1話 クロノ・エバンス
地球の環境と似た星だが違った文明を持つ世界の物語
D4015年僕はKZ110831、15歳の男子
この星では人は生まれた時から管理され個別の番号が与えられる、生まれてきた子供は集団生活で学問を学んだりスポーツをしたり創作作業をしたりして教育を受ける、10歳の時に最初の選択をする教育機関から本人に自身の能力適性が教えられ将来どのように働いて生活するか考え進学、就職等を選ぶ
僕は他の人に比べ並外れた魔力、体力を持っていたが学力は平均以下だったため警備隊員を希望して就職した
この星はイリスと呼ばれ四つの大陸があり各大陸が国家として機能している、僕がいるのはアレリア大陸で北半球に位置する
僕の仕事の警備隊は暇な割に給料が良い、有事の際には命を懸けて戦う事になるが、大陸間戦争などなく災害時の救助活動や復興支援活動が主な役割で獣駆除も行う、警備隊の生活は平常時は訓練で鍛えるだけの日々だ、2班に分かれ午前と午後で剣術と魔術の訓練を交互に行う、そんな生活で5年を過ごした
この星では15歳になると名前を自身で選んでつける事ができる、行政機関から提案された候補の中から選ぶか自分で好きな名前を選ぶか自由に出来る、僕は提案された名前の1つを選んで『クロノ・エバンス』とした、自分のことを指す1人称も僕から俺に変えた
仕事はそのまま警備隊を続ける事も出来るが一攫千金を夢見て『ハンター』となる決断をする、警備隊の1〜2割程度、特に戦闘に自信のある者は同じ道を目指す珍しくもない進路だ
警備隊を脱隊して所属していた警備隊駐屯地近くにあるコラッドの町のハンターギルドに登録をする、仕事は獣駆除、護衛、諜報、が主な仕事だが殺人と言った物騒な仕事もある、他には森などを探索して狩りをし肉や毛皮、牙、角等を販売して生計を立てる事も出来る
ハンターにはランクがあり最初は全員が1つ星(現在の世界最高ランクは7つ星らしい)、今日は初日でギルド内を見て回る依頼ボードには獣の駆除や護衛の依頼が募集されている他にもメンバー募集と言うのもある、ランクによる制限はないが推奨ランクが記載されていて、かけ離れた依頼は命を落としかねない内容らしい
ギルド内には警備隊で同期だった者が数人いてパーティーを組んで行動するらしく俺も誘われたが、折角警備隊を脱隊したのに同じメンツで行動するのは、と思い断った
手始めに何か仕事をしたいと思いながら依頼ボードを見ていると、隣にも同じようにボードを食い入るように見ている人がいる、その隣には女性もいる、お邪魔にならないようにその場を離れるつもりだったが
「あの〜、この町の方ですか?」
男の隣にいた女性から俺に話しかけてきた、この男女他の町からこの町に来たばかりで雰囲気に馴染めてないらしい、俺が怖そうな人に見えなかったから声をかけて、この地域の事を聞きたかったと言う事だ
俺は警備隊で此方にいたので多少の土地勘はあるし獣駆除の力は警備隊で訓練してもらって戦闘にも自信があるが隣の男はひ弱に見える、話をして数日行動を共にするくらいならと思い場所を移して話をした
男の名前はレミントンで女がマギー
レミントンはヒーラーで短剣を持っているが剣術は苦手、攻撃魔法も弱い
マギーは弓使いで風魔法を得意としている
前衛が欲しい2人の前に剣を持った俺がいたから声をかけた?俺も1度パーティーでの戦闘を経験してみたいと思っていたので良い機会だったのかもしれない
お互いの力を知るため依頼を受けずに森に入って獣狩りに行く事にした
森の中を歩いていると目の前に1頭のブラックベアが現れた
「思っていたより強い獣だが予定通りにいく」
「了解しました」(マギー)
俺が前に出て剣で軽くダメージを与える
「ファイヤーボール」(レミントン)
レミントンの放ったファイヤーボールがブラックベアに向かっていくが、コレでは当たってもダメージなしだろうと思える弱いファイヤーボールだ、手で簡単に叩き落とされた
「ウインドアロー」(マギー)
風魔法を纏った矢がブラックベアに向かって飛んでいきダメージを与えた、手負のブラックベアに俺がとどめを刺した、獲物を持ち帰るためにブラックベアを持って来た台車に乗せ運ぶ準備を終わらせ死骸を見ていると俺は何か身体の中から何かが熱く込み上げてくる
警備隊にいる時、戦いの最中に仲間の個人魔法が覚醒する姿を何度か見た、俺は今それを体験している、元々俺は魔力に恵まれていた基本四属性と言われる火水風土魔法は全て高いレベルで使える、個人魔法が覚醒しなくても問題ないと思っていたが普通の人より遅咲きで覚醒している、『ゴーストコントロール』『ストックルーム』と言う言葉が頭に入ってきた
能力と使い方も自然と頭に思い浮かぶ、試しに使ってみる
「ゴーストコントロール」
倒れたブラックベアに魔法をかける倒れたブラックベアから黒い霊体が現れて俺の前に立つ
「横の木を殴れ」
霊体が木を殴り木に傷が付く
「クロノ今のは?」(マギー)
「今覚醒した、俺の個人魔法ゴーストコントロールだ」
俺はハンター初日に覚醒して個人魔法を手に入れた、俺の個人魔法を見て驚きを隠せない2人、当の本人が驚いている能力だ2人が驚くのも無理はない
ここから俺『クロノ・エバンス』のハンター人生が始まる