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作者: オッキー

 僕には時間旅行をする事が出来る力がある。

 その力は突然、目覚めカレンダーを見て自分が生まれた年と日付から今現在の年と日付までの間で好きな時間に行くことができる事である。


 僕は、2025年6月10日に生まれ、今は2045年の7月10日であり、20年と1か月の間であれば過去に戻る事が出来る。

 例えば、ちょうど1か月前の誕生日にも戻り、初めてお酒を両親と一緒に飲んだあの感じをもう一度味わう事が出来る。


 しかし、その力は紙のカレンダーの日付に触れる事でしか使う事が出来ず、一度行った日には一度しか行けず、さらにはその日付での滞在時間は1時間で現在の触れた時間が過去でも同じ時間になる。

 その1時間だけは周りの人に催眠がかかり、あたかもずっといるような感覚に陥るらしい。

 ※過去の事件などの出来事を変える事は出来ない。


 そして、僕は今日その時間を使う。

 僕が戻りたい日付は2035年の12月31日の年越しの瞬間。

なぜその日に戻りたいかというと、母親が最初で最後の手作り年越しそばを作り、それが異常なほどにおいしかったのを昨日の夕食のそば弁当を食べた時に思い出して、もう一度食べたくなった。

※翌年も作ると意気込んでいたが、面倒ぐさくなったらしく今は3人でカップ麺を食べている。

 

 そして僕は眠たい目をこすりながら23時になったのを確認して、紙のカレンダーからその日付に触れた。

 靄がかかりさっきまで何も匂いがしなかった部屋から急にいい匂いがしてきた。

 靄が腫れた時には、目の前にそばがあり泣きそうになってしまった。

 「ほら、あんたも早く食べないと年を越しちゃうよ」

と声がしたので見ると今よりも10歳若い母親が見ていた。

 僕は「いただきます」と言ってそばを食べ始めた。


 口に入れた瞬間、その味により懐かしい気分になり目から涙が零れ落ちた。

 それを見た母が「あら、そんなに泣くほど美味しいなら、もっと作ればよかったわ」

と後悔している。

 10歳の自分と10歳若い父も目を丸くして見ているが二人とも自分事のように嬉しそうにしている。

 僕は夢中で食べた。

 そして、10歳の自分も入れた4人での会話をして時刻がもうすぐで24時になる所でみんなで一緒にカウントダウンをして年を迎えた。

 テレビが除夜の鐘を鳴らしてその音とともに再び靄がかかり、僕は現在に戻ってきた。

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― 新着の感想 ―
地味ながら凄い特殊能力を持つ主人公。その使い方が地味で素朴なのにも好感がもてました。 ただ、「母親が最初で最後に作ってくれた」のところが最後まで引っかかって、結局何もなかったのである意味ほっとしてい…
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