六つ目の黙りの朝
「光兎、おはよう。」
「おはよう!」
光兎は夢瞬に寄って、夢瞬も隣を開けた。
「もうすぐ二年生だね。」
「そうだね。」
「同じクラスだったらいいな。」
「友達に祈ってもらうよ。」
「十二天将?」
「そう。」
「それは頼もしい...!」
「光兎のうちにもこういう仕事でしょ?何か祈りの儀式とかないの?」
「ないよ。あるとしても、安倍家には及ばないよ。」
夢瞬はちらっと光兎を覗いた。
「そうか。」
「そういえば、十二天将の天后さん、元気かな?」
「元気だのも、元気ないのも、ないんじゃないかな。」
「それはそうか。」
「天后は私に優しいから、それで君を助けたのだと思うから、気にするな。」
「だとしても、きちんとお礼を言わないと。」
「あの人たちは昼間で、夢瞬の世話をしてるよね?」
「うん。」
「安倍様は、未だに昼間では起きれないの?」
「うん?どういう意味?」
夢瞬の記憶によると、母は一度でも昼間では起きていなかった。
「...いや、なんでもない。安倍様は、吸血鬼の血のせいで、こうなったのよね?」
「うん。」
「夜中でしか出歩けないって、大変そう。」
「それだけだから、そこまで大変じゃないかも。」
「え?そうなの?てっきりルールとか多いと思った。」
「例えば?」
「誘われていないと家に入らないとか、ニンニクと銀には触れないとか、神がいる場所には近付けないとか。」
「それは安倍晴明様の血のおかげで、相殺したと思う。」
「すごいね。」
「うん。すごい人だ」
夢瞬は笑って、光兎も微笑んだ。
「そうだ。天将を扱えるってことは、安倍様は神寄りだよね?冥界は?」
「さあ、聞いたことない。」
「冥界も操れるのなら、最強の存在になれるかも。」
「冥界を干渉...白虎みたいに、病と死亡を管理するって、干渉とは言えないの?」
「言えないじゃない?白虎さんの担当は、死ぬあとより、死ぬ前だと思う。。」
「そうか。冥界を干渉できる人は誰なの?」
「西だったらサタンかハーデース、東だったら六道か、閻魔かな。」
「...?」
戸惑ってる夢瞬を見て、光兎はふと笑った。
「こういうの知らない?」
「サタンと閻魔なら、顔を合わせたことがあるから、知ってるけど...」
「顔を合わせた?」
今度は光兎が戸惑った。
「誕生日のときは、祝ってくれるの。」
「わぁう...」
「ハーデースさんなら、聞いたことはあるけど、誕生日パーティーに来てくれなさそう。」
「それは、冥界から出たくないと思う。それに、安倍様もいるし...」
「そうか。なるほど。じゃあ六道は?」
「それなら、白虎さんに聞いた方が早いと思うよね。」
光兎は、夢瞬の後ろに立ってる白虎を覗いた、微笑んだ。
「ただいま。」
家に戻った夢瞬は、ソファに座ってる白虎を見かけた。
寝てるけど。
「白虎...?」
「疲れてるだろう。」
太陰は急に現して、夢瞬に言う。
「最近って忙しい?」
「秋と冬に入る時期になると、白虎の仕事量が増えるんだ。死者出るからな。」
「...每年?」
「うん。夢瞬さんは気にするな。何千年も続いたことだし、私たちもすでに慣れた。でも白虎って、体弱いから、体力配分しても倒れたりはする。」
「今日...今日は光兎と、六道の話をしたので、白虎に聞いたかったけど。」
「あぁ...」
太陰は微笑んだ。
ついさき、夢瞬に聞かれるのを待ちたいと、白虎が言った。
「...でも、白虎にとってじゃ、めんどくさい仕事なだけで、話をしてくれないかな。」
「そんなことないよ。私も夢瞬さんに、年末きついーと文句を言いたがってる。」
「本当?」
「本当。」
「...じゃあまた今度で聞こうかな。今は寝かせてあげる。」
「...さすが天道出身だね。」
「うん?」
「気質を見れば、前世のことを大抵わかるんだ。」
「そうなの!?」
「永望みたいに、何かを背負う者はもちろん、夢瞬さんも天道出身なんだ。」
「私は、お母さんみたいじゃないけど。」
夢瞬は苦笑いをした。
「責任っていうのも、明らかに感じられるものばかりではない。君もいつかそう感じるはず。」
「...?」
「永望には、天道出身のひとりの友達がある。彼の功績は恐らく一生人々に知られず、そのまま静かな死を迎えるのだろう。」
「それでも、責任を背負ってると言えるのか?」
「もちろん。彼は、人類を救ったんだから。」
「すごい人だね...」
彼こそが、君にとって一番大事な男。
太陰は微笑んで、何も言わなかった。




