表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
羽しまって!魔王様!  作者: 松本ゆきみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/18

魔王、料理に目覚める

(夕方。部屋。キッチン。主人公が買い物袋を置く。魔王様はエプロンを“王の装束”のように身につけている)


「……そのエプロン、どこで覚えたの」

宝物庫コンビニで見た。料理は生活の王道だ」

「王道って言うな。あと約束。包丁は“征服の剣”じゃないから」

「承知。小剣は、切るためにある」

「切るため……合ってるけど言い方が怖い」


(主人公が材料を並べる。卵、玉ねぎ、鶏肉、ケチャップ、炊いたご飯)


「赤く甘酸の液……血ではないな」

「ケチャップ。血って言うな」

「では、儀式を始めよう」

「儀式やめて。料理!」


(魔王が包丁を持つ。やけに堂々とした構え)


「ちょっと待って。猫の手。指はこう」

「猫の手……我が世界では猫は神だ」

「今関係ない。指切るから」

「王の指は切れぬ」

「切れる!普通に切れる!」


(玉ねぎを切る。しばらくして魔王が固まる)


「……ぬ」

「泣く? 玉ねぎは泣くよ」

「泣いてはおらぬ」

「目、真っ赤」

「これは……威厳の涙である」

「威厳で涙出すな!」


(背中がもぞっと動く)


「出るな出るな……!」

「出ぬ。涙は出ても羽は出ぬ」

「涙も止めて!!」


(フライパンを置き、IHのボタンを押す)


ピッ

「ぬっ」

(羽がピクッ)


「耐えろ!」

「耐えておる。音が鋭いだけだ」

「また音のせい!!」


(油をひく。ジュッ)


「……火の声」

「焼けてる音」

「音が多いな、料理は」

「だから“静かな家電”から始めるべきだったのに」


(鶏肉を入れる。ジュワァ!)


「ぬぅっ!?」

(羽が半展開)


「羽しまって!!料理中に出すな!!」

「跳ねた!油が跳ねたのだ!」

「そう!だから落ち着いて!!」

「落ち着いて跳ねを受け止めておる!」

「受け止めなくていい!下がれ!」


(主人公が火を弱める。魔王は悔しそうに羽を畳む)


「……料理は戦だな」

「戦じゃない。段取り」

「段取り……王の采配」

「采配でもいいけど、羽はしまえ!」


(ケチャップライス完成。卵を溶く)


「次、卵。これは難しい」

「王に任せよ」

「任せたくない」

「主よ、信じよ」

「信じたいけど、通知音で羽出る人だよ?」

「それは……別の問題だ」


(卵を流す。とろとろに広がる)


「……美しい」

「今は感動していい。羽出すなよ」

「出ぬ。出ぬとも」


(魔王が慎重にケチャップライスを包む。少し歪だが成功)


「……え、できた」

「王の包容力だ」

「包容力で包むな」


(食卓。オムライスが並ぶ)


「いただきます……」

(ひと口)

「……おいしい」

「当然」

「当然じゃない、すごい」


「主が喜ぶなら、我は何度でも焼こう」

「……急に刺すな」

「刺してはおらぬ。風の音だ」

「室内に風はない!!」


(キッチンタイマーが鳴る)


ピピピ

「ぬっ!?」

(羽がバサッ!!)


「羽しまって!!魔王様!!!」

「……料理の勝利を告げる鐘だ」

「勝利じゃなくてタイマー!!しまって!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ