8/6「パン綱引き」
パン食い競争、もはやアニメですら描かれることは少ない競技。
だがこの世界では違った。
パン食い競争、パンを咥えたままゴールまで走る、そのシンプルながら、走者の間で行われる心理戦は奥深く、シーチリンピックの種目にもなっていた。
そしてそのパン食い競争を更に発展させたのがパン綱引きである。
パン綱引きは様々な種類・形のパンを双方から咥え、自分の陣地まで持っていく競技である。
パンは絶対にちぎれない用に加工がされている。
そんなパン綱引きもシーチリンピックの種目にもなり、
記念すべきナハナハシーチリンピックで第一回パン綱引き種目の決勝戦が今行われていた。
『さぁ、パン綱引き決勝。まずは選手の入場です』
『赤いユニフォーム、アカメリー代表、マイルド・ナックル選手です!』
『おお、これはかなり仕上がってますねぇ』
『続いて白のユニフォーム、我らが日藩代表、梅安小太選手です!』
『8月に行われた世界選手権では惜しくも敗れていますからね、リベンジなるか注目です』
『さぁ両者パンを咥えました、本日決勝のパンは魅惑の輪っか、ドーナツです!』
『形の公平はとれてますね、後はどれだけ自分のペースに持っていけるか』
『両者が睨み合う、綱引きとはまさに逆相撲なのです。……あっと!今合図が切られました!』
『さぁまず大きく引けたのはマイルド選手!どんどんと梅安選手ごと引っ張っていく!』
『梅安選手は粘り勝ちが基本戦法ですからね、この位置はなかなかです』
『さぁ少し方向が変わっていっている!ああっと!? なんとここでマイルド選手が転落した!パンは梅安選手が咥えたままだ!!』
『決まりましたね』
『だがマイルド選手、なんと溺れている様子!彼はカナヅチなんです!』
『しかし梅安選手なんとここでドーナツをマイルド選手へと投げた!決して浮き輪の代わりにさせようとしているのではありません!マイルド選手の体力回復のためです!』
『初優勝の記念品になるんですが、相手への敬意を表す、これこそが梅安選手なんです』
『そして今、本物の浮き輪によってマイルド選手は救助されました』
『やりきりましたね』
『こんな事あった時のトビー印の浮き輪!』
その後電話番号が出てそれが終わった。
……チャンネル変えたらよかったな。