141.大事な妹を救出せよ!
放課後。親父の連絡を待ちながら教室で俺の女たちとのんびり過ごしていると、羽彩に脅迫めいたメッセージが届いた。
「と、十羽夏が……十羽夏がな、なんでこんなことに……っ」
突然送られてきた明らかにただ事ではない様子の妹の写真に、羽彩は顔を真っ青にしてうろたえていた。
外見だけでも柄の悪さが滲み出ている男どもに拘束されている十羽夏。涙に濡れて恐怖している表情からは、演技などではなくこれが事実なのだと伝わってきた。
「『妹さんが呼んでるのでお姉さん来てくださーい♪』って、こいつら舐めてんのか?」
「羽彩ちゃんを呼び出して……想像もしたくないわね」
「これ……この場所に監禁しているということでしょうか?」
バカにした煽り文句とともに、ご丁寧に現在地まで書いてくれていた。
バカ正直に羽彩が来ると考えているらしい。どんだけおめでたい頭してんだよ……。
しかし、エロ漫画世界ならこれで成功してしまうのだろう。
実際にうろたえている羽彩は今にも飛び出して行ってしまいそうだった。こんな男たちがまともに考えているとは思えないが、仲の良い姉妹を標的にしたという点だけは的確だ。
女一人で無策で突っ込めば、待っているのはエロ漫画的な展開だけだ。
連中がわざわざこれだけの証拠を送ってくれているのなら、警察に通報するだけで事件は解決するだろう。
……だが、それでは十羽夏の安全は危うい。
こいつらが報復に何をしでかすかわかったものではない。それどころか、今だって手を出されていないとは言い切れないのだ。
「落ち着け羽彩。俺が助けに行く。日葵と梨乃は羽彩についていてやってくれ。それと、夏樹にこのことを伝えろ」
俺は返事を待たずに教室を飛び出した。
このチートボディなら、全力で走ればさほど時間をかけずに十羽夏のもとに辿り着けるだろう。
メッセージからでも、相手は頭の悪いチンピラにしか思えないのだが……もしかしたらこれも後継者争いの一環で、俺への攻撃かもしれない。
どちらにせよ一刻も早く十羽夏を助けてやらねえとな。羽彩の妹は、俺の妹みたいなもんなんだからよ。
俺は呼び出された廃墟へと辿り着いた。
ここまでずっと全力疾走していたのに、息切れの一つもしていない。この体力ならチンピラの相手くらい問題なさそうだ。
廃墟に入ると、奥の部屋から下品な笑い声が聞こえてきた。
「呼ばれたお姉ちゃんでーす。……で、俺の可愛い妹は無事なんだろうな?」
ドアを蹴破りながら、余裕な調子でそんなことを言ってやる。
「あん? 誰だよお前?」
柄の悪い男は三人……部屋を見渡しても他にはいなさそうだった。
十羽夏は泣いていて、衣服が乱れている。相当怖い思いをしたのだろう。
だが見た感じ、最悪の事態までは至っていないようだった。
よかった、と言える状況ではない。早く安心させてやるのが、今俺にできることだ。
「おいおいおーい! 爆乳お姉ちゃんはどうしたんだよぉー!」
「アンタお姉さんの友達? 頼まれて助けに来たってとこか?」
「じゃあこいつボコってもう一回お姉さんにメッセ送ろうぜ。頼りのお友達が役立たずってわかればお姉さんも来てくれるでしょ」
ぎゃははっ! と男たちは笑いながら、舐めた態度で俺に近づいてくる。
誰か一人くらいは十羽夏を人質として使うのかと警戒していたのだが……三人全員で俺に向かってくるとか考えなしにもほどがあんだろ。
まあ、こっちとしてはありがたいけどな。
「ぐべっ!?」
無防備に俺の間合いに入ってきた男の一人の顔面を殴打する。
そいつは鼻血を撒き散らしながら、白目を剥いて倒れた。
「は? ぐはっ!?」
仲間がやられているのが信じられないのか、呆けていたもう一人の男の腹に蹴りをぶち込んでやる。
そいつはゲロを吐きながら倒れて動かなくなった。自分のゲロにまみれても反応しないのだから、気絶したのだろう。
「この野郎っ! 俺はボクシングをやってたんだぞ!」
最後に残った男が右ストレートを放ってくる。
「だったら喧嘩で拳を使うんじゃねえよ」
そいつの右拳をあっさり掴んでやる。
渾身の右ストレートを簡単に止められて驚愕したのか、目を見開いて固まる男。俺はその隙を逃さず、空いた手で男の前腕を掴んだ。
俺の女の妹に怖い思いをさせたのだ。慈悲はない。
「んぎゃあああああああああっ!!」
下品な悲鳴が廃墟に響いた。
全力で握力を込めて、男の右拳と前腕を握り潰したのだ。メキョメキョメキョッ! と人体から聞こえてはいけないような音が響いている気がするが、連中がやろうとしていたことに比べれば生温いだろう。
「痛い痛い痛い痛いぃーーっ!! や、やめ……やめてくださいっ!!」
「相手がそう懇願して、お前は聞いたことがあんのかよ?」
「い、いや……」
口ごもる男の股間を蹴り上げた。
男は宙を舞い、泡を吹いて倒れた。こいつらに種は必要ないだろう。
「さすがだよ晃生くん」
「遅えよ夏樹」
「晃生くんが早すぎるんだよ。これでも急いで駆けつけたんだからね」
入り口から夏樹とお付きの執事っぽい男が現れた。
全部終わってから来るとか、タイミングを見計らってんじゃねえかと疑いたくなる。
しかし俺が早すぎたのは事実だからな。よく見れば息を切らせているようだし、急いだってのは本当なんだろう。
「佐々木、この男たちを拘束しろ」
「夏樹様の仰せのままに」
執事は男たちを拘束して連行する。意識のない男三人を担ぐなんて、あの執事もとんでもねえパワーだ。
「たぶん無関係だと思うが……」
「わかっているさ。一応なぜこんなことをしでかしたのか尋問しておくよ。絶対に嘘をつけないように念入りにね」
夏樹の凄惨な笑みに、俺はパンくず程度には男たちに同情した。
後のことは夏樹に任せて、俺は十羽夏を解放する。
「ケガはねえか十羽夏?」
「お、お兄ちゃん……お兄ちゃぁんっ!」
よほど怖かったのだろう。十羽夏は俺の胸に飛び込んで泣き出してしまった。
「安心しろ。もう大丈夫だからな」
泣いている十羽夏の背中を撫でてやる。
「あ、晃生くんが他の女に抱きつかれて……そ、そんな場面を見せつけられるなんて~~♡」
なんか背後からハァハァしている怪しい息遣いが聞こえるのだが、反応したら負けな気がするので無視をした。
「ぐすっ……助けてくれて……ありがとう晃生お兄ちゃん……」
十羽夏は嗚咽を漏らしながら俺に礼を言った。
身体が大きくても、まだ中一なんだもんな。
……押しつけられる胸の感触は中学生レベルじゃ収まらねえが。
ブラ越しでも伝わってくる圧倒的な質量。姉以上のポテンシャルを秘めている妹に、竿役の感情を抑え込むのが大変だった。





