十三人目の仲間の朝
剎華の姿を見た瞬間、夢瞬は微笑んだ。
「おはよう。」
「おはよう!」
「先に行こう。光兎、今日は休みだって。」
「そうなの...!病気?」
「ううん、用事あるからって。」
「病気じゃないならよかった。じゃあ行こうか!」
「うん。」
「そういえば、剎華。」
「何?」
「昨日情報を手に入れた。光兎、水瓶座だって。」
「へ...!だったら、もう過ぎたじゃない?」
「だね。来年はちゃんとお祝いしてあげないと。」
「プレゼントを渡すだけじゃ物足りないよね?」
「剎華、プレゼントを用意するつもりなんだ。」
「夢瞬...」
二人は笑い合いながら、学校に入った。
下校時間。
夢瞬を心配している剎華は、星座の本を読んでる夢瞬に声かける。
「また星座の本?」
「うちって、安倍晴明様の子孫でしょ?」
「うん。」
「だから占いとか、そういうの結構身近にいるんだよ。」
「へ...!陰陽師の占い方も知ってるの?」
「あまり知らないけど、何らかの盤を使うとかなんとか...?」
「そうそう、式盤ね。小説から知ったの。」
「小説...剎華が読んでる小説と、私が読んでる本、どっとがおかしいだろうね。」
「根に持つなよ...!」
剎華は夢瞬を抱きしめ、彼女と共に星座の本を読んだ。
「増えた星座?あぁ、蛇使い座だな?」
「そう。黄道十三個目の星座。」
「でも、蛇使い座は占いに使わないよ?」
「そう?なんで?」
「そもそも、天文学の星座と違って、占いに使っているのは座じゃなくて、宮だよ。」
「なるほど...。」
「だったら剎華、なになに星座の性格とかを言ってる時も、座じゃなくて宮なの?」
「厳密に言えば、そうだね。」
「だとすると...十二月将も、蛇使い座さんいないかな?」
「月将...十二天将と対応してるその?」
「そう。」
「黄道十二宮と対応しているから、蛇使い座もいないだろう。」
「へぇ...!」
「あと、よく言われる十二神将は十二月将で、安倍様が使役しているのが十二天将。」
「...!」
「でもよく間違われるから、段々みんな十二月将も知られていなかった。そういえば、十二月将には、黄道十二宮の名前だけでなく、古文っぽい名前もあるらしいよ。」
「...剎華。」
「うん?」
「どうしてそんなに詳しいの?」
「...占いとかにはまった時期があるから、かな。」
「よっぽとはまったみたいだね。剎華がこんなに饒舌になるの、初めて見た。」
夢瞬に嘘が見抜かれたかと思って、ヒヤヒヤした剎華。
土御門の名を継ぐ者、そして霊力を持つ者として、彼女はそれの知識をすべて常識と思い、一生この道を歩めなければならない。
「おかしい...。」
「どうした?安倍夢瞬さん?」
「ねぇあやかし、昨日光兎が言ったよね、誰かを迎えにいくとか。」
「家出した弟?」
「うん。でも、藤原家の霊力を持つ人は、今は彼しかいないらしい。」
「へぇ。」
「十二月将の人じゃないかなと思って、調べてみた。」
「ふむ。」
「十三個目の星座、蛇使い座かと思ったら、占いには使われていないみたい。」
「ふむふむ。」
「だったら、光兎が言ってる、家出した弟って一体誰のことだろう?」
「...いずれにせよ、安倍夢瞬さん、晩御飯を食べないと夜になるぞ。」
小さな化け物は、台所を方を指差した。
「夜になると寝ちゃうから、いつも早めに晩御飯食べてるけど、今はもう大丈夫じゃない?」
「いやいや、今の君なら、夜中に料理なんかすると、他のあやかしに狙われるぞ。」
「なんで?」
「ここは元々、あやかしに好かれる場所なんだ。夜中に火を使うと、更にあやかしを引き寄せる。」
「へぇ...!」
「自覚を持った方がいいと思うけどね。安倍家のお嬢様として。」
「永望がいなくなったら、みんなに捨てられるお嬢様だけど、それでも?」
「それでも!あれ...」
「うん?」
「いや、最近の君...ちょっと...!君気付いたの!?」
「気付いたのって...?あぁ、うん。十の災いの夢で、なんとなく知ってしまった。」
「そうか...それでも、永望を探すのか?」
「うん、それでも。」
夢瞬は笑って、台所に向かう。
心配してる化け物も、ピョコピョコと付いていった。




