十七年目の終結の夜
六合や月将たちに導かれて、光兎と夢瞬はハーデースの関所に入れた。
彼らは人々の列の横に歩き、すぐ審判所についた。
「天国。地獄。天国。天国。」
低く、そして力強いハーデースの声が、審判所に響き渡っていた。運命が決められた人々は、ハーデースの手下について、自分が行くべき道に歩き出す。
「六合、ハーデースさん忙しそうだけど、話を聞いてくれる余裕あるかな?」
「夢瞬さん、ご心配なく。ハーデースはすでに、仕事を代わりにやってくれる人を呼んだので、そろそろ来るどころだ。」
「代わりに...?」
夢瞬は、一番高い場所に座っているハーデースを見て、憧れと尊敬な感情が溢れ出す。
しかし、そんなハーデースの代わりになれる存在にも、気にし始めた。
「天国。」
夢瞬の後ろから、女性の声が突如に現れた。夢瞬はすぐに振り向き、警戒な表情でその女性を見つめる。
「こんにちは...あら、もうこんばんはだ。こんばんは、安倍夢瞬さん。」
「あなたは...?」
「正義の女神。一応冥府で働いている。あ、天罡じゃん、久しぶり。」
「ええ、元気そうで何より。」
「ふふ、そうかな。」
微笑んでいる正義の女神は、簡単なドレスを身に纒っていて、右手には何かを持っている。
「地獄。やっと来たか。天国。働け。地獄。」
「はーい!」
子供みたいな笑顔をした正義の女神は、ハーデースの隣に立ち止まり、右手に持っている布をおろす。
その中には、剣一本と、天秤ひとつ。
二つの道具を椅子の両側に設置し、正義の女神は布を使い、自分の目を隠す。
そして、剣と天秤を手に取る。
「地獄。地獄。天国。地獄。」
先ほどとまったく違った声は、大人しく穏やかに、審判に相応しい声だった。
「ハーデースさん、本当にすみません。仕事代わりまで用意してもらいまして。」
「...?安倍夢瞬、何か誤解があったようだ…いや、六合の仕業かな?」
ハーデースは隣にいる六合を不満そうに睨んだ。
「意味のない嘘は地獄への入り口だぞ。」
「天将に死亡があるなら...だろう?」
「はぁ...安倍夢瞬、冥府の人員構成って知ってる?」
「あまり...。」
「僕は冥王、冥府を管理する人。そして冥府内には、主に四人の部下がいる。」
「正義の女神...?」
「彼女がその中の一人。そのほかには、思想、言論、行為を審判する三人の判官がいる。」
「そうですか。」
「そんで、正義の女神の仕事が、魂の行方を審判すること。」
「...!仕事代わりはハーデースさんの方ということですか?」
「あいつ、よくサボるからな。」
「ところで、君がわざわざここまで来るのは、僕と雑談をするためというわけじゃないよね?」
「...はい。ハーデースさんはずっと昔から冥府にいましたよね?」
「うむ。」
「でしたら...安倍永望がどこにいるのか、ご存知でしょうか?」
「...!」
六合が冥府に現れ、夢瞬に会ってくれないかと言い出したとき、ハーデースはすでに夢瞬の目的が永だってことに気付いた。
今彼に驚かせたのは別件。
「...彼女はここに来ていない。」
「そんな...!つまり彼女は、死ななかったのでしょうか?」
「いや、彼女は確実に死んだ。この冥府に来なかっただけ。」
「それはつまり...?」
「...可能性は低いが、あの時期、正義の女神が少しだけ仕事をした。」
「でしたら、彼女に聞いてみれば...!」
「聞いても無駄でしょう。見てる通り、彼女は目隠しをしたまま仕事をしている。絶対公平な審判を下すために。」
「...地獄に入って探してもらえますか?」
「地獄には十八層あるんだけど、どこから探す気?それに、今の君はもう...十七歲になったじゃないか?」
「それでも...!」
「...仕方ない。十八層目の地獄を管理している平等王に訪ねよう。」
「平等王...?」
「彼の部下目連の仕事が、冤罪の魂を見つけ出すきとだ。彼に頼めば、安倍永望を探してもらえるだろう。」
「...!十八層に行けば見つけますか?」
「死ぬまでに、だな。」
「やってみます!」
十八層地獄に行くと決めた夢瞬と、同行する意思を示した光兎を見て、ハーデースはため息をした。
「十七が不吉な数字って、まさにこれか。」
「どういう...?」
「ラテン語の十七の意味は、生きたこと。すなわち、命の終わり。」
「...ハーデースさん、生きるってどういうことでしょう。」
「どういう意味?」
「その不吉な理由、私に通用しないと思います。」
ハーデースは微笑んだ。この少女の強い意思を感じたから。
「行くといい。死んだら、冥府に働いてもらうから。」
「遠慮しておきます。」
夢瞬は笑顔を見せ、光兎と一緒に地獄へ進む。




