八つ目の笑顔の夜
「主役さん、もう眠りの時間か。」
夜になった瞬間、夢瞬はすぐに眠りに落ち、隣にいた天后に寄りかかる。
「老人」を代表する張果老は微笑みながら、不思議な力で毛布を作り、夢瞬にかけた。
「一年一度、こうして会いに来るたび、この子の成長を感じるね。」
サタンは夢瞬の寝顔を見て、優しい笑顔をした。
「安心しろ。彼女が死んだとき、ちゃんと天国に送るよ。そうしたら、君も見て悲しむ必要はない。」
「...!ハーデース!何だその殺風景で悪趣味な冗談は!」
「冗談じゃない。」
真面目なハーデースを見て、サタンも調子が狂ったみたい。
「そういえば、白虎。今回は来たけど、来る意味ないと判明したので、来年からは欠席させてもらう。」
「そんな...!」
「その子まだ14歳だろう。六年後なら来る。」
「成人式は参加するってことだね!」
「はぁ...どうせまた声かけてくれるだろう。せめて六年間くらい僕を放っておけ。」
「...!六合さん!ここの花や草たちは、いつも君たちが世話をしているんですか?」
「はい。青龍と一緒に育てています。」
六合は「貧乏」を代表する藍采和から、子供っぽい錯覚を感じた。
「少し分けてもらっても?僕の花、そろそろ追加しないと。」
「もちろんです。藍さんの花は、術を使う道具ですよね?」
「そう。色々手伝ってくれるの。」
藍采和は、一番新鮮で霊気に溢れている花を摘みながら、微笑んで語る。
「どうして花を?」
「花自体は性別も、順位もなく、どれも美しく、唯一無二だから。」
「...!」
「僕だって、本当は何もしていないよ。ただ相手にそれを教えただけ。」
「...勉強になりました。」
「大げさですよ。君は調和を務む天将、僕の言葉なんてただの戯れ言です。」
「いいえ、争いというのは、お互いを知らないことと、勝手に分類して、決め付けることから生まれるものですから。」
藍采和を見て、六合は少し躊躇ってから、問いかける。
「藍さんからだと、彼女を大事している僕たちも、凡人のように見えるのでしょうか。」
「皆さんが彼女を大事しているのは、その能力か、それとも、その個性のためか。」
「最初は能力。彼女に力がなければ、我々にとって、ただの凡人に過ぎません。」
「ふむ。」
「しかし、彼女と一緒にいる間、少しずつ彼女の個性に惹かれたのも事実です。」
「でしたら、どうして彼女の娘まで大事するのでしょう?」
「それは、彼女の娘だから...」
「僕にとって、永望さんも夢瞬さんも、平等です。君だって、例外じゃない。」
藍采和は見上げて、六合と目が合う。
「すべてが平等で正しいでしたら、それはきっととても辛いことでしょう。誰かを大事することすらできなくなりますから。」
六合を驚かせたのは、藍采和の平淡な口調ではない。
どんな感情も含まれていない目線の方だった。
六合より空っぽな目線、何もない目線だった。
「どうして『貧乏』を代表しているのか、少しわかった気がします。」
「そうか。」
藍采和は優しく微笑んだ。
「今年もお疲れさまでした。」
誕生会が終わったあと、永望は十二天將を見つめて語り出す。
「夢瞬が無事に大きくなれるのは、あなたたちが私の代わりに、そばにいてあげたからです。本当にありがとうございました。」
「永望...」
「私は不老不死になったとはいえ、一人の力じゃ夢瞬を守りきれない場合もあるでしょう。
「あなたたちを頼るしかない場面も、いつか来るかもしれません。
「あの子と、あの人。私がこの世に残る未練は、あの二人だけですから。どうか、代わりに守ってやってください。」
そして、運命的に、あの二人は必ず、ほぼ同じタイミングで死を迎える。
「永望...」
天将たちの中、六合は少し前に出て、永望の目の前に立つ。
「六合?」
「君を、特別な人だと思ってる。それは、君の能力だからだと思う。」
「わかっています。」
「夢瞬さんは能力を持たない、が、僕は必ず彼女を守り抜くと、君に教えたくなった。」
「...ありがとうございます、六合。」
永望は、少し悲しげな笑顔をしながら、手を伸ばし、六合の頬を指先で触る。
温度のない頬と、手のひら。
「私のために、限りのない痛みを背負ってくれて。」
人は、一度死んでしまったら、生き返らせない。
人間にとって、それは辛いことでしょうが、それもいつか死を迎え、辛さから逃げられる。
彼らは、そこから逃げられなかった。ひとつ、ひとつの瞬間から、忘れかけていた思い出と痛みを、何度も思い出すのだろう。




