性型軟体生物だ。なぜかメガネを掛けてインテリ系を装っているが、顔立ちは可愛い少女なのでちょっとアンバランス感がある。

 しかし、俺はクリオネの生態を知ってるだけに騙される気はない。

 こいつは隠れた悪魔だ。悪女様だ。


 レーバスは黒山羊型の魔族だった。羽も生えているので邪神崇拝で出てくる魔物の図柄によく似ている。サバトとかで神扱いされてそうな姿だ。こいつは隠す気もないのだろう。つねにぶらぶらといけない場所を晒している。お巡りさんこいつです。とりあえずモザイク入れとくか。


 ムレーミアはラミアの一種のようだ。蛇の下半身を持つ彼女はなぜか巨大な注射器を持参している。衛生兵を束ねる魔将だそうだ。

 長い舌をシュルルと吐き出し、俺を見定めるように見て来る。

 今回新顔はシオリアとムレーミアだな。ホルステンとレーバスは魔王就任の際に来てた。


「それで、召集されるのはいいのですが、何ようですか? まさか顔見せだけに現れたと?」


「あの、死傷者が多いので早く戻りたいのですが?」


「陛下、俺、陛下でもイケます」


 口々に戻りたい旨を告げて来るシオリアとムレーミア。レーバスから少々聞きたくない言葉が出た気がしたが、ラオルゥ達は彼を視界から消す事にした。


「あー、とりあえず顔見せもあるんだが色々とな。時間的に一人5分位貰って面接をしたいんだ。リーダー格のゼオラムだっけ、彼が居ないから皆に告げておかないとと思って召集した。時間を開けて面接時間を作ってくれ。無理ならこちらから出向く。あとレーバス、俺はイケないからホルステンにでも頼んどけ」


「了解」


「え゛っ!?」

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