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承認欲求学園  作者: む
1/2

ルーティンとは異なる結果を期待することである

坂田「なぁ知ってる?今年激かわの子が入学してくるみたい」


佐藤「え、まじ!」


肥後(みんなは何かに狂信していないか?)


肥後(スマホやアイドルだっていい、俺が思うに狂信とは…)

諏訪之「あ!全くん!!」


佐藤「はぁ!?肥後お前1年の可愛い子と知り合いなのか?!」


肥後「まあな…」


諏訪之「全くんとは幼馴染なんですよぉ!」


周囲が妬みと憎悪の目で見てくる。

諏訪之 愛凛…容姿端麗で中等部の頃から脚光を浴びている。


諏訪之「あれ、全くん…?」

肥後「愛凛、そろそろホームルームが始まるぞ」


諏訪之「…あ、おけー!」


昼放課、ルーティンである図書館に足を運ぶ。


肥後「よお、早いな」


東雲「あ、肥後くん」


いま俺の目の前で"アルジャーノンに花束を''を読んでいる和美人は、東雲 蓮。

蓮の指先が、ページの端を静かにめくる。


肥後「……それ、面白いか?」


東雲「ええ。読むたびに違う感想になるんです」


肥後「同じ本なのに?」


東雲「人間のほうが変わるから」


静かな図書館。窓から差し込む午後の光。

外では誰かの笑い声が反響している。


肥後(人は変わるのか?)


諏訪之はきっと変わらない。

俺も同じ時間にここへ来て、同じ椅子に座る。


それがルーティンだ。


東雲「肥後くんは、どうして毎日ここに?」


肥後「静かだからだよ」


東雲「それだけですか」


肥後「……違う結果を期待してる」


東雲「肥後くん、昼食はもう済んでますか」


肥後「まだだけど」


東雲「では、一緒に食べませんか」


肥後は一瞬、本を閉じる音を聞いた。


肥後「……ここで?」


東雲「はい。図書館の奥、窓際は飲食可なんです」


肥後「…いいけど」


東雲「ありがとうございます」


席を立ち移動する際、東雲と目が合った…気がする。


肥後「蓮、最近はどうなんだ」


蓮「あまりうまくいってないです」


蓮「肥後くんは?」


肥後「逆にうまくいき過ぎている


蓮「……うまく、いき過ぎている?」


肥後「ああ。問題がないんだ」


蓮「それは、いいことでは?」


肥後「どうだろうな」


窓から入る光が、弁当箱の蓋に反射する。


外では誰かの歓声。たぶん購買でパンが売り切れたのだろう。


肥後「全部、想定内だ」


蓮は箸を止める。


蓮「肥後くんは、想定外を望んでいるんですね」


肥後「……」


蓮「それは、変化を望んでいるということです」


肥後「変化、か」


蓮「うまくいっていると感じるのは、停滞と似ています」


静かな図書館。


遠くでページをめくる音。


肥後(停滞……)


肥後「じゃあ蓮は?」


蓮「私は……」



少しだけ視線を落とす。


蓮「変わるのが、少し怖いだけです」



いつも通り、身支度を余裕をもって終了すると、インターホンが鳴る。


肥後「……?」


玄関を開けると、愛凛が立っていた。


朝の光が彼女の髪を透かしている。


諏訪之「全くん、おはよ」


肥後「……どうした」


諏訪之「今日から一緒に行こーかなって」


肥後「急だな」


諏訪之「だめ…?」


その声は甘い。けれど少しだけ不安が混じっている。


肥後(全部、想定内のはずだった)


肥後でもこれも


諏訪之「最近、図書館行ってるんでしょ」


一瞬、空気が止まる。


肥後「……誰から聞いた」


諏訪之「別に。みんな知ってるよ」


諏訪之は笑っている。


でも目は笑っていない。


肥後「愛凛、寮生活には慣れたか?」


まだ静寂を保っている通学路、あと数十分もすればけたたましいほど活気に溢れることだろう。


諏訪之「うん、おかげさまで慣れたよ」




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