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もう一度失う  作者: 雨上がり
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初めて出会った夜

「こんばんは。」

馴染んでる声を聞いた太裳は、眠ってる少女の隣から静かに去っていた。

他の天将たちも、その人の元に集まる。

「今日の夢瞬どうでした?」

「夢瞬さん、今日食事中私たちに声かけたの。」

「へぇ...!珍しいですね。」

「ええ、君よりも何年早かったね。」

「君たちに初めて声かけたのは...十六歳でした?もう高校生ですよね。」

永望と貴人が喋ってる間、十二天将が揃った。


「白虎。去年一年間、お疲れ様でした。」

「とんでもない。」

「今年、色んな国が何かを企んでいます。戦争のこと、気を付けてくれると嬉しいです。」

「任せて。」

白くて短い髪、そして虎の耳を持つ白虎は、いつも猫みたいにのんびりしていた。

しかし、戦争が爆発した途端、戦神である彼はまったく別な姿で現す。

「太陰、来年はよろしくお願いします。」

「任せろ。」

「あと、夢瞬のことも...」

「分かってる。」

太陰は月、陰の極み、そして女性の象徴である。

しかし、陰には嫉妬も含まれている。

故に、太陰は吉将だが、女性の結婚や生育には凶。

永望が生産してる時、吉将の五人は側に居て、凶将の六人は外で待ってるが、太陰だけは永望の安全のために、より遠いところに居た。


「永望。」

「どうかしましたか?玄武。」

「藤原家は動いている。」

「君が察したってことは...」

「うん。何かが盗まれた。」

玄武の短い湖色のポニーテールは風に揺らして、彼の頭に乗ってる小さな亀は疲れたように殻に入った。

失うことと、盗むことを管理してる天将として、彼はそれらに関することに非常に敏感であった。

「はぁ...安倍晴明様の時代では、これほど対立ではなかったはずですが。」

「仕方ない。君の力が危なすぎる。」

「そんなことありません。あの人...あの人さえいれば、藤原家に手を出すはずありませんのに。」

「夢瞬さんに危険があるとしても?」

「両方も保てる方法を探します。」

玄武は小さなため息で、これ以上話すのを諦めた。

永望はふと笑い、夜空を眺め、目を閉じた。


永望、君こそ安倍家の希望。

永望、君を誇らしく思ってる。

永望、我々の主になっておくれ。


永望、諦めよう。


「青龍、玄武、朱雀、白虎。」

「はぁ!」

永望の命令に従い、四人の天将は位置につく。

「勾陣。」

「知ってる。」

勾陣は軽やかに飛び上がって、安倍家の中心である、屋根の上に立っていた。

「太陰、バリアを。」

「了解。」

視線が曖昧になる月夜で、物事を分別することは難しくなる。

故に、太陰は十二天将の中でも、もっとも隠す能力を持つ存在。

「夢瞬は君たちに任せます。他のみなさん、行きましょう。」

「ええ!」

残り六人の天将を連れて、永望は安倍家から出た。


「今日は山に行きます。冬の雪が溶け始めて、遭難者が増えたので、利用されることを避けないといけません。」

永望は、木の間で跳びながら、今日の任務を説明する。

人々が夜中であまり出歩かない平安時代より、現代の陰陽師の方が動きづらい。

「...永望!」

貴人に呼ばれた永望は、月の光に照らされていない隅に見つめる。

「誰?」

「藤原家次の当主、藤原光兎(ふじわらこうさぎ)です。」

隅から出た、一重梅色の衣装を着てる少年に、人ではない雰囲気が漂う。

「何の用?」

「あなたに用はありません。あなたが勝手に立ち止まったのではありませんか。」

「つまらない嘘をつくな。私が立ち止まらなかったら、次の瞬間で手を出すつもりだろう。」

「それはあなたの推測にすぎませんよ、安倍様。」

永望は軽やかに飛び降りて、少年を見つめる。

そしてこの少年も、負けずに見つめ返してる。

「天空、騰蛇。」

「はぁ!」

永望の声と同時に、光兎の視線は霧に邪魔された。

そして霧が去ったあと、残ったのは天空と騰蛇だけ、天将たちと永望はずでに消えた。

「一緒に遊ぼう、坊っちゃん。」

騰蛇は微笑んで、凶将の覇気を出す。

「凶将二人なんて、安倍様の期待に答えないかもしれませんが。」

光兎は怖がりどころか、微かに笑っていた。


「永望!永望!」

キラキラな目をしてる騰蛇と、何も気にしない天空を見て、永望は微笑んだ。

「あの子は?」

「勝てるはずがない。すぐ逃げた。」

「逃げました?負けず嫌いな人かと思いました。」

「戦ってみてよかった、と言ったあとで去った。」

永望ふと笑った。騰蛇より、天空の言葉の方が信頼できそうだ。

「任務の方は?」

「バッチリです。六合たちはすでに予防をしていたし、天后も雪に術をかけて、誰かがその魂たちを利用しようとしたら、彼女に伝わります。」

「じゃあ、戻れるんだね!」

「ええ。帰りましょう。」

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