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もう一度失う  作者: 雨上がり
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二十八宿目の重視の夜

「おはよう。」

「おはようございます…」

少し寝ぼけていたスピカは、玄武をただぼーと見ていた。

「青龍が朝ごはんを用意してくれた。片付いたら早く来てね。」

「うん。今日も青龍さまが?」

「朱雀が安倍家にいるからね。」

玄武は微笑んで、スピカの部屋から出た。


「青龍さま、おはようございます。」

「おはよう。昨日疲れすぎたか?」

「みたいです。」

「次からはちゃんと時間を把握して、疲れすぎないように。」

青龍は、トーストを乗せていた皿をスピカに渡し、そして彼女の髪を軽く撫でた。

「早く食べてな。」

「はい。青龍さまはお出掛けですか?」

「うん。六合と植物の状況を見に行くんだ。」

「いってらっしゃい。」

「うん。」

青龍の背中が視線から消えてから、スピカはのんびりと食事を始めた。


「おはよう。」

「昴姉さん!おはようございます。」

「白虎さま、今日もお出かけの時間が早いね。」

「連続三百八十日ですね。」

「なんで覚えているの?」

「それは、青龍さまとちゃんと話せるのが、三百八十日前ですから。」

昴と呼ばれた女性はふっと笑い、そしてスピカの顔がすぐ真っ赤くなった。

「昴姉さん!」

「ごめん。でも、君は本当に青龍さまが好きだね。」

「はい。青龍さまは、私にとって一番大事な存在です。」

「どうして?リーダーだから?」

「それもありますけど…」


麦穂星とも呼ばれているのか。

はい。

…なんだ。その呼び名好きじゃないのか?

収穫したら、何も残らないじゃありませんか?

そうだけど…俺が植物を育てるのは、収穫を楽しんでいるからなんだよね。


「あれ?そのペンダントってなに?」

昴の目線に合わせて、スピカは自分のペンダントを見つめる。

「これはエメラルド、私の象徴の宝石です。」

「ほう…!さすが春の大三角、象徴する宝石まであるんだね。」

「それはありがとうございます。」

「心こもってない。そうか、青龍さまのためかなと思った。」

「青龍さま?どうして?」

「青龍さまは木将でしょ?やはり緑色じゃない?」

「…!やはり…運命ですね。」

「運命…?」


愛しているからこそ、大事にしたい。

大事にしたいからこそ、失いたくない。

失いたくないからこそ、嫌われても譲らない。

「青龍さま、あなたの言う通り、私にも大事な人があります。」

「だったら…!」

「だからこそ、譲りません!」

どうして。

どうしてその瞳から、絶望や失望を感じなかった。

どうしてそんなにも純粋で、清らかなんだろう。


「スピカ、その人が青龍さまですね。」

「…!」

スピカだけでなく、全員が鳥居の方を見ていた。

まるですべての掌握できそうな雰囲気。

「まさかここで会えるとは、白虎さま。」

「そうだね…君もいたんだ?」

「先程は…主の命に従い、土御門剎華さまの助力を。」

彼女は夢瞬の目の前につき、跪く。

「安倍夢瞬さま、初めてお目にかかります。一つ目の昴の星であり、二十八宿の昴宿一でもある、エレクトラと申します。」


「昴姉さん…」

「スピカ。」

エレクトラは微笑んで、スピカを見つめる。

「青龍さまのために、頑張っていたんだね?」

「…はい。」

「それは、青龍さまの姿を見て、心配しているのか」

「…はい。」

「ごめん、エレクトラ。少し待って。」

青龍はエレクトラを止め、そしてスピカの目の前に来た。

「…!青龍さま。」

「安倍家の仕事をしている俺は、余裕がないように見えたのか?」

「いいえ…ただ、青龍さまは自分の感情を隠したがりますので、苦しくても言いませんし。」

「それは、君も同じじゃないか?」

「…!」

「俺たちが忙しくなったとき、君が代わりに二十八宿を管理してくれたんだろう?」

「それは青龍さまが疲れましたから!それ以上…!」


そうか。

わかった。

余裕がなかったのは、私だった。

「スピカ。」

「はい…!」

「余裕がなくなるほど好きになってくれて、ありがとう。」

好きじゃ…ない。

愛情も…多分違う。

憧れでも、感激でもない。

恨みでも、怒りでもない。

「青龍さまは、私に生きる意味をくれました。」

「生きる意味を?」

「はい。青龍さまの知っている通り、私はあまり好かれていなく、よく冷たく言われていました。」

「うん。」

「しかし、青龍さまはずっと私を見守ってくれました。誉めて…くれました。」

「うん。」

「だから…」

「そういえば、夢瞬さんも同じだね。」

「同じですか…?」

「愛されず、ずっとひとりぼっち。しかし、永望や友達のおかげで、ここまで来れたんだろう。」

「そうですか…」


スピカは顔を上げ、夢瞬を睨む。

「安倍夢瞬!」

「うん…?」

「今は見逃してあげる。でも…」

「でも?」

「青龍さまは私のもの!一人占めはダメ!」

「…はい。わかりました。」

夢瞬は微笑んで、スピカを抱き締めた。

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