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もう一度失う  作者: 雨上がり
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二十年目の祝賀の朝

「夢瞬さん、少し行きたいところがあるが。」

「行きたいところ?どこ?」

「…」

白虎はうつむいて、理由を言い出すことをためらっているようだ。

「行って。」

「いいの…?」

「ついてくれるって、約束してくれたよね。また私を手放すことなんて、心配しないよ。」

「…!ありがとう。」

夢瞬は微笑んで、白虎を見送ったあとに、六合と光兎、そして月将たちと地獄へ戻る道に踏み出す。


「六合。」

「はい?」

「ずっと私を見守っていたと聞いた。ありがとう。」

「とんでもない。遠いところからあなたを見ているだけ。」

「…それでも、ありがとう。」

六合は優しく微笑んで、そして目の前にある閻魔王の殿堂を見る。

六合の通報から間もない間に、夢瞬たちは殿堂に入る許可を得た。

「…事情は六合から聞いた。安倍永望を見つけなかったらしいが、残念だな。」

「他のやり方を試すまでです。」

「ふん。あなたが、あなたの願いを叶えるように。」

「閻魔さんも、天の理に縛られている神ですか?」

「それは相手次第だな。あなたと安倍永望がこっち側だから、僕たちは縛られるんだ。」

「でしたら、先ほどの発言って大丈夫でしょうか?」

「発言?問題あるわけないだろう。神っていうのは元々、人々の願いを叶えると期待され、ここに存在しているのではないか。」

閻魔は少し笑った。

「あなたの願いが叶えるようにと思ったのも、あなたが天の理をよく知っている人だからだ。

「規則を破らない以上、僕もあなたを止めない。

「自分の答えを探しなさい。」


閻魔の言葉を胸に抱き、夢瞬は地獄から離れる道に歩き出す。

冥府の殿堂に来たが、仕事をしている正義の女神しか見当たらなかった。

「ハーデースさんにお礼を言おうと思ったが…」

「夢瞬さん、きっとまた会えるんだ。」

「…そうだね。行こうか。」

太陽の光に浴びながら、彼らは再び三途川と、向こうの賽の河原を目にした。

「夢瞬、今回は川を渡さず、こっちで傳送に送ってもらう。」

「どうして?」

「ここから三途川を渡ってしまえば、違法な形で地獄から出ることになる。」

「…!なるほど、了解した。」

全員がいることを確認した傳送は、全員を見て。

そして、両目を閉じた。


「…晴明神社!」

目の前の景色を見た夢瞬は、すべてが夢じゃないかなとさえ思った。

「夢瞬さん、そして藤原家の少年、どうぞこちらへ。」

六合の背中を見て、戸惑った夢瞬と光兎だったが、彼の後ろについていった。

月将たちが消えたことに気付けずに。

「六合、どこに行くの?」

「ついたらわかる。」

「私は安倍永望を探すために、時間を無駄にしてはいけない…!」

「その前に、まずはこっちの件を優先しなさい。」

六合の口調があまりにも冷たく、そして、夕日のせいか、周りの景色がぼやけている。

逢魔時。

「…!」

手のひらから伝わってきた暖かさは、夢瞬に、光兎もいるんだってことを思い出させた。

「六合さん、何か手掛りを見つけたのかもしれない。」

「…そうだね。」

ずっと守ってくれた、ずっと隣にいてくれた六合なら。

夢瞬は再び顔を上げ、しかし迷いも不安も消え去った。


「…ついた。」

六合の声の次に、二人の周りに爆裂の音が響き渡す。

気付いたら、二人はすでにたくさんの神たちに囲まれた。

「二人のために行う、成人式。」

六合は微笑んで手を伸ばし、泣き出した二人の手を取る。


「成人式…?」

夢瞬は未だに信じできず、周りの微笑んでいる神たちを見ている。

「はい。夢瞬さん、覚えているかい?毎年、白虎があなたのために誕生日の宴会を用意していたこと。」

「もちろん。」

「お二人は地獄に六年を過ごし、すなわち、今のお二人は二十歳になった。」

「…!」

夢瞬も光兎も、自分が成人になったことに気付けなかった。

「成人式は、現実の意味はもちろん、神たちの力を借りるあなたたちにとって、自分の霊力を掌握できる証明でもあるゆえ、慎重しなければならない。

「ただ、時間が迫っているので、晴明の神社を借りてみた。」

光兎は月将たちを睨む。

十二天将が集まっていない現状、成人式を準備するのはおそらく月将たちだろうから。

「…」

光兎にとって、今までの誕生日よりよっぽと豪華な式典かもしれない。

しかし夢瞬は、過去の光景を思い出す。

寂しそうな夢瞬を見て、声をかけようとした六合だが、天秤宮に一歩先取られた。

「夢瞬さま、我々月将があなたに祝えるの、今回が初めてです。喜んでもらわないと困ります。」

「はい…。」

「それに、僕たちだけじゃないかもしれません。」

天秤宮は微笑んで、夕日もいよいよ地平線に沈む。

成人式が本格的に始まる瞬間。

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