8/1「それは突然に」
私はとある運送会社の社員、今日も目的の場所に荷物を運んでいる。
運送業者の朝は早い、まだほとんどの人が寝ているような時間から起きて出勤。
荷物とその宛先の確認をして出発、光速に乗り、一度サービスエリアで眠気と戦うためにコーヒーを飲む。
そんな変わらない日々が続くかに思われたが事件、いや事故が突然私を襲った。
なんと運行中、突然横から巨大な岩が迫ってきたのだ!
私は持ち前の運転テクニックを披露してかわ……せなかった。
そもそも最近は大体AIが運転してくれているためそれに任せっきりだった、運転テクニックなんてなかったのだ。
こういう突発的な出来事が起きた時に人が乗っているわけなのだが無理なものは無理なのだ。
そして私は目が覚めると見知らぬ森の中にいた。
少し開けてはいるものの救助なんて到底こなさそうな場所である。
とにもかくにも乗ってきた船を確認すると被害はそこまで深刻ではなかった。
ただ一番重要なエンジンがやられてしまっている。このままでは危険だ。
だが私に出来る事はない、マニュアルでさえもAIが完全暗記していたのでこういう時にはポケットに入れている小型端末でAIに色々とやってもらうことが出来るのだ!
ダメだった、コーヒーを買う際に財布と一緒に出てきて邪魔くさいからと船の中に置いてきていた。
しかも中を探してもなかったので事故の際にどこかに飛んで行ってしまったらしい。
絶望的な状況にもうどうすることもできないかとあきらめかけていた時、救世主が現れた。
赤い毛むくじゃらの手足の長い生物が現れたのだ。
最初は襲われるかと思ったら以外にも友好的に接してきてくれた。
言語は分からないものの船を調べて助けてくれるようだ。
しかし、こんな者達に……、いや偏見はよそう。
例え無理でも彼らは私を助けようとしてくれているのだから。
予想外な事にエンジンは直り、船を動かせるようになったのだ。
私は彼らに礼を言ってその場を後にした。
後から分かったのだが彼らはかなり高度な技術を持った種族であり、あの森はカモフラージュ、その地下に巨大な地下都市を築き上げていたのだ。
それにしても彼らは最後に妙な事を言っていた。
何故か私にも分かるような言葉でだ。
「コレ、タブンドクガアル。ワレワレ、コレノメバミナコウフン、デモソノトキノコトワスレル」
その手には私が買った缶があった。