六つ目の多忙の夜
「天空、最近は大丈夫ですか?」
永望は答えを知りながら、天空の頭を撫でながら聞き出す。
「大丈夫じゃないよ。十二年一度とはいえ、忙しすぎ。」
「お疲れ様。」
「そういえば、もうすぐ夢瞬さんの誕生日だよね?」
「あと一週か二週くらいですね。」
「白虎には、冥界のやつに挨拶してもらって...秋と冬の交代は僕と天后に任せて、それで...」
「大変そうですね。」
「仕方ない。来年は僕が当番だからな」
天空は永望に懐きながら言う。
「白虎なら、今朝夢瞬さんの質問を待ってたのに、寝てしまったことを悩んでいるけど。」
太陰は天空に寄り添って、彼の髪を撫でていた。
「夢瞬?どんな質問ですか?」
「六道。藤原の坊っちゃんに教えられたみたい。」
「へぇ...藤原家の意図は知らないけど、あの少年のおかげで、夢瞬も少しずつこっちのことを知ってきましたね。」
「ええ。」
「六道ですか...私もあの人も、天道出身ですよね?」
「ええ、そして夢瞬さんも。」
「人道の方がいいですけどね。」
「晴明も同じこと言った。」
天空はふと笑った。
「へぇ...どの時代でも、私たちみたいに生きるって、やっぱりきついですね。」
永望は、悔いのない目で、夜空を眺める。
「今日の任務は?永望。」
「今日はパトロールだけです。」
「わかった。太裳たちは、パトロール任せろと言った。僕は君を付き添う。」
「...わかりました。お願いします、六合。」
永望が立ち上がったと同時に、天将たちはすぐ集まってきた。
「青龍、玄武、朱雀、白虎。」
「はぁ!」
「勾陣。」
「わかった。」
「太陰。」
「了解。」
「太裳、天空、天后、騰蛇、貴人。パトロールは任せます天。」
仕事の配分をした永望は、微笑んで振り向く。
「行きましょう。六合。」
「彼が生きてる間で、藤原家が何かをしたら、君はどうする。」
六合は永望を見つめ、冷たく聞き出す。
「誰にも傷付きません。」
「傷付けなければならなかったら?」
「六合ならわかるはずです。もし彼らが何かをしたら、その理由を。」
「その理由を抹消するつもりかな?」
「生きてる限りですけど。」
「そうしたら、彼が生きる意味はなくなってしまう。」
「しかし、彼は私のためにたくさん犠牲をしてきました。これ以上、彼にとって大事な人を傷付けるわけにはいきません。」
「『その理由』もまた、大事な人だけど。」
「そうかもしれませんね。」
永望は口に指をつけて、それを見た六合はすぐ対話を止めた。
目的地についたから。
「今日もつまんない...」
「逆の方がいいのか?四凶が出てくるとか、そういうのは勘弁したいけど。」
「あんたみたいな固い頭じゃわかんないよ。」
「木将を固いと言ってるあんたは、間違いなく火の鳥だな。」
「鳥じゃない!」
「いつまで喧嘩するつもりか。」
勾陣は、東と南を見守る青龍と朱雀を、無力な目線で見る。
「油に水だったら、どっちかというと、朱雀と玄武が喧嘩してる方が納得できそうだけど?」
「玄武とは喧嘩になれないよ。」
朱雀ははっきりと言う。
「じゃあ喧嘩するな。」
「俺は争いの担当だ。喧嘩しなきゃどうする。」
「よく自信満々にそう言えるね。青龍、少しわかった気がする。」
「おい!」
争い担当の朱雀と、戦闘や弁護担当の勾陣。
喧嘩してる二人を見て、太陰はふっと笑った。
「朱雀ったら、喧嘩になりやすすぎ。」
玄武は朱雀を見て、ため息をした。
「彼の言う通り、あれが彼の仕事なんだからな。仕方ないよ。」
「そういえば太陰、君はもうすぐ当番から下げるんだね。」
「そう!天空に任せたら、フリーに戻れる。」
「天空から天后、それから僕ね。早い。」
「そうだね。十二年、あっという間だもん。」
「永望、そして夢瞬さんのおかげで、こんなふうにおしゃべりができるようになったね。」
「もう寂しくないね。」
「うん。」
太陰と玄武は笑い合った。
そして、懐かしい匂いが漂い始めた。
太裳たちが戻ってきた。
「君たちが帰ってきたなら、ちょっと出掛けてくる。」
白虎は西側の屋根から飛び降りて、貴人に告ぐ。
「誕生日の準備を?」
「うん。サタンと閻魔は毎年来てるからともかく、今年はハーデースに誘ってみようと思ってる。」
「ほう...夢瞬さんのため?」
「そのような言葉をもらったことはないが、ハーデースまで来てくれたら、彼女も喜ぶだろうと思って。」
「六道は?」
「毎日忙しすぎて死にそうだから、多分無理。」
死者を六道に渡すシーンを思い出した白虎は、誘っても意味ないと感じた。
「やってみるよ。少なくとも、成年の時は必ず来てもらうんだから。」
「ふふ、そうだね。」
貴人は微笑んで、白虎を送り出した。




