8/3「危ない兵器」
とある研究所にて、そこでは最新の兵器開発が行われていた。
「つ、ついに出来たぞ!これがあればどんな敵でも撃ち抜くことが出来る!!」
一人の研究員の元に続々と他の研究員が集まって歓喜の声を上げていた。
「すごいな、これは……」
「確かにこれなら迫りくる隕石すら完全に粉砕できる……」
研究員は大きく伸びをした後、ため息をついた。
「しかしこの兵器だけでは無理なんだ、最大の課題である照準が定まらないというのが解決できていないんだよ……」
研究員の説明によれば、その兵器はとても強力で、どんな物質も一瞬のうちに粒子レベルで分解して、更にそこにエネルギーを送り込むことにより追い打ちをかけるという仕組みだ。
だがこの兵器の開発には当初から大きな課題があった。それが照準が定まらないという事だ。
「シミュレーション実験では兵器から膨大な量の電磁波が発生されて、ロックオンシステムは勿論の事、搭載機のあらゆる機器にも影響が出てしまう」
「やはり、これでは宝の持ち腐れだ……、まともに動かないのではどうしようもないだろう」
研究所の所長も残念そうに言う。
だがそこに全く別の研究所からある技術の提供が行われた。
「受信装置?それはつまり……、どういう事です?」
兵器の開発者が所長に尋ねる。
「私も一度説明を受けただけで具体的な事はこの資料に書いてある。簡単に説明するとだな……」
兵器から発せられる強力な電磁波はあらゆる機械を狂わせてしまう。
しかし、その電磁波を受けても問題の無い受信装置が開発された。
更にその受信装置は兵器から放たれたエネルギーを受信装置に誘導できるようになっている。
「なるほど、それなら確かに問題なさそうですね」
そうして2つの技術により、その国の軍事力は飛躍的に向上する
……かに思われた。
結局その兵器が使われる機会は一度もなく、研究所は軍縮や予算不足によって潰れてしまった。
「それにしても何故使用できなかったんだろうかね」
所長、否、元所長が開発者に尋ねた。
「まあ……、受信装置も軽量化しないとダメだけどそれじゃあ逆に受け取れませんからね」