十六人目の出現の朝
光兎、夢瞬と蛇夫が走り出すと同時に、人馬宮功曹は再び目の前の邪神を睨む。
人間の顔を持つ獣饕餮、四つの翼を持つ巨大な犬渾沌、翼を持つ虎窮奇、そして半分人間半分虎の檮杌。
「十二月将に命じる!」
功曹の矢が飛び出したと同時に、十二人の月将も踏み出した。
飛べる窮奇と戦うのは、風に属する双児宮、天秤宮、宝瓶宮。
その中、天秤宮は六人の凶将の一人で、三人のうち一番高い攻撃力を持つ。
「傳送、神後。私が援護する。」
「はい!」「了解。」
天秤宮天罡は剣を手にして、一飛びで窮奇の目の前にいた。
窮奇は天罡を見た途端、高く飛ぼうとしたら、どれほど羽ばたいても飛べなくなった。
「...!神後か!」
「あら、賢い虎さんだね。」
天罡の援護により、神後は既に傳送の能力を貸して、窮奇の足元に着いた。
神後の能力は太陰に近い、「陰」に関することを操れるので、防衛や停滞に向いている。
そして今神後がやっているのが、窮奇の翼を止めさせること。
一方、人虎の檮杌と対戦しているのは、炎に属する獅子宮、白羊宮、射手宮三人。
「ねぇねぇ勝光!虎と会話できる?」
「んなわけないだろ、河魁!私は獅子、虎じゃない!」
「わかんないもん。わたし、子羊だから。」
「あんた...!」
「ちょっと!二人とも!」
射手宮の目線を感じ、二人は争いを止めた。
「まったく。同じ言葉の争いを管理しているとはいえ、自分で実行する必要はないんだからな。」
「それは河魁が...!」
「わたしのせいなの?」
「もう終わり!勝光、檮杌の行動を制限しろ。」
獅子宮の勝光は、白羊宮の河魁を睨んだあと、ひとつの爪弾きで、一瞬大量な枝を生やし、檮杌の手足を縛れた。
「河魁、仕留めて!」
「はーい!」
河魁は嫌々で三叉槍を手にとって、縛られた檮杌にダッシュ。
炎に属する三人のなかでも唯一な凶将、そして攻撃力最強の存在として。
「本当、気持ち悪いんですけど...?」
処女宮の太乙は巨大な犬である渾沌を見つめ、少し吐けそうになる気分。
「早く片付ければいいでしょう。」
「そうですけど...大吉は平気なの?」
「家畜を管理している分、もう慣れましたので。」
「何度見ても慣れないと思いますが...」
気を改めた太乙は再び武器を握りしめる。
彼女は金牛宮の従魁と共に凶将、他の部隊より一人多いので、しっかりと戦わなくちゃ。
「行きましょう...!」
「はい!」
凶将の二人は同時に前に向き、そして土に属する唯一の吉将磨羯宮の大吉は渾沌の目の前に立つ。
「家畜たるもの、力を失くせよ...!」
大吉の命令が響く途端、渾沌も悲鳴を上げた。
そして、隣に戦っているのが、水に属する三人。
三人の相手は人間の顔を持つ獣、饕餮。
「小吉、こいつを焼いて食べよう?」
「ダメだよ!太衝はいつもそう、良くないことばっかり言う。」
「そんなことないよ!登明、どう思う?」
「たまには。」
天蝎宮の太衝の質問には答えたが、双魚宮の登明は明らかにこの話題を終わろうとしている。
じゃれていた巨蟹宮の小吉と太衝も、空気を読んで気を引き締めた。
「太衝、私がこいつの行動を制限する、その隙を狙え。」
「了解。」
「小吉はここで待機、もし私一人じゃ足りなかった場合は手伝ってもらう。」
「わかった。」
「太衝、力の加減を少し気をつけてね、体をぐちゃぐちゃにしないで。」
「なんで?」
「焼くんじゃないの?」
「...!」
三人は笑い合って、そして登明と太衝はそれぞれ戦場に向かう。
十二月将と邪神四凶の戦いは長引いていた。光兎と夢瞬が既に川を渡ったが、地獄の平和を保つために、月将たちは邪神たちの足を止めるしかなかった。
この戦いは夜から朝までに続き、十二月将たちの力が落ちて、少し劣勢に入った。
そして、突破口が。
「...!夢瞬、危ない!」
光兎は身をもって夢瞬を庇い、彼女を連れて隣へ逃げた。
窮奇はその翼で川辺について、川を渡った二人を攻撃しようとしていた。
「蛇夫宮、僕たちを守る力は残ってるか?」
「正直...ちょっときつい。」
「...!」
光兎は窮奇の方を睨み、夢瞬を抱き締めた手もつい力が入った。
その時、彼は眩しい日差しのなかに、とある影をみかけた。
「あれは...?」




