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もう一度失う  作者: 雨上がり
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八つ目の迷いの朝

紅色の紅葉が舞い降りた、とある日の朝。

夢瞬が目覚めるのを待つために、彼女の隣にいるのは、いつもの勾陣ではなく、太裳だった。

「おはよう。」

「おはよう。寝坊しすぎた?」

「いいえ、ちょうど起きる時間だ。」

「そうか。」

夢瞬はゆっくり起きて、ベッドの端に座る。

今日は、朝でも永望が見える一日。

神々が集まる一日。


「あら、久しぶり。夢瞬ちゃん相変わらずかわいいね。」

「おはようございます、サタンさん。」

「その髪、相変わらず美しいですね。秋にぴったりです。」

「閻魔さん、ありがとうございます。」

微笑んで挨拶している夢瞬を、しばらく外した太裳を除いて、他の天将たちは隣で見守っていた。

「...?玄武、その方は?」

「おお!白虎ってば、本当に彼を誘ったか。あの人がハーデースさんだよ。」

その沈黙な男を見て、夢瞬は少し緊張しながら、前に踏み出す。

「...はじめまして、ハーデースさん。」

「うむ、はじめまして。あと、お誕生日おめでとう。」

「ありがとうございます。」

「白虎から、会いたがってると言われたので来た。なるほど。確かに、秋の気配をしてる人だ。」


ハーデースと軽く話したあと、夢瞬は太裳の声に気付いた。

つまり、あの人が来た。

「お母さん...!」

「夢瞬、お誕生日おめでとう。」

「ありがとうございます!」

「...!ハーデースさんも来てくれたか。」

「はい。白虎が誘ってくれたみたいです。」

「白虎はいつもそういうところで気が利くね。」

「はい。」

永望は微笑んで、ゲストたちの方を見る。

「...そういえば、夢瞬。八仙に挨拶した?」

「八仙ですか?まだありません。」

「彼らは確か、 今年から参加し始めたみたい。さぁ、挨拶しに行こう。」

夢瞬の手を繋ぐ、永望は彼女を連れて、七人の目の前にたどり着く。


「夢瞬、この人たちこそが八仙、すなわち八人の神様です。彼らはそれぞれ、男性、女性、老人、子供、富裕、高貴、貧乏、下賤を代表しています。」

永望は微笑んで紹介し始めた。

「こちらは、『男性』を代表する呂洞賓。」

書生の格好をしてる男子は軽く頷く。

夢瞬も挨拶し返した。

「こちらは、『女性』を代表する何仙姑。」

夢瞬はその、優しい笑顔をする女性を見つめる。

永望とどこかが似てるような気がする。

「こちらは、『老人』を代表する張果老。」

老人は夢瞬に微笑んで、彼の後ろにいる小さなロバも喜んで尻尾を振ってる。

「こちらは、『子供』を代表する韓湘子。そういえば、韓愈さんと会ったことあるよね?彼のお孫さんです。」

韓愈を思い出しながら、夢瞬は頷く。

「こちらは、『富裕』を代表する漢鍾離。」

夢瞬はその男子から、勾陣と似てる気配を感じた。

二人とも、戦場を制する猛者だから。

「こちらは、『高貴』を代表する曹国舅。」

前の人に比べたら、より書生な感じを持つ彼を見て、夢瞬は六合を思い出す。

「こちらは、『貧乏』を代表する藍采和。」

その男子は夢瞬に頷いて、優しいが弱々しくない笑顔をする。

「そして最後は...あれ?李鉄拐さんは?」

永望は周りを見渡したが、その姿を見当たらなかった。


「あら?道に迷いましたが?」

「これは、天将の貴人さんではないか?申し訳ないが、お手洗いに行ったら、帰り道がわからなくなった。」

貴人は優しく微笑んで、白い手を差し出す。

「道を案内させていただきます。李鉄拐さん。」

「これはすまない。」

二人は長い廊下を一緒に歩いた。

少しつまらない途中を、紅葉が飾る。

「ここに来るのは初めてですよね?」

「ええ、夢瞬さんに祝福できる機会がなくて。」

「...李さん。もし間違ったら申し訳ございませんが、この体は、あなた本来の体ではありませんよね?」

「そうだね。俺の魂は帰れるところがないから、この体を借りることになった。」

「それを...それをするためには、どうすればいいのでしょうか?」

李鉄拐は貴人を見て、戸惑う顔をした。

貴人は生きてる人間ではなく、天将だ。体を借りて生き返すなんてする必要はない。

つまり、貴人が生き返せたいのは、自分ではなく...

「...君のような、長い時間を生きてきた天将でさえ手放せないのなら、誰が手放せるのだろうか。」

「二度と...大切な人を失いたくありません。」

「永望さんなら、最後まで寄り添ってあげるのではないか?」

「宝物を手に入れてしまったら、余計欲張ってしまうのでしょうか...彼女の泣き顔を見たくありません。」

「長く生きれる術はいくらでもあるし、体を借りるというのも構わないが...」

「が?」

「そうしたら、あの方はどうする?そのまま縛られてしまうのではないか。」

李鉄拐は貴人を覗いた。

彼女だってきっと、何度もこの問題について悩んだのだろう。

それでも捨てがたいからこそ、本当の願い。

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