表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

最後の唄

作者: 青木麗二



合鍵ももらえずに

いつとも知れぬ日を待った

うんと愚かだった私は

液化して気化した私は

御守りを捨てて泣いた


花瓶につめた夢が散る

記憶など曖昧なもので

苦しみも幸せも

消せるだけ消して

これで終わりにしましょう


最後のあなたの眼を

死ぬまでには忘れるかしら

澄んでいて優しくて

せめて名前を呼んでくれたら

それだけで良かったのに


単なるお遊びのつもりが

稚拙な嫉妬を積み重ねては

疲れ果てて眠った

天まで届かず弾けて消える

透明な私はしゃぼん玉


何も残らなかった

憎いけれど愛していた

縫いつけた糸をほどいて

眠りから覚めた頃には

脳の奥であなたは消えるの


始まりも終わりも

ひずんだ心があったせい

二人はやがて一人になって

別々の夢を見ながら

ぼんやり春を思うでしょう


守られなかった約束

身を切るような思い出

無実のあの人を許せず

眼をあけたまま

もう私は死んだのね


やめたくてやめた事

夢を見たくて眠った事

呼んでも戻って来ない事


分かっているわ、全部。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ