3話 ラングルへ
地球の環境と似た星だが違った文明を持つ世界の物語
俺は殺人依頼を達成してギルド内で少し有名になった、居心地は良いが準備が整ったので旅に出る事にした、季節は今から寒くなる南へ向かおう
町で野営道具を揃え食料を買い込み旅に出る、荷物はストックルームに入れておけるので武器だけ装備する、歩くか?馬を買うか?馬車を買うか?悩んだが最初は歩く事にした
町から離れると周りに人は見えない景色の良い場所を1人ひたすら歩く、警備隊の訓練で歩く事には慣れているし荷物を背負っている訳ではないので苦にならない
歩いていると親切な馬車に乗った人が馬車に乗せてくれる近い距離でも嬉しいものだ、夕方まで移動して初日はテントを張り野営する
2日目もひたすら歩く景色を楽しみながらと思っていたがそれは初日だけだった、体力的には問題ないが1人は暇だ、馬か馬車にすれば良かったと後悔しながら歩く、後方から馬車の音が近づいてくる、乗せてくれないかなぁ〜と思いながら歩く
「兄さん何処まで行くの?」
馬車に乗る女性が声をかけてくれた、行き先も同じで次の町まで乗せてもらえる事になった、女性の名前はメリッサ彼女も旅をしているらしい、女性の1人旅この人はかなり強いと思う、強くなければ襲われてお終いだ
俺のハンターになるまでの経緯を話しながら馬車を進める
「それで君は強いの?」
突然の質問に首を傾げているとメリッサは武器を準備し始めた、準備が終わると前方に数人の男がいる、盗賊だ
「君、あの男達を倒せる?殺してもいいわよ」
「分かりました」
馬車に乗せてもらったお礼に俺は前に出る、魔法も見せて構わないだろう男は5人盗賊ならそれなりに強いはず出し惜しみ無しだ
「霊体達よ全員出て戦え!」
霊体が出て盗賊と戦う、数体やられたが全滅させた、霊体ストックにまだ余裕があるので盗賊達の霊体も『ファイター』としてストックしておく
「凄い魔法を使うのね、絶対に加勢がいると思っていたのに予想外だわ」(メリッサ)
盗賊を倒した後馬車を走らせ地形の良い場所で野営することにした
俺は元料理人のレミントンから料理を習っている、少しだけ上達した料理を振る舞う
メリッサさんは美味しいと食べてくれた、食事を済ませ休憩しているとメリッサさんが話しかけてきた
「魔法は見せてもらったけど剣は使えるのかしら?」(メリッサ)
「多少は、、、手合わせお願いします」
日が落ちるまで手合わせしてもらったが、俺は手も足も出なかった、強い人だろうとは思っていたが、ここまでとは、、、ハンターランクを尋ねると5つ星ハンターだと言う事だった敵うはずない
日が落ち焚き火を眺めて酒を飲むメリッサ、俺は酒が飲める15歳になっているが身体に合わず殆ど飲まない、特に屋外では何があるか分からないので、こんな時はコーヒーを飲むようにしている
「クロノ君、君の魔法が凄いのは分かるけど、その戦い方は早死にするわよ」(メリッサ)
「どうしてですか?」
「剣術と魔術のバランスが大事なのよ、魔術が強いから大丈夫と思って戦っていて魔封じされたらどうするの?逃げる事が出来ればいいけど結界魔法は魔封じと同時に物理壁も出来るのよ、剣術と魔術の弱い方を基準に戦う相手を選べば問題ないけど普通は総合力を考えて戦う相手を選ぶでしょ」(メリッサ)
「じゃあどうしたら生き延びれるハンターになれますか?」
「、、、、、グゥ〜」(メリッサ)
酔っていたメリッサは寝てしまった、俺はメリッサをなんとか馬車に入れ眠りについた
翌朝目を覚ますとメリッサは既に起きて朝食の準備をしている、昨日していた会話の内容は覚えていない
酒を飲み始めてからの会話の内容を1から説明して、そんな話をしたような気もすると言うところまできた
それで『じゃあどうしたら生き延びれるハンターになれますか?』と言う質問の答えが欲しいと聞くと
答えに悩むメリッサは頭を掻いたりその辺を転がってみたりと独特の悩み方をする
「よっし、ラングルまでに考えよう」(メリッサ)
散々悩んでその答えかよと言いたくなるがやめておく、馬車を走らせラングルの町を目指した
夕方ラングルの町に到着するとメリッサは俺を武器屋に連れて行く
「オヤジ客だ」(メリッサ)
客って多分俺の事だよな?何を売りつけるのか俺は身構える
「金は持っているか?」(メリッサ)
「普通店に入る前に聞きません?少しは持ってますけど」
「死にたくなかったら、お前の貧弱な装備をなんとかしろ、この店の商品は良い物ばかりだ」(メリッサ)
俺の装備を見て良い店を紹介してくれたんだろうが、この人には常識がないのか?順序よく説明して案内する事を知らないらしい
確かに俺の装備はメリッサの装備に比べると貧弱に見える、買い替え時かもしれない
とりあえず剣を買い替える事にした、新しく買った剣は軽くて振りやすい
しかし警備隊で鍛えられた俺はハンターの世界では弱いのか?メリッサが異常に強いだけではと思ってしまうが、強ければ強いほど安心して旅出来るのは間違いない
「剣を変え強くなった俺は生き残れるハンターですか?」
「馬鹿かお前は、装備だけで強くなれるなら金持ちは皆強者だ」(メリッサ)
確かにそうだがこの人の口調はどうも俺には馴染めない
「お前を弟子にして私が鍛えてやろうか?」(メリッサ)
メリッサは俺を弟子にする提案をしてくれたが
「いえ自分で頑張ってみます」
俺はキッパリと断った、弟子入りして鍛えてもらうのが1番なんだろうが、メリッサさんに馴染めそうになかった事と鍛え方は既に自分で考えていたからだ
俺はしばらくの間この町で狩りをしながら自身を鍛えていく事にした