第14話 戦闘
「放出:位下ーー充填:火属性ーーー《火球》!」
アルの詠唱が終わると同時に彼の貼った魔法陣から火球が飛び出す。
そのまま火の玉は一直線にボスへと飛んでいき着弾。
彼女の羽を焼く。
「ーチッ、やはりあまり効いていないな。」
『ちょっと!
いきなりレディの体を焼くだなんて!
最低ね!!!』
「は、言ってろ、よっ!!」
そう言い返し、アルがドンドン火球を放つ。
それを器用に避けながらボスも反撃として魔法を撃ち出す。
「…す、凄い…!」
通常、魔法の詠唱が終わり魔法陣が貼れたら撃てる魔法は一発だけなのだ。
なのに何故かアルは何度も火球を撃っている。
「…陣に魔力を込め続けているんです。
そうすれば貼った陣が崩れない。
でも、かなりの集中力がないとできません…!!」
そうして話している間にもアルとボスの戦いは激しくなっていく。
「メインのアタッカーは殿下にお任せして、ガーデナー嬢はサポートと後方攻撃をお願いしたい!僕も協力する!
放出:位下ーー充填:水属性ーーー《水矢》!」
そう言い、サフィルが陣を貼る。
まるで弓に矢をつがえ、打ち出すかのような動きをし、そこから飛出た矢は真っ直ぐボスの額に当たった。
「流石に刺さりませんよね…」
『もう!!!
サフィルまで???』
フクロウが首を傾げながら、こちらを見つめる。
サフィルの矢もあまり聞いていないようだ…
だが、サフィルも矢を放ち続けている。
二人が攻撃をしているがあまりボスに効いていない…なら!
私ができる攻撃は何かあるか?
今、私達が使える魔法は上・中・下あるうちの下と中の簡単なものだけだ。
しかも、中等部の時にあらかた下位の魔法は習ったが、まだ高等部に入ったばかりの私達では中の魔法をあまり上手く扱うことが出来ない。
それにサフィルが支援と言っていたのなら…!
「放出:位下ーー充填:地属性ーーー《地壁》!」
私の詠唱と共にボスの足元に土と草木で出来た壁が生える。
良かった、悪役令嬢としての経験があるからか魔法はしっかり発動できた。少し安心だ。
『キャッ!!
…もーーーーー!!!!
放出:位中ーー充填:風属性ーーー《虹羽弾》!!!!!!』
「「「!?」」」
怒ったかのような声を出し、ボスが攻撃に移るーーーッ!
中位魔法!?
「放出:位下ーー充填:地属性ーーー《地壁》!」
咄嗟に先程と同じ呪文を唱え、今度は自分と近くにいたサフィルの傍に壁を生やす。
ズドドドドドドドッ!!!!
と大きな音がし、壁に針のように尖ったカラフルなモノが突き刺さっているのが見えた。
「サフィル様!大丈夫ですか!」
「ゔ、うん、大丈夫だ…
それより殿下は!?」
「…ゲボッ、問題ない…が、今の攻撃で陣が崩れてしまった。
しまったな、武器がないから魔法をメインで戦わないといけない…ッ!」
『ヨユーそうね???
アナタが一番ウザったいのよ???』
無事を知らせるためにこちらを見たアルにボスが再度攻撃を繰り出す。
さっきの中位魔法は撃っていないのがまだ救いだろう。
「攻撃を見るに、属性は風だろう…
サフィル!多分、水属性とは相性が悪いから、後方攻撃のメインをシティーに変えてくれ!
シティー!お願いしていいか?」
「!もちろんよ!」
《壁》系統の魔法はその属性の効果を持つ壁を生やす魔法だ。
さっきは躓かせることと、低空飛行の邪魔目的で使ったが、今回には向かない…なら、サフィルほど上手く使えないけど、
「放出:位下ーー充填:地属性ーーー《地矢》!」
詠唱終了と共にツタが絡みできた弓から矢が放たれる。
サフィルは陣を崩さず連射できていたが、私にはあまり上手く出来ないので、とにかく詠唱を何回もするという超古典的手法で矢を射まくる。
今回は相手の方が魔法に長けていて、更にボスときた。当然、相当強い。
だけどこの前遠くからチクチクとでもダメージを積み重ねて行けばあるいは…
そう考え、三人で協力しながら魔法を放つ。
アルは《火球》を使った前衛。
普通魔法は遠距離から放つものなのに、わざと近付いて上手くボスを引きつけてくれている。
私は《地矢》を使った遠距離攻撃。
サフィルはあの攻撃以降はボスに攻撃を当てずに《水壁》を何度も展開して守りを固めてくれている。
そして、さっき生やした壁にボスが躓きかけた瞬間!
「いまだ!」
アルの号令とともに三人で一斉に攻撃を放つ!
『イッ!
……放出:位中ーー充填:風属性ーーー《虹羽弾》!!』
またさっきの中位魔法!
もう一度壁を生やし、即座にそこへ隠れる。
今までの攻撃は無差別に全方位に撃っているようにみえた。
つまりボスはまだ目が十分に見えてないはず、ならーー
ズドドドドドドドッ!!!!!
「痛ッ、!ど、どうして…?」
「シティー!?
だ、大丈夫か!?!?」
「っ、えぇ、腕に少し掠っただけ…」
明らかに、さっきとは違いこの壁に向かって集中的に攻撃が来ていた。
一点に攻撃を浴びたせいか、壁が崩れかけ、貫通した羽が右腕に刺さり切れてしまった。
痛い、痛い!
現代社会でおおよそ出会うことがないあろう腕を切り裂かれるという経験に動揺する。
だが、今は、魔物との戦いをしている最中なのだ。
そう思い、アルに心配されてしまったがなんでもないように返事する。
「で、でも、なんで目が見えて…」
『見えてるわよ???
言ったでしょ!
一目ボレって!』
!?
「は…?
サフィルに会う前から目が見えていたのか?」
ボスの発言に思わずアルが聞き返す。
『そうよ!
光が見えなくったって、この森の強い魔物は皆、魔力が見えているわ!
サフィルの魔力、とってもキレイなのよ???
だから一目ボレしちゃったの!
顔で選んでないわ!』
地味にうざく矢を飛ばしていた私に攻撃が当たって嬉しいのか、愉快そうにボスが笑い、首を傾げる。
とりあえず、あの中位魔法をどうにかしないと勝ち目は無さそう…
…そういえば、1回目にあの魔法を放った時、アルとサフィルだけが攻撃していた所に私が魔法を使った瞬間あの攻撃がされた。
2回目は、アルと私だけが攻撃していた時にはあの魔法は放って来なかった。
でも、サフィルが攻撃に加わった途端、魔法を使用した。
…もしかして、
「ッ、クソ!
とにかくあの魔法をどうにかしないと…」
「ねぇ、アル、あの魔法の発動条件、分かったかもしれないわ。」




