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今夜は婚約破棄

作者: 上総

ぱっと思いついたアイデアを深夜のテンションで勢いのまま形にしたものです。

ネタがわからないと全く意味不明だと思いますが、光景を頭の中で思い浮かべて「なるほどね」とニヤッと笑ってくれる方が一人でもいれば嬉しいです。


ジャクセン王国の王都ミカエロにある王立学園は貴族の令息・令嬢が通う学園である。


ある日の放課後、学園内の遊戯室では令息達がカードゲームに興じていた。


しばらくして、一人の令息が立ち上がると隣のテーブルに座っている別の令息に歩み寄り、背中をポンと軽く叩いた後にそのまま出口へと向かう。


背中を叩かれた令息は立ち上がると後を追い、二人はそのままカフェから出て行った。


" ゴーン、ゴーン、ガーン、ガーン、ゴーン、ゴーン、ガーンーーー "


" ツツチャ、ツッチャ、ツツチャ、ツッチャ、ツツチャ、ツッチャ、ツツチャ、ツッチャ、… "


校舎の間にある庭園では王太子の婚約者である公爵令嬢とその取り巻きの令嬢達が茶会を行っていた。


中央の席に座っていた公爵令嬢が立ち上がると、庭園の外へ向かって歩き始める。


すると取り巻きの令嬢達も次々と席を立ち、公爵令嬢の後を追った。


" ダーダダダダー、ダーダダッダ、ダーダダダダー、ダーダーダ ダーダダダダー、ダーダダッダ、ダーダダダダー、ダーダーダ "


王族専用の個室では、宰相の長男が王太子にジャケットの上着を羽織らせている。


王太子は部屋の出口へと向かい、その後に側近候補の令息達が続く。


" 王太子殿下の婚約者の公爵令嬢は言った「殿下に纏わりつくのはやめなさい」 "


" 「あなたのような女性が殿下にふさわしい訳ないでしょう、消えなさい」 "


放課後の校庭を王太子を先頭とした令息達の一団が進んでいく。


" 令嬢の瞳には怒りの炎がやどり、言葉に一切の容赦はない "


女子寮の一室、部屋着を来たピンクブロンドの男爵令嬢がベッドの上にうつ伏せになっている。


" だから婚約破棄、とにかく婚約破棄 "


校庭の王太子とは反対の場所を、公爵令嬢を先頭とする令嬢の一団が歩いていく。


" 殿下から離れろ、お前にお似合いの相手で満足しておけよ "


" 修道院送りにされたくないだろ、能天気なヒロインにはなるなよ "


王太子が進むに連れて、その途上にいた令息達が集団に合流していく。


" 幸せになりたいんだろ、下位貴族の令息にしておけよ "


ピンクブロンドの男爵令嬢はベッドの上で仰向けになると頭の後ろで手を組む。


" だから婚約破棄 でもお前は殿下と恋人になりたいんだな "


本館二階の教員室、窓の日除けの隙間から眼鏡を掛けた教員が外の様子を伺う。


" とにかく婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄 "


" 誰だってざまぁされたくはない "


ピンクブロンドの男爵令嬢は上体を起こすとベッドの隅に座った状態になる。


" 如何に殿下に愛されているかを公爵令嬢に見せつけるのがお前の戦いだ "


" どっちが有責なのかは重要じゃない "


男爵令嬢は立ち上がると、ゆっくりとベッドを離れ前に進む。


" だから婚約破棄、とにかく婚約破棄 だから婚約破棄、とにかく婚約破棄 "


急に顔だけをこちらに向け、こちらをじっと見る男爵令嬢。


" 公爵令嬢はお前を家ごと潰そうとしている、まだ間に合ううちに殿下から離れるんだ "


" 平民落ちはしたくない、貴族の令嬢でいたいんだろ "


たたずむ公爵令嬢達の一団の前に馬車が停まる。


公爵令嬢を先頭に、令嬢達は次々と馬車に乗り込んでいく。


" 生きてるうちに、身の程を知っておけ "


赤いドレスを着た男爵令嬢が自室を出て、廊下を向こうへと進んでいく。


" だから婚約破棄、とにかく婚約破棄 "


不意に後ろを振り向く男爵令嬢。


" 殿下の愛があれば貴女なんか怖くないと公爵令嬢に見せたいんだな "


" 自分の家族を巻き込んでいるんだ、これは乙女ゲームじゃないんだぞ "


校内の歩道を王太子の一団が進んでいく。


" お前の家を取り潰して、家族全員を平民に落として、そして公爵令嬢は言うだろう、これは正当なことだって "


" だから婚約破棄、でもお前は殿下と恋人になりたいんだな "


シーンが公爵令嬢の一団へと切り替わる。


" とにかく婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄 "


" 誰だってざまぁされたくはない "


真っ赤なドレスを着た男爵令嬢が両手で扉を開き、無人のカフェに入ってくる。


" 如何に殿下に愛されているかを公爵令嬢に見せつけるのがお前の戦いだ "


" どっちが有責なのかは重要じゃない "


カウンターの中を覗き込んだり、カウンターの中に入ったりする男爵令嬢。


" とにかく婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄 "


" 誰だってざまぁされたくはない "


シーンが遊戯室に切り替わる。


テーブルに両手を突いた後、くるりと一回転して片足を高くあげる男爵令嬢。


" 如何に殿下に愛されているかを公爵令嬢に見せつけるのがお前の戦いだ "


" どっちが有責なのかは重要じゃない "


テーブルの隅に腰掛け、こちらを向く男爵令嬢。


" ただ婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄 "


男爵令嬢の顔へと画面がズームされていく。


" ゴーン、ゴーーン… "


" 婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄… "


卒業パーティー等が行われる大講堂。


向かって右側にある入り口の複数の扉が空き、公爵令嬢達の一団が中に入ってくる。


" ゴーン、ゴーーン… "


" 婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄… "


反対側には令息達の一団、そして馬に乗った王太子が現れ馬から飛び降りる。


" (リードギターによる印象的なギターソロが始まる) "


睨み合いながら前へと進む王太子と公爵令嬢。


中程で二人はお互いに背中を向けると、さらに近づいていく。


そして背中がぶつかると二人は振り向き、王太子は左腕、公爵令嬢は右腕を横に突き出す。


一人の令息が、二人の手首を縄でぐるぐる巻きにする。


王太子は短剣、公爵令嬢は鉄扇を取り出す。


片腕を縛られたまま体を後ろに引く二人。


そして二人はぐるぐると回り始め、二人を取り巻く令息・令嬢達もそれに追従して左右に動く。


短剣と鉄扇で攻撃を繰り広げる二人。


" 婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄 "


攻撃と移動を何度も繰り返し、そして最後に肉薄する二人。


" 誰だってざまぁされたくはない "


" 如何に殿下に愛されているかを公爵令嬢に見せつけるのがお前の戦いだ "


正面にある舞台から男爵令嬢が一歩一歩と階段を降りてくる。


" どっちが有責なのかは重要じゃない "


王太子と公爵令嬢の間に分け入り、二人を引き離す男爵令嬢。


" とにかく婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄 "


" 誰だってざまぁされたくはない "


" 如何に殿下に愛されているかを公爵令嬢に見せつけるのがお前の戦いだ "


" どっちが有責なのかは重要じゃない "


二人の前に出て激しい振り付けで踊り始める男爵令嬢。


男爵令嬢の斜め後ろに王太子と公爵令嬢、さらにその後ろに令息・令嬢達が並び、同じ振り付けで踊る。


" とにかく婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄、婚約破棄 "


" 誰だってざまぁされたくはない "


" 如何に殿下に愛されているかを公爵令嬢に見せつけるのがお前の戦いだ "


" どっちが有責なのかは重要じゃない "


男爵令嬢を中心とした踊りがしばらく続いた後にカメラがズームアウト。


踊る一団全体を映しながら、音楽がフェードアウトしていく。


(End)


お読みいただきありがとうございました。

よろしければ感想、評価、ブックマークなどいただければ幸いです。


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