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127.秘密の生徒会室

 郷田伊織。嘘か真実かはまだ判断できないが、一応俺の妹らしい。

 俺にそんな記憶がない以上、両親に尋ねるのが手っ取り早いのだろうが……気まずすぎて、その選択は取れない。

 俺が接触しやすい人物で、その辺の事情をわかってそうな奴といえば……。思い当たる人物が一人だけいた。


「あっ。そういえば伊織ちゃんがこの学校に転入する予定だったね」

「やっぱり何か知ってんじゃねえかよ」


 放課後の生徒会室で一人きりでいる夏樹に尋ねてみれば、今思い出したと言わんばかりの反応を返された。


「伊織の奴、俺を後継者候補から脱落させるだなんだと言ってたぞ。あれはなんのこと言ってんだ?」

「そ、それはだね……」


 夏樹は気まずそうに目を逸らす。

 また秘密にされていたってことか?

 俺を都合良くコントロールしようってんなら、俺の女になったばかりだが容赦しねえ。


「オイコラ。夏樹テメー……知っていたのに黙ってやがったな?」

「ま、待ってくれ! 今回は別に秘密にしていたわけじゃないんだ!」


 夏樹は慌てた様子で言い訳をする。


「秘密にしていたわけじゃなかったら、どうして黙ってやがったんだ?」

「そ、それはその……うっかり忘れていて……」


 うっかり、忘れていただぁ?


「……日葵、羽彩。やってしまいなさい」

「わかったわ晃生くん♪」

「お、音無先輩……大人しくお縄についてっ」


 俺が号令をかけると、日葵と羽彩が同時に動いた。


「え? え? な、何を……っ!?」

「音無先輩、覚悟ー♪」


 戸惑う夏樹に、日葵が襲いかかる。

 どこから持ってきたのか、ロープを使って夏樹の動きを束縛していく。羽彩は彼女が暴れないように腕を押さえつけていた。


「は、放せぇ~」


 そして完成したのは、生徒会室のホワイトボードに磔にされた夏樹という図である。


「ほう……。これはなかなか面白いですね」


 日葵と羽彩の合作に対する梨乃の感想である。

 夏樹は両腕を広げた状態で身動きが取れなくなっていた。

 その手首にはロープで縛られている。ホワイトボードの裏側で結ばれてしまったようで、ピンと張ったロープはたるむ様子がない。


「つーか、そのロープはどっから出てきたんだよ?」

「この生徒会室に置いてあったわよ」


「ほら」と日葵が指差した先には、何やら怪しげな道具が積み重なっていた。

 こんなもん生徒会が使う予定あんのか? と目を疑ったりもしたが、夏樹に聞くとろくな答えが返ってこない気がして気にするのをやめた。


「な、何をするんだ! わ、私を縛ってな、何をする気なんだ……や、やーめーろー」

「なんでちょっと嬉しそうなんだよ……」


 夏樹の表情はだらしないほど緩んでいた。しかもひどい棒読みだ。

 遊んでるわけじゃねえんだぞ。それをわからせる必要があるか。


「うっかり忘れていただと? 夏樹、その言い訳はねえだろ」

「だ、だってぇ……やっと晃生くんのモノになれて……興奮して夜も眠れなかったんだ。それ以外のことなんて些末なことだったんだよ……」


 こいつ……どれだけ俺のことが好きだったんだよ。

 いや、それは夏樹の口から聞いていたことだったな。それがちょっと想定よりも上だったってだけだ。うん。

 夏樹の愛の重さは置いておいて、俺のことしか考えられなくなってうっかりミスが増えるのは困る。俺もそうだが、夏樹が心配だ。


「頭ん中が俺ばかりだと夜も眠れねえってんなら、そこんとこはもっと自重しろよ」

「それは無理だ」


 夏樹はキッパリと言い切りやがった。

 無駄に意志の強い眼差しが俺に向けられる。

 その顔は男の俺が見ても惚れ惚れするほどのカッコ良さがあった。中身を知らなければ勘違いしそうなほどに。


「はぁ……。仕方ねえ、それならわからせてやるしかねえか」

「え? ももも、もしかして……お、お仕置きかい?」


 だから、なんでちょっと嬉しそうなんだよ。

 夏樹の目は期待で輝いていた。純粋な心を表しているのかってくらいキラキラしていた。

 そこまでお仕置きを求めているってんなら……その期待に応えてやろうじゃねえか。


「……日葵、羽彩。やってしまいなさい」

「ふふっ、待っていたわ♪」

「ちょっ、マジでやるの?」


 俺の号令で、日葵と羽彩が夏樹ににじり寄る。

 手をわきわきと動かす日葵と、何か棒状の物を持った羽彩を前にして、夏樹は声を上げる。


「ええっ!? 晃生くんがお仕置きをしてくれるのではないのか!?」

「夏樹は俺の女たちとの交流が足りていなかっただろ。いい機会だ。仲良くしてもらえよ」


 俺が後ろに下がると、日葵が嬉々として、羽彩はおずおずと夏樹に襲いかかった。

 両手を拘束されている夏樹に逃げる術があるはずもなく。ピンク優等生と金髪ギャルのお仕置きを一身に受けるのであった。


「この構図いいですね……。ふふふ、ものすごく捗りますよ」

「梨乃、完成したら俺にも見せてくれ」


 そして梨乃は三人の様子をスケッチするのであった。いろんな意味で他の生徒には見せられねえな。



2025.5.11(日)に文フリ東京が開催されます!

サークル花蜜茶で参加します。無料配布本や新刊がありますので、興味のある方は来てくださると嬉しいですぞ(詳細は活動報告にて)


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