禁術の箱、電子レンジ
夜。
電子レンジの前で、魔王が正座している。
「いい?これは電子レンジ。温めるだけ。爆発しない」
「爆発せぬのに、なぜ扉がある」
「熱いから」
レトルトカレーを入れる。
「我が入るのか?」
「入らない!!カレー!!」
扉を閉める。
ブーン……
「……唸っておる」
「動いてるだけ」
「中で何が起きている」
「温め」
「具体が足りぬ!」
「電磁波とか」
「見えぬ波で攻める術……まさに魔王」
「自画自賛すな」
中でカレーが回る。
「……回っておる」
「均等に温めるため」
「都は公平だな」
「そこ感動ポイントじゃない」
チン!
「ぬっ!?」
バサッ。
「羽!!」
「戦の合図である」
「完成の合図!!」
取り出す。湯気。
「供物か」
「晩ごはん」
食卓。
一口。
「……うまい」
「普通に言った」
次の瞬間。
「ぬっ……」
バサァァッ!!(全開)
「羽しまって!!!」
「熱き魂の翼である」
「辛いだけ!!水!!」
冷蔵庫を開ける。
「……冬が棲んでおる」
「冷蔵庫」
氷を入れる。
コロン。
「石が鳴いた」
「氷!!」
水を飲み、落ち着く魔王。
「主よ。我は文明に敗北しておる気がする」
「敗北でいい。征服しなくていい」
その時。
ウィーン……
足元を丸い影が通る。
「ぬっ!敵兵!」
「ルンバ!!」
「丸き魔獣が侵攻してくる!」
「掃除してるだけ!!」
羽バサバサ。
「斬るか」
「斬るな!!」
抱えて充電台へ戻す。
「……巣に帰った」
「巣って言うな」
少し沈黙。
魔王が小さく言う。
「主は、毎日こんな便利と共に生きておるのだな」
「まあね。ちょっと疲れるけど」
魔王はうなずく。
「ならば我、隣で羽をしまって見守ろう」
「最後だけ偉い。羽しまってね」
「……努力する」
ピンポーン。
二人同時に顔を上げる。
「敵襲か!」
「羽しまって!!!!」




