二十年目の宴会の夜
「あなたたちだけじゃない…?」
夢瞬は見回ったが、六合と十三月将たち以外に、他に参加しにきた人はいなかった。
「夢瞬さん、あなたの十四歳の誕生日の夜、ハーデースさんと白虎は約束をしたんだ。」
「約束?」
「あなたの成人式に出席することを。」
六合は微笑んで、夢瞬の後ろに指差す。
穏やかなその遠い姿は、夢瞬にたくさんの感動を与えた。
「ハーデースさん…!」
「お誕生日おめでとう。」
「ありがとうございます。」
「こんなにも早くこの日が来るとは思わなかったが、君の成人式を見届けて嬉しいよ。」
「はい。」
「そういえば、地獄から出た時、僕一人だけじゃつまらないかなと思って、もう一人を呼んできた。」
「…!まさか!」
「夢瞬ちゃん…!」
夢瞬の予想通り、急に現れたサタンは夢瞬を抱き締めた。
次の瞬間に、ハーデースに引っ張りされたけど。
「サタンさん!来てくれてありがとうございます!」
「何年参加したと思う?成人式を見逃すわけないじゃん!」
「そういえば、ハーデースさん。」
「うん?」
「白虎はあなたを呼びに行ったのでしょうか?彼と一緒に来るんじゃないんですか?」
「白虎?あぁ、彼は結構前から声かけてくれたから、僕と関係ない。」
「あなたではないのなら、白虎は一体…?」
夢瞬は六合を見たが、なぜか彼が目線を逸らした。
「六合。」
「あれはサプライズ。教えてはいけない。」
「先に言ってくれてもいいじゃない。驚いたように演じるからさ。」
「天将に誤魔化せるとでも?」
「…」
夢瞬の不満そうな顔を無視して、六合は笑って月将たちが用意したご飯を夢瞬に渡す。
光兎もすぐドリンクを持ってきて、六合をフォローする。
真っ暗な夜中に、二人は神々と楽しく遊んでいた。
夢瞬は永望を探すことを暫く忘れ、光兎も旭希への執着を暫く手放した。
その時。
「来た。」
「…?」
夢瞬は戸惑いながら見上げた。
夜空のなかに、四つの閃光が彼らに近付いてきた。
「それは…!」
何かを気付いた夢瞬は、すぐ立ち上がって、閃光たちに迎えに行った。
そこには、彼女がよく知っている四人がいた。
「白虎!青龍!朱雀!玄武!」
「夢瞬さん、お誕生日おめでとう!」
「お待たせしてしまった。」
「今日はできなかったが、また今度で料理を用意してあげるよ。」
「今日、亀ちゃんも蛇ちゃんも、夢瞬さんに会えるのを楽しみにしているよ。」
四人を見た夢瞬は、思わず泣き出した。
いつの間にか、天将たちがそばにいることに慣れてしまった。
「白虎は、彼らを呼ぶために行った?」
「はい。全員揃うのはちょっと難しいが、この四人だけならすぐ集めるかなと思って。」
「…大きいサプライズだね。でも嬉しいよ、ありがとう。」
夢瞬は笑って、白虎を抱き締めた。
「あぁ…!ずるい!僕も!」
夢瞬に抱き締められた白虎を見た玄武は、笑って二人を抱き締めた。
「俺も!」
一見大人のように見えるが、実は結構子供っぽい朱雀も一緒に抱き締めた。
六合はちらっと青龍を覗いたが、彼は一緒に抱き締めるのではなく、六合のほっぺたをつねた。
いっぱい遊んだあと、間もなく夜が明ける。
「夢瞬ちゃん、先に帰るね」
「サタンさん、私は…!」
サタンは微笑んで、夢瞬を止めた。
「言いたいことは分かる。でも、今ではない。」
「しかし…!」
「あとで正式に声かけに来るから、その時まで待っていなさい。わかった?」
「…わかった。」
夢瞬はうつむいて、軽く頷いた。
それを見たサタンも、安心して帰った。
「僕もそろそろ、仕事に戻らないと。」
「ハーデースさんも?」
夢瞬の寂しそうな顔を見て、ハーデースは微笑んだ。
「変な子。」
「変でも構いません。ハーデースさんともう少しお話がしたいだけです。」
「その日は必ず来るさ。まずは、周りのすべてを大事しなさい。」
ハーデースは夢瞬の頭を撫でて、振り向いて去った。
「夢瞬…」
夢瞬の寂しさに気付いたように、光兎は声をかけようとしたが、何を言えばいいのかがわからない。
「今までの誕生日に、友達ではなく神たちが来るのって、正直つまらなかったと思った。
「でも今、こんな時間も愛おしく思えるようになった。
「君たちのことを、大事だと思えるようになった。」
夢瞬は笑顔を見せた。
光兎だけでなく、天将たちも泣きそうになった。
「来年も、再来年も、それからも毎年、ずっと一緒に誕生日を祝おうね、光兎。」
「…!もちろん!」




