第20話 帰りましょう
サフィル様とボスの契約が終わった。
もうこの森に用はないのでさっさと退散することにした。
お嬢様が殿下たちに森を出ることを伝える。
「帰るのはいいが、こいつはどうするんだ?
このまま森に置いていくのが正解だとは思うが…」
すると殿下が心配げにサフィル様とボスを見つめる。
逆に置いていかない選択肢があることが驚きなのだが。
だってボスはかなり図体がデカイ。
屋敷に連れ帰ったら大パニック所では無い。
「うーん、そうね…確かに屋敷には連れて行けないし、可哀想だけど、ここで待っててもらうのがいいかもね。」
お嬢様も概ね同じ考えのようで、置いていく方に話がまとまりそうなその時、
『あら、アタシの大きさがこれじゃなければ、サフィルのお家に行ってもいいの???』
「えっ、あっあぁ、まあ」
ボスが口を挟み、思わずといった感じでサフィル様が返事をする。
『分かったわ!ちょっと待って…』
そうボスが言った瞬間『ポンッ』と軽快な音が鳴り、彼女の姿を一瞬見失う。
それもそうだ。
お嬢様が縦に3人積まれてもまだ足りない程のサイズだったボスが、そこら辺に居るフクロウと同じ程の大きさに変化したのだから。
随分小さくなった彼女はおぼつかない足取りでサフィル様のそばまで駆け寄る。
…なぜ飛ばないのかと思ったが、怪我でボロボロだし当然か。
戻ったらお嬢様の手当をしないと。
『この大きさなら、サフィルのお家に行ってもいいかしら???』
サフィル様のそばで派手色のフクロウが首を傾げる。
「それは、まだ分からないが…どうやってやったんだ?」
『あらサフィル!これに興味があるのね!
と言っても、大体のボスは出来るはずよ???
こう…体の中の魔力をギューってして内側に容れるのよ。アタシたちは力が強くなるほど魔力が増えて、それによって姿を保っているの。だから魔力の体積を小さくすれば、体も小さくなるってワケ』
「へぇ…知らなかった…」
関心する殿下達にボスがすこしドヤっている。ちょっとうざい。
「まぁ、このサイズなら連れてってもいいんじゃないか?」
そんな殿下の一言により、結局ボスはサフィル様の家に行くことになったのだった。
そんなこんなで森から脱出し、屋敷へと帰ることになった。
ご当主様、発狂していないだろうか。
あの人が愛するお嬢様を心配する余り、奇声を発していても不思議じゃない。もしそうならエリサに申し訳ないことしたなぁ…
森からの帰り道は、ボスに魔法で転移させても良かったが、あまりにボロボロだったので仕方なくお嬢様を助けに行った時の道を戻って行くことにした。
「ということなのですが、かなり帰り道に距離があるので時間がかかるのですが大丈夫ですか?」
「えっ、えぇ、時間かかるのは構わないけど、貴方私が呼んだ時すぐ来たじゃない、転移魔法でも使えるのじゃないかしら?」
「魔法じゃなくて、ダッシュしてきました。」
「ダッシュ…?」
残念。転移魔法なんて便利なものが使えればとっくに使っている。
「あ、それか私が皆様を担いでダッシュしましょうか?
…そうです!そうですねそれがいい。」
「えっ、ちょっまって、」
お嬢様のおかげで名案が浮かんだ。
さっそくその案を遂行すべく、殿下達を左肩に担ぎ、お嬢様を右の小脇にかかえる。ボス(鳥)はなんだか慌てたようにサフィル様の周りを飛び回っている。
「さぁて、ご当主様が心配です。かっ飛ばしますよ。」
「はぁっ!?おっおいどういうことなんっ!」「ちょ、ちょちょちょちょまってくださ」『あわわわさふぃるぅ!!!!』「あぇぁぁぁああなたほんとわたしの話きかないよねぇぇぇえ!」
こうして騒がしいクソガキ共を抱え、無事、ヴォリア公爵家の屋敷へと帰ってくることが出来た。
○◆○
シティーが消えてから、もう5時間も経った。
(おそらく)下劣な魔物の魔法によって転移してしまったのだ。
一応助けには向かってもらったから生きてはいるだろう。
それは分かっている。でも、だからと言って心配していない訳じゃあないのだ。
あぁぁぁシティー…!大丈夫かなぁ!!!
痛い思いしてないかなぁ!殿下にくっつかれてないかなぁ!!ァァァァアア!
心配と行き場の無い怒りがない混ぜになってモヤモヤイライラが止まらない。
当然それは外に出さないけども。
いや、出していいかな?いっそ今大声で奇声あげてみようかな?
「いや、絶対やめてくださいよ。意味分からないですし、エリサが可哀想です。」
「だめかぁ……おっ!?かっ、帰ってきたぁぁぁあ!!?」
「お、お父様…心配かけて、申し訳ありません…」
愛しい我が娘が心配げに俺を見てくる。急に大声出してごめんねぇ…!
「ご、ご当主様ぁ…人前ですので、声を控えて…」
「あっあぁ、すまない。
…おほん。シティー。無事に戻ってきてくれて良かった。
それに、殿下方もご無事で何よりです。」
担がれていたのを降ろされても大分具合の悪そうな殿下達を少し気遣いながら、シティーを心配する。
その横ではエリサ達給仕組が何か話をしている様だ。
「エリサ。ご当主様のお世話、ありがとうございます。おかげで安心してお嬢様達の所へ行けました」
「いいえ〜。こちらこそ目を離してしまい、申し訳ありません……
ところで、この、なんていうか、その…どうしてみなさんぐったりしていらっしゃるのですか…?」
「私が担いで走ったからですかね?」
「あぁ…なるほど…」
あぁ…なるほど…だからか…とエリサと同じ感想が出てしまう。
でもまぁ、無事…とは言えないがみんなが帰ってきてくれたので、大海公爵に報告に行かなければ。
正直あいつそんな好きじゃねんだよなぁ…と思いながらなんとなく彼の息子に目を向ける…
鳥?




