二十五銀目の眩さの夜
「九生の化け猫夢九、お前は生まれ変わりたいのか?」
サタンは夢九に問いかける。
夢九はサタンと目を合わせ、そして夢瞬の方を見る。
「夢九?」
「私は…生まれ変わってもいいんでしょうか?」
「どうして迷う?」
「前世の私はきっと、たくさんの生き物に傷付き、あなたを傷付くこともあるのでしょう。」
夢瞬は六合の方を見て、そして後者は頷き、夢九が言っていることが事実と伝えた。
「だから?」
「だから、生まれ変わってはいけません。まだ償っていない罪がありますから。」
「夢瞬さんを利用し、永望を傷付こうとしていたことを、俺だけじゃない、十二天将全員が許さないだろう。」
騰蛇ははっきりと言い出す。
「しかし、その以上に、お前がいないから悲しんでいる夢瞬さんを見たくない。」
「…!」
「夢瞬さんのためでも、生まれ変わってもらう。」
夢九は驚きながら騰蛇の話を聞いて、そしてうつむいた。
「あなたの命が一瞬のようなもの、そのため、あなたの側にいたいと、前世の私はそう言いました。」
「うん。」
「しかし、あなたは同じ言葉を言ってくれました。」
「うん。」
「なので、本当はあなたに出会っただけで、十分だと思いました。」
それ以上寄り添わなくてもよかったはず。
そうだったはずなのに。
生き物はいつだって欲張るもの。
「あなたの側に、いてもいいんでしょうか?」
「もちろんだよ、夢九。」
サタンは優しく夢九の頭を撫でて、そして夢九の外見は代わり始めた。
人間の姿が消え、代わり、猫の姿になった。
真っ黒な毛を持つその猫は、金色な鋭い瞳をしている。
「これが夢九の来世、ただの黒猫。」
「霊感はありますか?」
「うん。君なら話すらできるだろう。しかし、もう一度人間の姿になりたいのなら、かなり時間かかるけどな。」
「そうですか。」
夢瞬は黒猫に手を伸ばそうとしたが、何かを用意しているサタンの動きに気付いた。
「銀の…ネックレス?」
「そう。これはあいつ…俺の旧友のもの。」
銀の金属色が輝き、その十字架をより眩くさせた。
「皮肉ですね。」
「とんでもない。」
「それはどういう意味?白羊宮?」
夢瞬は白羊宮河魁の方を見る。
「何でもありません。サタンさんが余計なことをしていると言っているだけです。」
「そのネックレスのこと?」
「そう。」
「どうして?ただのネックレスでしょう?」
「あなたも知っている通り、吸血鬼は銀が嫌いです。」
「神聖の象徴だから。」
「しかし、黒猫っていうのは、魔女の僕ですよ?」
「…!」
「それと、東側の文化の黒猫は吉兆で、夜行性です。」
「夜行性…」
「つまり、この黒猫のすべてが、あなたと真逆に映っています。」
「…そういうことか。」
夢瞬は改めて夢九を見つめる。
「孤独な人生を送る仲間として、これからもよろしく。」
「はい。」
「次のことだが、夢瞬ちゃん。」
「はい。それこそ、私の本当の目的です。」
「安倍永望の死について、どこまで知ってる?」
「十の災い…天罰のせいで死んだことまで。」
「罰された理由は?」
「知っています。」
「罰される条件は?」
「知っています。」
「よし。それ以外は?」
「それ以外は知りませんでした。」
「安倍永望は罰されて死んだあとに、体と魂、二つに別れた。」
「…」
「体は平等王が管理している阿鼻地獄にいる。魂が天命を償い終わるまで、あそこで待っている。」
「平等王、やはり私を騙したんですね。」
「彼も、天の理に縛られているからな。」
「天命を償うって、どういうことですか?」
「天命を多めに使ってしまったのさ。君ならわかるだろう?」
「はい。」
「だから、君が探すべきなのは体ではなく、魂の方だ。」
「魂を見つける…?」
「魂を見つけたあと、それを通じて天の理に直接に交渉する。それが唯一の方法だ。」
「わかりました。では、その魂はどこに?」
「こういう状況は珍しいが、前例がないというわけでもない。」
「はい。」
「基本的には、人々から離れ、誰でも入れるようなところではない。」
「はい。」
「そして、その人が生きているうちに、よく通っている場所。」
「はい。」
「安倍永望の場合なら、安倍の血縁に関係があるかもしれない。」
「人々から離れ…よく通う…安倍…」
「思い当たりません。」
「そう?じゃあ一つずつ探すしかないな。」
「夢瞬さん。」
天空は急に言い出した。
「どうした?天空。」
「先ほどの条件をすべて満たしている場所がある。」
天空だけでなく、他の天将も全員確信した顔をした。
「どこ?」
「晴明の家だった、晴明神社。」




