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お嬢様の中身は多分違う  作者: 此代野小和莉
第1章 お嬢様と執事
9/22

第8話 パーティの始まりと午前中


ヴォリア公爵家に到着した。


馬車から降り、着替えを更衣室に置きに行く。

今回はパーティが長いため、朝から昼まではラフなドレスでいい。

昼に一度目の着替えをし、日が落ちたらまた二度目の着替えをする。


ちなみにドレスは魔法でロッカーに貼り付けてあるので盗難の心配は無い。



荷物を置いて、ヴォリア家の使用人にプレゼントを渡し、準備を終えてからご当主様とお嬢様を馬車から降ろす。


そのまま公爵家の廊下を歩きながら、


「今日の午前中はヴォリア公爵に挨拶などがありますので二人一緒に行動して頂けると助かります。

午後からはご当主様は私と、お嬢様にはメイドを付けますので、更衣室で着替えた後はある程度自由にして頂いて構いません。

夕方の着替えの後からはまた一緒に行動して下さい。」


と今日の予定を軽く伝える。


そうこうしている内に大きな扉の前に着いた。

ここがパーティ会場だ。



ホールに入り、少し周りを見渡す。

それなりに人が多くいる。

ガーデナー家はこの国でかなり地位の高い家なので、あまり早く着き過ぎるのは他の貴族が困るだろうと少し遅めに馬車を走らせたので丁度いい時間に着いたようだ。

この様子ならすぐに挨拶ができるだろう。



順番が来るのを待ちながら、もう一度辺りを見る。


「ご機嫌如何かな、愛しのシティー?」


…なんでいるんだ、コイツ。

いや、いるのは当たり前だろう、コイツの未来の部下の誕生日なんだし、と脳内で自己完結する。


顔を戻した所には、我らが王太子殿下、アルフレッド・カルテール様がいらっしゃった。


「!アル!貴方も来ていたのね!」

「あぁ、君の美しい顔を見れただけで来た意味があったというものだよ。」


と、砂糖を吐きそうなほど甘い会話をしている二人をご当主様が地獄の門番も震えあがる形相で睨み付けて(見て)いる。

つーかコイツ凄いな、相手の父親の前で娘さん口説くとか。あんまりお嬢様に響いていないようだけども。


ご当主様(悪魔)の方を見ると、わあ凄い。他人が見た時は穏やかな笑顔なのに目線が全て向けられなくなった瞬間悪魔が降臨する。

ハラハラしているといつの間にか挨拶の順番が近づいている。

とりあえず、ご当主様に耳打ちして殿下に話しかけてもらう。

執事如きが王族様に話しかけるのは無礼極まりないので。


「これはこれは、アルフレッド様。本日もご機嫌麗しゅう。

我々には、一体どう言った御用向きで?」


そう、にこやかな笑顔でご当主様が王太子殿下に話しかける。少々嫌味ったらしいがそのつねった手に免じて許そう。


「あぁ、ガーデナー公爵。ご機嫌麗しゅう。

どう言ったもこうも、愛しの婚約者の姿を真っ先に見たいと思っただけだよ。」

「それはそれは、ですが、この後我々もヴォリア公爵に挨拶しに行くので、少々お待ち頂けますかな?」

「そうか、ではまた。」


そう言って殿下は一度去っていった。

恐らくまた後でやって来るだろう。


「ありがとうございます。ご当主様。

そろそろ順番でしたので、助かりました。」

「あぁ、こちらこそ良かったよ、あのままシティーが口説かれているの見るの耐えられなかったから。」

「…お嬢様結構にぶちんなので多分大丈夫ですよ」

「でもー、なんか気分的にヤだろ?」

「まあ。」

「?何の話?」

「お嬢様が鈍かーー「シティーの服にあってるなって話!!」

「??そうかしら、お父様のおかげね」

「はぅわっ!!!」


おっと。ご当主様が撃たれた。




そんなこんなで挨拶を終え、ホールにまた戻ってきた。

顔には出ていないがやたらと幸せそうなご当主様の挨拶に多少ヴォリア公爵が困惑していたが、いつもこんな感じだからあまり気にされなかった。

いや、多分後で小言言われるかもしれないな。



ご当主様は午前中、他家の者と交流するようだ。

お嬢様も一緒にいるためか、いつの間にかまた殿下が出没して共に行動しており、大変面倒である。


とりあえず、軽めのお菓子などを皿に取って彼らに渡す。

お嬢様が目を輝かせてお菓子を食べているのを微笑ましげに見つめる殿下、を見つめるご当主様の表情についてはノータッチでいこうと思う。



ある程度腹も膨れ、交流もひと段落した所で、丁度お昼頃になったので更衣室に向かう。

流石に、と殿下は使用人らしき人に引き摺られ先に更衣室へ向かった。



「では、この後からは彼女にお嬢様に付いてもらいます。

信用出来るものなので警戒しないで大丈夫ですよ。」


とお嬢様にメイドを紹介する。

お嬢様が話しかけ、彼女も緊張が解けたようだ。

着替えの時点から別行動なので一旦はここでお別れだ。


「ではまた、夕方以降に。」

「えぇ、よろしく。」


そう会話を交し、……あぁ、そうだ。


「お嬢様、もし、本当に緊急事態が起こったら、()()を握って私を呼んでください」


そう言い、お嬢様に渡す。


「それでは」

「えっ!ちょっと、これ何ーーー!」

































「どうだ?」

「えぇ、念の為()は渡しておきました。

緊急の場合のみ使うように、とも言いましたよ。

まぁ、使わないで済むのなら、その方がいい。」

「そうか。」


更衣室へ向かう廊下。

ご当主様の声は、やけに大きく響いた。

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