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会談2

「さて、いろいろと言いたい事、聞きたいことはございますが、ひとまず和平交渉から始めましょう」


 ソルティアラが話を促し、書類をこちらに配ってくる。


「今回そちら側からの和平交渉ということでしたが、我が国からの要望などを纏めた書類となります。まずはこの交渉から始めて行こうかと思うのですが」


 配られた羊皮紙に目を通す。

 正直ふざけるな。というべき内容なのだが、これはあくまで向こうも要望。おそらく半分くらいは通ればいいな程度で書かれたモノだろう。

 何しろ魔族からの定期的奴隷購入とか戦勝国かよ。といいたくなるような要望まである。


 和平交渉は互いに同じくらいの武力だからこそ成り立つものであり、上から目線で来るような相手と結ぶようなモノじゃない。

 正直、俺の虫の居所が悪ければ、よろしい、ならば戦争だ。って、この羊皮紙見ただけで言いたくなる内容だった。

 簡単に言うと、魔王を馬鹿にしている内容だ。


「ふむ。なかなか愚かというべきでしょうか。むしろここまで清々しく思えたのは久しぶりですな」


 俺から回された羊皮紙を見ながらディアがくっくと笑いを漏らす。

 ソルティアラが硬い顔をしていることから、おそらくこの要望書の殆どは大臣とかお貴族様どもの要望なのだろう。全部却下してこっちの契約書として結ばせてやろうかこの内容。

 全魔族貴族の平民化とか何処の誰だ考えた馬鹿は。


「まず、第一項から言わせてもらうが、全魔族の武装解除? まるで敗戦国への要望のようだな」


「……ですが和平を結びたいのでしょう? ならば武装を解除して誠意を見せていただけるのが一番だと思いませんか? 自分たちに敵意は無いと、お見せいただけないでしょうか?」


「ふむ。だが人族は普通に武装したままなのだな。我々魔族はほら、こうして武装せずにここにいると言うのに、この砦の人族はまるで我等を殲滅せんとするかのような重武装ではないか」


 ソルティアラだけは武装していないが、大悟すら帯剣済みである。

 周囲には無数の兵士が立ち並び俺達を囲んでいる。

 メンバーがメンバーだけにギスギス感は無いが、俺と矢鵺歌だけだったらこちらも武装せざるをえない物々しさである。


「そ、それは……」


 いきなり言葉に詰まったソルティアラは周囲を見る。

 確かに矢鵺歌も俺も武器を持っていない。正確にはアイテムボックスにしまってるだけだけどな。

 魔神四匹はそもそも武器を持つ必要が無い。指先一つでこの砦壊滅出来る実力者だし。


「こちらは和平を望んでいても、人族が望んでいないのでは意味が無い。ならばこそ、この羊皮紙に書かれている事全てをそちらが行ってくれるというのならば、こちらも同じ要望を呑んでもいいと思っている。どうかなソルティアラ姫」


 おっと、硬い顔で押し黙ったか。

 ちなみに、もしも二つ返事で要望を呑んだとしても、俺は呑んでもいいと思っただけで実際に呑むとは言ってないからな。

 いくらなんでも無茶難題過ぎる。


『すっげーなこれ。魔族娘の娼館作成とかあるぜ? 人族の欲望パネェな』


「正直言えば、この要望を持ってくる事そのものが人族に魔族と馴れ合う気が無いという無言の宣言にしか思えない。人族は徹底抗戦がお望みか? ならばこちらも魔神の投入を視野に入れねば……」


「待ってくれ誠。お前も人だろ。そんなことしたら人族は滅んでしまう事くらいわかるじゃないかっ!」


 思わず話に入ってくる大悟。いや、例え話だからね。

 調子に乗るなよっていう釘刺しのつもりだからさ、交渉だよ交渉。

 ソルティアラは、それでも助かったといった安堵の息を吐いている。おそらく今のうちに意見を考えているのだろう。


「大悟。人族だからとかの話じゃないんだ。俺とソルティアラは国同士の交渉をしている。分かりやすく言えば銀行と大企業との交渉でいくら金を貸しだすかを談義しているようなモノだ。そこに何も知らない赤の他人が口を出していいものか?」


「で、でも、会社と国は違うだろ?」


「似たようなものさ。会社だって乗っ取りもあれば闘いもある。現にコンビニは別の会社のコンビニの近くに作って相手を滅ぼしたりしながら覇権を争っているんだ。破れた企業は廃業。つまり国で言えば滅ぶわけだ。従業員たちは路頭に迷うか接収される。国の縮小版って訳だ。今はその二つの企業が互いに干渉し合わないようにしましょうって言う話し合い、なのに片方が接収しようと動いていれば交渉は決裂するに決まってるだろ? 今の俺達で言えば国同士の決裂は戦争。しかも今まで戦争中だったのだから今回決裂が決まればもはや和平など不可能。俺は魔王の側近として人族を悪と認定せざるを得ない」


 言い切った俺の言葉にソルティアラが喉を鳴らす。

 俺を見て、冗談を言っている訳ではないと確信したようだ。

 俺は本気で言ってるって分かってくれたか? この和平は人と魔族を繋ぐ架け橋になるかもしれない希望でもあるが、交渉が決裂した時、魔族を纏めている俺は魔王として人族と闘わざるをえない。

 今まで出会った人族からして人族が悪であることはほぼ確定だしな。

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