表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう一度失う  作者: 雨上がり
28/61

十四人目の待ちの朝

少し重みのあるカバンを手にとって、夢瞬は安倍家を片付けてから、外に出た。

一緒に過ごすようになった小さな化け物もついていた。

瞬きの間に、十三人が現れた。

「...!」

「夢瞬!おはよう。」

「おはよう。」

「双児宮の能力なんだ。次の目的地にも連れていってもらうの。」

夢瞬は双児宮の目の前に行って、笑って頷いた。

「そっちが全部の荷物?」

光兎は夢瞬のカバンに指を指して聞く。

「うん。」

「誰かに持ってもらおう...?」

「自分で大丈夫。」

「僕にとって、君の体力はまだ未知数。冒険してはいけない。」

夢瞬のカバンを取って、光兎はそれを隣の少年に預かった。

少年は、若く見えるがとても落ち着いていて、文弱のように見えるのに、力強い感じがする。

「お願いします。金牛宮。」

「はい。」

宝瓶宮が言ったように、すべてのサインは繋がっている。

双魚宮の感情豊かさ故の行動しづらさから、行動力高いが衝動的な白羊宮、そして安定で少し面白み足りない金牛、それからゴロゴロ変わる伝送能力を持つ双児。

「お願いします。双児宮。」

「はっ。」

双児宮は真っ黒な右目を閉じ、そして白く輝く左目を閉じた。再び右目を開いた瞬間、全員が目的地に到着した。

安倍晴明の故居、日本京都の晴明神社。


「ここは...!」

「目的地はこの辺りだが、せっかくなので、参ろうかなと思って。」

「そうだね。」

夢瞬は晴明神社の鳥居を見上げた。

来たことはないのに、なぜか懐かしい気がする。

「夢瞬、来たことある?」

「一度でも。光兎は?」

「何度かだけ。」

「来たことないけど、なんだか、落ち着く。」

「そうか。」

少し肩の力を抜いた夢瞬を見て、光兎も微笑んだ。

「そういえば、今度は一緒にここの晴明祭に来よう。」

「晴明祭?」

「そう。秋分の日にやるの。夢瞬の誕生日も近いでしょ?」

「うん。たしかに。」

「じゃあ一緒に来ない?偉大な祖先様だよ。」

「あまり実感ないんだけど。」

夢瞬は微笑んで、そして隣の小さな橋と彫像に引かれた。

「光兎、それは...?」

「一条戻橋と、安倍晴明様の式神。」

「式神、全然違う。」

「想像ってやつだよ。」


「光兎。」

「うん?」

「君と同じクラスに入る時よりずっと前から、君のことを知ったの。」

「なんで?」

「とある宴会で君と初めて会ったの。そのとき、私のことを安倍夢瞬さんと呼んでくれた。」

「ほう...!」

「嬉しかった。安倍家の付属品ではなく、一人の人間として見てくれること。」

式神に触れて小さな手のひらから、冷たい触感が伝わってきた。夢瞬も少しリラックスできた。

顔は全く違ったはずなのに、安心させる力は同じのようだ。

「安倍晴明様も、このように、心を許せる友人を持っているんのだろうか。」

「あるといいね。」

「いいえ...それはきっと、とても悲しい話だと思う。」

「どうして?」

「光兎は、これらが見えるから、私を受け入れてくれた。」

「夢瞬は、これらが見えるから僕と友達になったわけ?」

光兎の口調から、夢瞬は怒りを感じた。

その上、自分の悪い言い方にも気付いた。

「...いい話だといいな。」

「そうだな。」


「光兎、どうして式神の彫像がここに立つの?」

「噂によると、式神たちは一条戻橋にいて、彼らに話せば、晴明様に伝えるんだって。」

「へぇ...!」

「あと、晴明様の奥さんがあやかしが苦手で、神将たちは橋の下に隠れるんだって。」

「天将だよ。剎華に言われたの。」

「そうか。」

「でも、橋の下に隠れるなんて、彼ららしい。優しい人たちだから。」

「だね。全員と顔合わせたことはないけど、安倍様と君を大事する人たちだと感じた。」

「うん、それだけは疑わなく信じれる。」

夢瞬は式神の彫像を見て、微笑む。

「ところで光兎、どこに行って安倍永望を探せばいいの?」

「安倍様多分死んだと言ったよね?だったら、地獄に行った方が早いかなと思って。」

「ほう...!」

「この一条戻橋ってね、上にいる間だけ、死者が甦るんだって。だから戻橋っていうの。」

「この橋の上に行くってこと?」

「それだと、ただ人間界に戻るだけ。」

「...なるほど。双児宮の力を借りて、橋の上に行くんだね。」

「そう。逆の道を歩くんだ。」

光兎は月将たちを見て、そして神社の入り口を確かめた。

あの人は、現れなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ