四つ目の神獣の夜
「こんばんは。」
「こんばんは...!」
バラバラで、慌てている挨拶な声に、永望は微笑んだ。
「まだ間に合うみたいですね。」
永望は部屋の扉を開き、二人の姿を見かけた。
眠っている少女と、彼女を見守ってる女性。
「太陰、この子を部屋に置いてください。」
「わかった。」
「今はどういう感じですか?」
「勾陣は窮奇を、騰蛇と天空は檮杌を、そして朱雀、玄武と白虎は饕餮と渾敦を相手している。」
「なるほど。」
永望は軽く飛び上げ、太陰と一緒に屋根に上った。
「勾陣。」
「永望...わるい、あと少しだ。」
永望が安倍家を覗いてみたら、ほぼ傷はなかった。
化け物の戦いはあまり人の建物に傷を与えないが、そこにある程度の霊力を持つ人が住んでいれば、話しは別だ。
「太陰、バリアをお願いします。」
「はっ。」
太陰がバリアを開くと同時に、永望は勾陣の方を見る。
「もう大丈夫です。暴れていきましょう。」
「永望が目覚めた。」
「うん。こっちも急がなきゃ。」
天空はふと笑い、騰蛇のために砂を巻き起こした。
そして騰蛇はその中に身を隠して、檮杌の隙を狙ってる。
檮杌は、人の頭と猪の牙を持つ、虎の化け物。
全身に炎を纏い、騰蛇は檮杌にまっすぐ飛び出す。
「...!騰蛇!」
天空は飛び上げて、檮杌の牙に傷付かれた騰蛇を抱き締めた。
「天空...」
「ダメ!吉将がいない!」
「でも、勾陣に檮杌を任せるわけには...」
「...」
「お願い、天空。」
騰蛇と目を合わせた天空は、目を閉じた。
そして、二人と檮杌の周りに、再び砂を巻き起こす。
「...爆発。」
一瞬で解き放した大きな炎に、二人一匹が全部飲み込まれた。
檮杌の悲鳴と、騰蛇の息が聞こえた天空は、再び目を開く。
熱がいない。
「ギリギリ。」
太陰は二人の隣で笑っていた。
そして、一番前に立ってるあの人こそ、彼らにとっての唯一無二。
「大丈夫ですか?天空,騰蛇。」
「ええ...」
「天空、六合と一緒に騰蛇を家に連れて行ってください。」
「わかった。」
「太陰。窮奇と檮杌の核は集めましたか?」
「バッチリ。」
「では行きましょう。青龍!」
「はっ。」
遠いどこかで、青龍は冷静な返事を送る。
「君も朱雀の所に行ってください。そこで封印します。」
「了解。」
炎を纏う鳳は、炎を大地に投げていた。
その大地に、水色と白い二人の姿も、負けずに戦っていた。
「朱雀、渾敦に攻撃を集めなさい。」
「わかった。」
永望の命令に従い、朱雀は迷わず動き出す。
そして永望は太陰、天后と貴人を連れて、戦場についた。
「天后と貴人は渾敦を倒すまで、饕餮を牽制してください。
「玄武は渾敦に攻撃してください。
「太陰は天后と貴人のサポートを。」
永望の指揮によって、天将たちは動き出した。
玄武が渾敦の飛行能力を封じ、白虎がその翼を噛みつく、朱雀が炎の玉を投げ、渾敦の背中に攻撃続けてる。
そして、青龍の剣が渾敦の体を貫き、致命傷を与えた。
「だらだらで、見てらんない。」
「俺たちだって頑張ってるけど!」
「どこが?玄武と白虎ならともかく、お前はただ飛んでるじゃないか?」
「青龍イジワル!」
絡む朱雀と絡まれてる青龍を置いといて、玄武と白虎は饕餮に向かう。
二人の姿を見て、天后と貴人はひとまず下がり、太陰に姿を隠された。
玄武は饕餮の手足を封じ、そして白虎は饕餮の体を噛みつく。
「朱雀!青龍!」
二人に呼ばれた朱雀と青龍はほぼ同時に飛び上がって、饕餮の体を貫いた。
邪神四凶、完敗。
四神獣の力で邪神四凶を封印されたあと、玄武は走って永望の目の前に来た。
「誰かがわざと封印を解かしたみたい。」
「誰かはわからないのですか?」
「わからない。ただ...」
「おかしいですね。」
「ええ。」
隠すことのはずなのに、太陰より、失くなることが役目の玄武の方が反応してる。
「とりあえず、一段落つきました。どうやら相手も、すぐ私たちに手を出すつもりはなさそうですし。」
「そうだね。」
「では帰りましょう...朱雀!青龍!いつまで揉めてるつもりですか?」
永望は二人の天将を見つめる。
「永望聞いて!青龍ったら、仕事してないって言ってるんだよ!俺は頑張ったよね!遅刻の誰かさんと違って。」
「お前は何もしてないだろう。だから玄武と白虎が苦労してるんだ。」
「はぁ...」
永望は見渡したが、彼らを殴る六合がいない。
「朱雀、青龍はただ玄武と白虎を心配してるだけですよ。それに、彼は吉将で、戦いに不向きです。
「青龍も、朱雀には彼らしい戦い方があるから、あまり責めないでください。
「それと、早く行かないと、先に帰りますよ!」
永望の隣に立ってる玄武はふと笑い、永望の手を繋ぐ。
「じゃあ永望、一緒に帰ろ!」
「はい!」
「裏切り者だな玄武!」「玄武、お前と話す必要があるそうだな!」




