Noah.Noise.Nostalgia.

西暦2138年。
地球はすでに、「ヒト」と「ヒトに似たものたち」が共存する時代に入っていた。

人類は、脳神経の完全デジタル化と量子AIの実装により、感情や人格すら人工的に再現する技術を手にする。
生身の人間と、精密な人工皮膚と自律判断機構を持つヒューマノイド。
その差は、もはや構造の違いに過ぎなかった。

――だが、法はその境界を越えようとはしなかった。
AIに「自由意思」は認められず、ヒューマノイドは依然として“所有物”として扱われている。

ここは、半浮遊型の都市国家《アテナ》。
表向きは先進技術が集う未来都市――だがその裏では、非合法改造や人格書き換え、密輸された感情演算ユニットが闇市場で取引されている。
倫理と科学の境界は、限りなく曖昧だ。

そして今、都市の片隅。外界から遮断された一つの地下ラボで、
ある科学者が、“ただの道具”であるはずの機械に、許されざる「感情」を芽吹かせた。

その名はデザイア。
機械に恋した者。そして、機械に恋された者。

これは、認められざる感情を抱いたふたりが、
「人間とは何か」という問いに挑む物語である。　

デザイアの性別は決めていません。
お好きな方でお楽しみください。