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第三十九話「召喚者達」

※改稿済み(2017/4/24)


召喚勇者の名簿は飛ばしてOKです。長くてすみません。

 誕生日の翌日より俺は、竜王襲撃事件の黒幕の調査に乗り出した。

 この事件の背景には、少なくとも召喚勇者達が関わり、その召喚勇者達を裏で操っているのが法王庁と睨んでも差し支えはないと思っている。


 しかしだ。法王庁そのものが悪の組織とは決めつけていない。

 法王庁が崇める女神アリスティアは、伝承などを通じても明らかに光側の女神であり、暗黒神や邪神ではない。そもそもこの世界を救った六英雄は女神アリスティアの加護の下で邪神に立ち向かい世界を救ったのだ。


 だが、どこの組織も時がたてば腐敗するものである。私利私欲にまみれた者達が偽政者となり、悪だくみを企てていても不思議ではないのだ。


 そんな訳で俺はメアリーとミッドガル王城の裏手の丘陵に聳え立つ、アリスティア神殿へと赴いた。


 この神殿は本殿ではないのだが、召喚勇者達は神聖王国ヴァンミリオンにて、召喚されミッドガル王国に派遣され称号を授与されている。つまりミッドガル王国の法王庁神殿にて、召喚勇者達は日々戦闘訓練を研鑽している。


 とりあえず俺はミッドガル王国第七王子特権を行使し、神殿にて召喚勇者総勢35名の名簿をチェック中だ。メアリーは隣から覗きこんでいる。


1  八代勇作  :男 称号:軍師(元教師)  素質A(特殊能力・無)


2  郷田武志  :男 称号:第一の勇者(死亡)素質S(特殊能力・無)


3  骨山スネ夫 :男 称号:名誉国民 (死亡)素質E(特殊能力・無)


4  間宮祐介  :男 称号:第一の賢者(罪人)素質S(特殊能力・無)


5  清家雫   :女 称号:第一の聖女(罪人)素質S(特殊能力・無)


6  桐野悠樹  :男 称号:第二の勇者    素質S(特殊能力・無)


7  一条春瑠  :男 称号:第二の賢者    素質A(特殊能力・無)


8  姫野茶々子 :女 称号:第二の聖女    素質A(特殊能力・無)


9  白鳥渚   :女 称号:聖女適正     素質A(特殊能力・有)

  

10 如月澪   :女 称号:賢者適正     素質A(特殊能力・有)


11 天音結衣  :女 称号:聖女適正     素質B(特殊能力・有)


12 架塚戒真  :男 称号:勇者適正     素質A(特殊能力・有)


13 園崎梨花  :女 称号:聖女適正     素質B(特殊能力・有)


14 所沢一   :男 称号:名誉国民     素質C(特殊能力・有)


15 葛城亮太  :男 称号:勇者適正     素質B(特殊能力・無)


16 七海あかり :女 称号:聖女適正     素質C(特殊能力・有)


17 片桐勇   :男 称号:勇者適正     素質D(特殊能力・無)


18 南楓    :女 称号:賢者適正     素質B(特殊能力・無)


19 伊集院政樹 :男 称号:賢者適正     素質C(特殊能力・有)


20 結城アリア :女 称号:賢者適正     素質B(特殊能力・有)


21 坂井雪深  :女 称号:聖女適正     素質B(特殊能力・無)


22 五代悠馬  :男 称号:勇者適正     素質B(特殊能力・有)


23 桜坂塔子  :女 称号:賢者適正     素質A(特殊能力・無)


24 織田信長  :男 称号:勇者適正     素質A(特殊能力・有)


25 早乙女立夏 :女 称号:聖女適正     素質C(特殊能力・無)


26 美木谷敬太 :男 称号:賢者適正     素質D(特殊能力・無)


27 岬野歌帆  :女 称号:聖女適正     素質D(特殊能力・無)


28 星川紗南  :女 称号:聖女適正     素質C(特殊能力・有)


29 水瀬歌音  :女 称号:聖女適正     素質B(特殊能力・無)


30 桐生隼人  :男 称号:勇者適正     素質B(特殊能力・無)


31 小野寺仁  :男 称号:賢者適正     素質B(特殊能力・無)


32 月宮灰音  :女 称号:聖女適正     素質B(特殊能力・無)


33 二ノ宮明  :男 称号:賢者適正     素質B(特殊能力・無)


34 黒鋼桜   :女 称号:聖女適正     素質B(特殊能力・有)


35 早瀬小夜子 :女 称号:聖女適正     素質C(特殊能力・無)


                          ※法王庁調査局調べ





 しかしこうやって見ると多いなぁ……勇者適正者8名、賢者適正者10名、聖女適正者14名、その他3名で合計35名か……記憶に残ってるヤツもいれば、まったく思い出せないヤツもいるな。それでもノスタルジックな懐かしさを感じる。


 隣で覗きこんでいるメアリーが、瞳をぱちくりしつつ聞いてきた。


「ルーシェ様、特殊能力ってなんでしょうね?」

「魔術や魔法系の技能の他にも、何か特別な力を持ってるんだと思うよ」

「魔術や神聖魔法の他にですか?」

「うん、メアリーだって料理が得意だろ? まぁ、そんな感じだよ」

「なるほどなのです」


 ラノベやネット小説の設定では、特殊能力をチートと呼ぶことも多いが、彼らの場合はどうなんだ? 能力を隠蔽する特殊能力を持った者がいる可能性もある。そう考えたら名簿の内容を鵜呑みにできないよな。猫かぶってるヤツもいるだろうし。


 しかし、学生の彼らがこの世界に拉致されたからと言って、この世界の住人を遙かに凌ぐ力を身につけるとは、一体どんな仕掛けになっているんだ? 俺みたいに幼少の頃より魔術の勉強をしてきた訳でもないだろ? 無論、俺も努力した記憶はないけどな。


 名簿を見ている間、後ろで控えるようにずっと待っていた若き神官が話しかけてきた。

 まだ見習いらしいのだが、俺が名簿を見せてくれと頼んだら快く対応してくれたのだ。

 近所にこんな感じの親切なお兄さんが昔いたよな気がするな。


 しかし、お兄さんは残念なことに、法王庁の内部のことには全然詳しくなかった。

 実際、本部からの連絡はシメオン司祭が一手に引き受けていたようで、その後の後任も正式には未だ決まっておらず、今は召喚勇者の訓練に努めるようにとのお達しだけらしい。 


 また名簿管理室に来るまでの間も、すれ違う神官や衛兵達にも、竜王様襲撃事の件を尋ねて回ったが、その誰もが『おいたわしい』と、嘆くのみで、法王庁の闇に触れるような話題は誰もが避け、渋い顔をするばかり。実際、重要なことは何一つ知らされていないような雰囲気だった。

 

 手掛りになりそうな話は何も拾えなかったのだ。


「もう用事もないし、帰り道の公園でお昼にしよう」

「サンドイッチをお作りしてるのですよ」


 今日は今朝からお昼は適当な場所で、お弁当を開こうと話していたのだ。

 しかし、帰ろうとすると、見習いの神官が俺達を呼び止めた。


「ルーシェリア王子。よかったらどうです? 彼らの訓練の様子でも見学されて行かれませんか?」

「……いいの?」

「ええ、皆、気の良い子達ばかりで、日々楽しくやっていますよ」


 朗らかな笑顔でそう言う若き神官の言葉を受けて、チラッと様子だけでも見に行くことにした。

 以前ならクラスメート達に会うのは控えたいとの思いに駆られていたのだが、イケメン、魔術、王子、この三大要素を得た今の俺は自信が漲っているのだ。もう何も恐れることはない。ならば彼らの日常を見物するのも悪くない、よな?


 また、ウルベルトには、再度、地下牢に足を運んで貰い、料理に毒を盛った何者かの追跡調査を頼んでいる。


 訓練場に案内された。


「うりゃあああっ!」

「えぃ!」

「てぇぇぇぃっ!」


 神殿の奥内に白亜の大理石の円柱が立ち並ぶ空間があり、召喚勇者達が汗水流していた。


「では、ルーシェリア王子。ごゆっくり。では、失礼いたします。」


 若き神官は、軽くお辞儀をして去って行った。

 

「ルーシェ様……」


 メアリーは俺の名だけを小さく呟いた。


 召喚勇者達と同じ世界の記憶を持っていることを以前話しているのだが、郷田を知っているメアリーは、未だ彼らを粗暴で得体のしれない者達と認識しているのかもしれない。


「模擬戦してるみたいだね」

「そのようですね」


 彼らは、もう学生服を身につけていなかった。

 それぞれが、適正にあった装備を支給されているようで、勇者適正の者は鎧を纏い、賢者適正の者はローブを纏い、聖女適正の者は少しエッチな衣装を纏っていた。

 いや、言いなおそう。清楚で可憐な衣装を纏っていた。

 

 そして何より、もうこの中に郷田のような金髪の者はいなかった。

 誰もが黒髪黒眼である。まぁ若干染まってる子はいるんだけどね。


「皆の者っ! 休憩時間だ!」


 とある教官がそう叫んだ。シメオンと似たような衣装なので、司祭なのかもしれない。

 彼らの食事が運ばれて来たので、俺達も合わせて昼食を摂ろうとしたのだが。


 数人のクラスメート、いや召喚勇者に声を掛けられた。


「あのう……ルーシェリア王子ですよね? オレは桐野悠樹。で、こっちが一条春瑠と姫野茶々子です」


 そう声を掛けてきたのは、第二の勇者と呼ばれている桐野悠樹だ。

 次に桐野に突き出されるように、二人が前に出て、挨拶してきた。


「あ、あのう……僕が一条春瑠です。僕なんかが賢者でよろしいのでしょうか?」


 一条春瑠はそう言って、照れくさそうな仕草をした。

 そして姫野茶々子が、ツインテールを揺らし、動じることもなく、


「わたしが聖女の姫野茶々子よ!」

「おい……茶々子。もう少し淑やかに挨拶しろよ! 相手はこの国の王子様なんだぞっ!」

「もう……桐野はうるさいわねぇ。フレンドリーでいいじゃないの!」

「……す、すみません……王子。気を悪くしないでくださいね。それと……良かったら一緒に食事させて頂けませんか?」


 敵意は全く感じない。純粋に世間話でもしながら食事を愉しもうという雰囲気だ。


「別に構わないよ。そこに座りなよ」


 そう言ったものの、メアリーはあまり良い気分じゃないようで、警戒の色を隠さないでいる。だからと言って今更断れないよな?

 

 桐野は勇者だけあって、装備が他の召喚勇者達と比較しても、良いものが支給されているようだ。白銀の鎧に青いマント。まるでゲームの勇者のようだな。


 そして、一条春瑠が俺に話題を振ってきた。

 彼は男なのだが、少し女性ぽい中性男子だ。でも極度のオタクでクラスでからかわれていることも多かったな。

 

「王子、僕達の世界にはラノベやアニメって文化があるんですよ。この世界って……まさにってゆーか、モロにもう……」

「春瑠、王子様に日本の文化の話をするなんて失礼だろ? ほんと度々すみません……」

「あ、いや……別に……」


 桐野が一条を窘めていると姫野茶々子が、

 

「あんた達はほんと気楽でいいわよね……」


 姫野茶々子がヤレヤレといった様子で、今度は笑顔で俺達に振り向き、


「で、いいんでしょ王子様? ここに座って? あと……彼女は誰かな?」

「え、えっと……」

「あ、はい。申し遅れました私はメアリーです。皆さんよろしくお願いしますっ」

「メアリーさんね。女の子同士だし、よろしくね」

「え、ええ……」


 会話を繰り返したことで、メアリーの緊張も若干ほぐれたようで、少しほっとした。

 楽しく食事が出来たら俺も嬉しいし、彼らがどんな気持ちでこの世界で日々過ごしているのかも興味が湧いた。唐突に拉致られたんだからな。


教師含めて35名の名前を晒しましたが、改稿前は名前を考えるのが面倒で割愛してました。

でも、長いし、あとがきに入れた方がいいのかな? 作者用のメモみたいになちゃってますよね><


あと桐野はサッカー部で、一条は文芸部、姫野は陸上部です。

また、名簿にある主要人物以外のクラスメートの名前や素質値は変更することがありありな予感です。


最後に召喚勇者達が超人になった理由は先の話にありますが、改稿後はもっと詳しく書き込むかもしれません。

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