魔王、プリンで羽が全開になる
店内BGM。
「いらっしゃいませ〜」
魔王の目が、完全に輝いた。
「……音楽が流れておる。術か?」
「BGM」
「飲み物の壁だ……」
「冷蔵棚ね」
「この“ぷりん”なる黄金の物体は」
「プリン」
「王は甘味に溺れぬ」
「はいはい(カゴに入れる)」
「主は罪深い」
肉まん、プリン、ホット缶コーヒー。
レジ。
「ぴっ」
「……見えぬ印を読む契約か」
「バーコード」
いちいち壮大。
袋を受け取った瞬間。
ふわっ。
「羽!!!!」
「……礼装である」
「社交で羽出すな!!」
なんとか退店。
もう帰ろうと思ったのに。
「主よ。あれは何だ」
「自販機」
「供物を吐く石像か」
「違う」
100円を渡す。
チャリン。
ゴトン。
「ぬっ!?」
バサァッ!!
「出たーーー!!!」
「勝利の羽ばたき」
「勝利してない!!」
部屋に戻る。
肉まんを渡すと魔王は感動して静かにうなずいた。
そして。
プリン。
スプーンですくう。
ぷるん。
一口。
魔王の目が見開かれる。
「……っ」
バサァァァァッ!!!!(全開)
「羽!!!!!!!しまって!!!!魔王様!!!!」
「……これは……」
「出る理由ないでしょ!!」
「感動した」
「感動で羽出すな!!」
必死に畳む魔王。
ソファに引っかかる羽。
「丁寧に!!」
私は笑いながらため息をついた。
「……初外出にしては上出来かな」
魔王は小さくうなずく。
「この都は……凄いな」
少しだけ、嬉しそうだった。
そして。
「主よ。次は“でんしゃ”に乗りたい」
私は即答した。
「無理!!!!羽しまって!!!!」




