二十一人目の参加の夜
その後、その女性は静に消えた。
光兎はすぐに月将を出したが、追い付けなかった。
「安倍さまが真実に気付くまで、主様は顔を出さないのでしょう。」
その女性が消えた後、輔星たちはこう言って、そして黙り込んだ。
夢瞬は、消えた彼女が立っていたところを見つめて、考え込む。
「夢瞬、どうだった?」
振り向いた夢瞬はようやく、光兎の後ろに、地平線に沈みかけている夕陽に気付いた。
その女性の身分を精一杯考えたが、答えが出なかった。
「思い出せない。誰なのかがわからない。」
「その言い方から推測すると、恐らく君のよく知っている人だと思う。」
「うん。でも、あの年の女性なら、安倍永望と天将たちしか知らないかも。」
「そういえば…」
光兎は夢瞬の頭の先から爪先まで見つめた。
「今の夢瞬、彼女と同い年に見えるよ。」
「そうなのか…!」
「ほら、二十歳になったじゃない?中学生のままでいられないだろう。」
「それもそうか。他の人にとって、既に六年立ちましたか…」
自分と同い年という大きな手掛かりを見つけたが、そもそも夢瞬は、他人と仲良くするタイプな人ではなかった。
強いて言えば、光兎と…
「…剎華?」
「…!たしかに。一緒に地獄に行かなかったし!」
「でも剎華は、こっち側のこと知らないはず…?」
夢瞬は登明の後ろにいる輔星の方を見て、聞こうとしていた。
しかし、あの二人はすでに消えた。
「…!光兎!」
「逃げたか!十二月将の登明に気付かせないとは…!」
「あの子達、元々北斗七星の輝きに潜んでいる、気付かせないことが上手なんだから。」
再びその女性の声が現れた。
これでやっと確信できた。
彼女が土御門剎華。
「ごめん、剎華…君だと気付けなかった。」
「いいの。輔星たちの報告がなかったら、私も君たちだと気付けなかっただろう。」
剎華は軽く飛び、屋上から地面についた。
それと同時に、七人の姿が現れた。
「久しぶり、光兎と夢瞬、そして六合さん。」
「剎華、六合と知り合いなの?」
「知り合いというほどではない。ただ、土御門家が起こしたトラブルのせいで、天后さんと六合さんに迷惑かけただけ。」
「つまり、剎華は最初から、こっち側のことを知っているのか?」
「うん。私も光兎と同じ、小さい頃からそれらしい訓練を受けた人なんだ。」
「…!」
夢瞬は、自分の動揺を隠せなかった。
彼女にとっての剎華はただの一般人。だから彼女は、自分のすべてを隠すように必死だった。
「ごめん、夢瞬。君に気付かせたくなかった。」
「そっち?私を騙したことじゃないの?」
今度は、剎華が驚いた。
なぜなら、真実を知った夢瞬は、笑顔を見せた。
「夢瞬がこっちの世界を拒んでいるのなら、私も普通の友達として、君のとなりにいると決めた。」
「うん。」
「でも、安倍様の次に、君と光兎も消えた。どんなに探しても見つからなかった。」
「剎華、もしかしてこの六年間…?」
「ずっと君たちを探していた。」
今になって、夢瞬はようやく剎華の声から聞こえた、悲しさと寂しさんの理由に気付けた。
お互いを思いやっているからこそ、寄り添えなかった。
「…そうか。つまり君たちは今、サタンからの連絡を待っていると?」
「うん。」
「光兎、安倍様を助けたいなら、月将たちと六合さんだけじゃ足りないのでは?」
「…僕も同じこと考えたが、十二天将たちはもうすぐに集まると思う。」
「そう?ならそれまでに、私が君たちのそばにいよう。」
光兎は驚いた顔で剎華を見た、そして後者はフッと笑った。
「北斗七星は十二天将や十二月将たちに及ばないが、決して弱くないと思う。」
「…それからも、私たちのそばにいて。剎華。」
剎華は夢瞬を見つめ、まるで心の傷が癒されたように。
「…わかった。」
「この方たちが北斗七星?」
「そう。天枢、天璇、天璣、天権、玉衡、開陽、揺光。まぁ、少しずつ覚えていけるだろう。」
「わかった。」
夢瞬は笑って、七人の星の君たちを見つめる。
「これからもよろしく。」
「…夢瞬、もうこんな風に笑えるようになったんだね。」
「昔は、こうじゃなかったの…?」
「昔の君はもっと冷たく、なんか足りていない感じ。」
「足りていない…」
何か言ってはいけないことを言ってしまったかと思う剎華は、慌てて説明しようとした。
しかし、夢瞬は再び笑った。
「そうだね。それは恐らく、私自身だろう。」
「君自身?」
「うん…そして安倍永望を見つけたことで、私自身を見つけるのだろう。」




