傭兵村9
優秀なお互いの副官のおかげで、最悪の事態は未だに起きてはいない、そもそも喧嘩している場合ではない。国境向こう、といっても直接お隣ではないが、かなり大規模な戦争が起こっているそうで、戦争特需にあやかろうと、同盟やらなんやら無視で横流ししたり、家名を上げるチャンスと張り切った貴族様やらで、傭兵村はバブル状態。それを聞きつけて、傭兵も集まって来て、両陣営ともに人数が増えた為、ぶつかれば村ごと無くなってしまう。
そして、稼ぎ時なのは盗賊達も一緒なようで、人数も増加して質も上がっている。今までなら6人もいれば襲ってこなかったのだが、道沿いに簡易な砦を作ったり、傭兵村直前まで追ってくるなど、いつ村ごと落とされてもおかしくない状況となっており、護衛に人を出すにも慎重にならざるえない。村には護衛待ちとなった、商人やら貴族様があぶれ、酒場の親父は昔に軍が使っていた建物を華麗にリフォームして高級娼館に改造、このドサクサに紛れて荒稼ぎしている。
カルの解除については、あまり進んでいない、戦争のせいで水晶の仕入れが困難となり、値段も跳ね上がった。なにより、俺もカルも一日意識を飛ばせるほどの時間がとれない。そして時間をとられるのが、向こう陣営との調整だ、稼ぐ為には護衛に出したいが村の防衛にも人が必要、簡易砦落とすにもどちらがどれくらい人をだすのか等々、酒場の親父さんがほぼ引退状態となったので毎回の様にもめる。傭兵達のほとんどは、どっちでもいいからさっさとやってしまえが本音で、大小の喧嘩は日常となっており、ケラも俺も護衛無しでは宿からでられない。
毎日正午から行われる会合も、その日はカルがゴリ押ししたおかげで、ケラはえらく機嫌が悪かった。腕利きの幹部があつまる会合では、余裕を見せあう為に、軽くからかったりするのはいつもの事だった。カルが酒をとりにいき、ケラの服をけなしながらもどってきた時に、つまづいてケラに酒をかけてしまう。ケラは腰の棍棒で、カルの腹をうちぬき、カルはカウンターの向こうまで飛ばされる。
「ヒロ! やめだやめ、こんなお遊びやってられるか。ここでは、俺が王だ! あのペットも含めて、全て俺のもんだ! 今ここで、切り刻んでやるよ。」
すぐに、酒場のホールは剣を抜いた傭兵達の輪が出来上がる、こんなことをしている場合ではない、わかっている。戦力が減れば、盗賊達が攻め込んでくるだろう、これは盗賊の仕掛けた罠なのかもしれない、それでも、うずくまっているカルを見ると引き返えせるほど冷静ではいられない。
剣を床に落とし、ケラに手招きする。眉間にしわを寄せて、デカい剣を得意の下段に構える。もしかしたら、素手の戦いに持ち込めると思ったのだが、そんなに、上手くはいかない。
「ケラトーニ、拳でやれ。」
それは、奴の副官であるルグラートの声だった。すぐに、囲んだ傭兵達からも、ケラをけなす声が続き、やつは剣を捨て、拳をかまえる。
魔力の蓄積量がおおいからといっても、肌を鋼に変えられるわけじゃない。奴の拳は、頭に響き、きっちりと痛みも感じる。魔力採取での激痛を経験してなければ、意識が飛んでいたかもしれない。もうどれくらい、やつに殴られたのかもわからない、手練れが集まる傭兵村一番の剣の使い手が、素手の戦いは苦手でした、なんて都合よくいくはずもない。素早く長いリーチのジャブに、大剣使いに似合わず軽いステップ、俺の頭はパンチボールのようによく弾む。考えなくても、俺はボクシングなんてやったことないし、試合も見た事のない素人以下の存在だった。
それでも、立っていられるのは、やはり死にたくないという欲求からなのか、カルやチームを守りたいという気持ちなのかわからない。目が腫れてきたのか、視界がせばまり、やつのジャブも子供のビンタぐらいに慣れた。それでも、やつが力まかせにうってこないのは、視界にとらえて、拳を構えているからだろう。
休憩のゴングは鳴らない、奴も流石に疲れが見える。拳を下げると、奴は腹もうってくる、散々なぐられた頭は、どうやら腹の痛みを受け付けないようだ。ただ茫然と立っている俺に、奴はなにか言っているようだが、よく聞こえない。
当たりどころが逆に良かったのか少し意識がしっかりしてきて、手にも力が入る。近づいてきた奴の片足を踏んで、腹に拳を打ち込む。落ちて来たあごに、拳を振り上げると、奴の首から上は消えた。
起きると、月明かりで手に十字の印が浮かぶ、力なく下を向いていても、ここがドクターの洋館であるとわかる。体中の痛みは、ボクシングの物ではなく、憶えのある魔力採取のものだ。カルは無事だろうか、いつものように箱につかる姿をみて、安心する。近づいて首輪を確認すると、二本の黄色い線が見える、思ったよりも時間がかかっているが、これが取れる日も遠くない。最初の時のように、回復ついでに解除もしたのか。
そして、手術着だろうか、浴衣のような薄い濡れた生地の向こうには、胸がある。
「大丈夫じゃ、まだ育つじゃろ。」
「うわ、ドクター。あの、これ。」
「いい形じゃ、ワシの物だったら、ここで止めておくのも考慮にいれねばならん。」
「……そうじゃなくて。性別変更とかも出来たりするんですか?」
「ほうほう、それは新しい発想じゃな、だれか研究してたりするのか?」
「そうじゃなくて。カルに頼まれて、女に変えたのかって事です。」
「なに言っとるんじゃ、この子は最初から女じゃ。」
「はい?」
「お前さんの趣味で、男の格好させておったのじゃないのか?」
「そんなわけないでしょ。食べたり触ったりすると性別変わったりする物とか、魔法とか無いんですか?」
「聞いた事はないが、服や仮面だけでは足りんのか?」
「そ、そうですね、足りない場合は、なにかあります?」
「知らんな。」
「そうですか、いったいいつから……。」
「本気でこの子が男だと思っておったのか? 7カン付けられてから外見に変化はなかったはずじゃぞ、どう見れば男に見えるのじゃ。」
「確かに。」
首から上を見ても、女の子にしか見えない。そして、その顔は今朝見た顔と同じだ、頭殴られ過ぎておかしくなったのだろうか、今日の事は全て夢か? いや、こっち来てから見ないし、無かった事にするには、シャツが赤すぎる、だれか変えてくれてもよかったのに。カル以外で、そんな気の回るやつはいない。
「目が腐っとるのがわかったら、客の相手をしてやれ、ずっと待っとるぞ。」
指示された部屋に行くと、ルグラートが待っていた。
「ヒロ、大丈夫なのか?」
「あぁ、助かったよ。……それで、なんで協力を?」
「最近のケラトーニのやつは、手がつけられなくてな。あんたらと組んで護衛に行った時のように、子供にも手をだすようになってな。他の事でも止めに入ると暴れるんでな、全体の不満を抑えるのも限界にきてたんだよ。」
「そりゃ、大変だな。」
「決め手は、カルに町にいる娘の事がバレてな、自分の娘に手をだされたらどうする? って言われてな、少し前から準備してたんだよ。」
「そうか、俺は聞いてなかったけど。」
「意外と顔にでるからな、カルがお前に言わなくても行けるってな。素手なら楽勝って聞いてたから、長引いてあせったよ。」
「悪かったな、弓以外は素人だ。」
「そうだな、とりあず村の傭兵は全て黒弓に入る、俺の事はどうする?」
「手伝ってくれるんじゃないのか?」
「本気か? カルもそう言うだろうとは、言っていたが。見せしめに吊るさなくていいのか?」
「戦争じゃあるまいし、人手不足は知ってるだろう。別に絶対忠誠なんて言わないし、嫌になったら抜けて構わない、とりあえず今の騒ぎが収まるまででも、協力してくれないか?」
「わかった、知ってたが本当に面白いやつだな。明日の夜にでも、幹部つれて挨拶にいくよ、いろいろと決めないとな、カルは大丈夫なのか?」
「あぁ、ドクターには高い金払ってるから。」
「そうか。」
「なぁ、カルが女だって知ってたのか?」
「あぁ。」
「もしかして、みんな知ってたのか?」
「気づいてないやつも、少しはいるかもしれんが、ヒロの横顔見るときは、女の顔になるからほとんど気づいてたんじゃないか。」
「……どんなんだよ。」
「隠し通す度胸があるくせに、ばれたら殺されるかもっていつも心配してたよ、そんなわけないとは思ってたけどな。」
「そんな事しないけど、明日からどうすれば。俺、男だと思って女の口説き方とか、調子にのってしゃべっちまったよ。」
「ほんと、面白いやつだな。そこは手伝えないから、自分で頼むよ、そんじゃ明日。」
カルの所へ戻ると、まだ箱の中で眠っている。どう見ても女の子にしか見えない、いままでは、りりしく見えていた顔の傷が痛々しい。これに目がいっていて気がつかなかったのだろうか、女のほほに刀傷などつけないと、勝手な常識で逃げていたのか……、そんなゲスはこの世界には嫌というほどいるというのに。
しかし、ボロ宿の風呂をなおしたころ、一緒に入ったような気がする、まだ解除が間に合うと思っていなかったころ、残り3年という現実から目を背けて、カルの事を見ていなかったのかもしれない。
最近では、自分の部屋のように使っている客間で横になる。明日から、カルとどうやって接していけばいいのだろうか、美少年が美少女に変わっただけ、……そんな簡単にはいかないよな。
寝付けずに、横になったまま窓から見える星空を眺める。少し音がして、白い着物の女がドアの前に立っている、夏場お約束のあの人のナレーションが脳内に流れる、俺は幽霊の類は見えたことがないが、かなり苦手だ。
近づいてくると、カルだとわかる。そうか、いつもは髪を後ろで束ねていたから、解くとこんな幽霊みたいになるわけか。流石に手術着は新しい物に変えたようだが、髪はまだ少し濡れてうつむいている、元気にこられても困るが、その格好ではやめてほしい。
ベッド脇まで来ると、両ひざをつき、下を向く。
「ご主人様、お話が……。」
それは、そうだろうが、その呼び方にもどるのか、ため息がでる。ベッド脇に座り、今朝まで有能な少年だと思っていた、少女を見下ろす。
「なんで、男のふりなんか。」
「それは、最初にお会いした時、野郎と呼ばれて……。男達の相手をさせられる日々も終わると、とっさに嘘を……。」
「もう一年近くも一緒にいて、まだ俺がそんな奴だと思うのか?」
「そんなわけ! ……ありません。もし女だと知られたら、ララ様の元へ送られると。」
「……そうだな、ララは知ってるのか?」
「はい、その最初から……私に乱暴しないようにと、ご自身が……。」
「まじか、俺はとんだゲスやろうだな……。」
「いえ、そんな、最初だけです。館に着いた頃には、ここに帰さないように、地下牢に監禁するか真剣に悩んでましたし……。」
「本当にやりそうで怖い。」
「その……本当の話を聞いていただいても……。」
「聞くよ。」
「……私は、小国の王である父の元に生まれました。国は鉱山もなく、土地も肥沃とは言えず、近隣の国と比べれば見劣りする国でした。その為、争い事から距離を置き、平和な日々を送っていました。しかし、私がまだ小さい頃に母が亡くなり、葬儀となったのですが、隣接する国ですら使者も出さないなど、礼を欠いた対応に、母を溺愛していた父は怒り、蓄えを投げ出し兵を増やし同盟国を脅して、隣国へ攻め込みました。所詮小国が少し兵を増やしただけ、本来であれば返り討ちになるはずでした。父は、同盟国兵士や農民を捨て駒やおとりとして使い、兄と精鋭を連れて敵本陣に突撃して敵王を討ち取ります。」
「すごい親父さんだな。」
「えぇ、当時は美談として語られていましたが、戦と割り切っても犠牲が多すぎました。それでも、奇跡的な勝利で一躍有名人となった父はもう私や兄の意見も聞きません、反論した同盟国である王の首をはねるなど、暴走は止まらず。近隣諸国との戦を繰り返し、私と宰相は膨らむ戦費をまかなう為に国民に重い税をかけ、国は疲弊していきました。父と兄が戦死したと報告を受けた時は、もう何年も二人に会っていなかっと気づくほど日々の仕事に追われていて、もう何もしなくていいと私は宮殿に籠りました。宰相は兵をまとめ上げて、宮殿を陥落、王族はもちろん私の友人その家族も含め粛清されました。」
「あっさり裏切るか、酷い宰相だな。」
「そうではないのです。数日後、宰相は城門を開いて敵対していた連合軍の王達を迎えいれます。その代表は、かつての同盟国でもあり、私の婚約者でもあった若い王でした。宰相は、私以外の王族はもういないこと、この国には賠償できるほどの財宝は残っていない事、私を奴隷として売れば莫大な金が手に入ること、全ての責任はは王を止められなかった自分にあると言って、その場で自分の部下に首を……。国民を考えての行動だったのです、国を裏切ったのは私達のほうでしたから。」
「そんな父親じゃ逆らえないだろ。」
「そんな言い訳はとても出来ません。飢えに苦しむ町へ、食料を送る事もできないほど困窮していて、他にも酷い事を。……その頃の私は、償いきれない罪の重さに何も考えられなくなっていて、町を出るとき投げられた石が当たっても痛みも感じなかった。私を競り落としたのは、調味料などの売買で財をなした、豪商に近い貴族で、正確には私に一目ぼれしたという私より少し年下のその息子でした。彼らの宮殿での暮らしは、王女だった時よりも贅沢で彼らは私に触れる事も無く優しかった。しかし、私を引き取った事は知れ渡って、当然のように貸し出せと圧力をかけられるようになり。危険を感じた息子は、私を宮殿から連れ出し、街道を避け山道を進み、野営している所を盗賊に襲われました。彼は、殺されて、私は盗賊達に……。砦に連れていかれ、首輪を改造されて競りにかけられ、荷物持ちと男達の相手をさせられ、飽きるとまた競りにかけられる……。」
「逃げようとは、思わなかったのか?」
「毎日のように、殴られて、逆らった子は、魔物のいる穴に落とされて、食われるさまを見ていろと言われる。殺されないようにするだけで精一杯で、逃げるなんて考えられなくなる。それに、私は、常に罪の意識に押しつぶされそうになって。寝られるずにいるときに、蹴とばされて股を開けと言われて、ほっとするほど、私には痛みや苦痛が必要で……。」
そう言うと、カルは虚ろな目で立ち上がり、まとっていた布を落とす。
「ご主人様、どうぞあなたの奴隷に、股を開けとおっしゃてください、側に置いていただけるなら、どんな事でもします。」
立ち上がって、カルのほほを勢いよく叩く。
「痛みがほしいとか、自分だけ満足してんじゃねーよ! しっかりしろよ、黒弓の副官だろうが、お前がここまででかくしたんだ、最後まで責任もてよ。」
カルは、力なく床に座る。
「カル、俺が殺した盗賊は、千を超える。ルグラートみたいに娘がいるやつもいただろう、入ったばかりの新人もいたかもしれない。殺される覚悟なんて無い奴がほとんどだ、そいつらは殺すと罪になるのか? 逃げたり、降伏するやつを殺したら罪になるのか? それを、誰が決める? いってみろ!」
「……わからない。」
「神とか言わないだけましか。人は自分で選ぶんだ、戦うか、逃げるか、何もしないか、助けを求めるか、見ない振りをするか。恐怖や、欲求から選んだとしても、自分で選んだ事だ。逃げない、逆らわない、これも同じだ、選んだ事の責任は、選んだ奴がとればいい。暴君に逆らえずに、つらい生活を送ってるなんて、おかしいだろう。そいつを祭り上げてるのは、その国の国民だろ。そいつらは、逆らえなかったと、他国に攻め込んで人を殺したらどうだ、罪はないか? 殺すのも、死ぬのも、そいつらが選んだ事の結果だ、他人が何年も背負うもんじゃない。」
「そんな、強引……。」
「確かにな、人に理解してもらおうなんて思わないし、ほとんど無理だと思う。だけどなカル、お前は俺の奴隷だろ、理解しなくても、同意しろ。引き受けた時に俺が知らなくても、お前は、その罪も含めて俺のものだ。俺が首輪を外すと言えば、全て俺が許すってことだ。」
「無茶な……。」
「なんでもするんだろ。言えよ、理解しなくても?」
「理解しなくても、同意します!」
「それでいい、夢の中では、みんなポチポチ同意してるからな。」
「わかりかねます……。」
「それで、その傷は?」
「反応がないと、散々なぐられて、その後剣で。」
「ドクターなら消せそうだな。」
「ご主人様、私なんかの為に止めてください、傷を消すには莫大な金額が……。」
「その口調もどせよ、あと、様、も無し。」
「……ヒロ、流石に様ぐらいは?」
「いままでのがほうが、無理があったろう。」
「それで、私は、これからどうすれば……。」
「今まで通りに、相棒かな。」
「……そうですか。」
「なに、俺が奴隷にならないとダメ?」
「そんなわけないじゃないですか! ……これからは、私も部屋に呼んでもらえると思っても?」
「誰も呼んでないし! 勝手来るだけだから……お前は無理かな、首輪が重い。」
「解除した後は、ヒロの女として側に置いてくれます?」
「王女様だろうが、無理言ってんじゃねーよ。」
「元ですよ、様は無しっていったじゃないですか。」
「いきなり女っぽい声になってんじゃねーよ、頭ついていかないから。」
「今迄、必死に隠してきたんです! 私の為に、魔力採取なんて、死んじゃったら……。」
いいかけて、カルは泣き出す。軽く頭をなでて、抱きしめる。
「知ってたのか。」
「耳はいいんです、ドクターの腕が良くても、危険なんですから。他から入手できるまで、解除を延ばしてもいいですから。」
「あと2回ぐらい、なんとかなるだろう。数は今日が一番多かったみたいだしな、棍棒の損傷はかなり使うらしい。」
「あれは失敗しましたね、剣で切りかかってくると思ったんですが、棍棒とは思わなくて。」
「あれって、わざと避けなかったのか。」
「そうですね。ヒロが決闘する流れになるには、私が重症のふりをするのが一番かと。棍棒すごいですね、一撃で声もでなくなりました。」
「笑いごとじゃないぞ、俺が挑発に応じなかったらどうするつもりだったんだ。」
「その時は、ルグラートさんはじめあちらの幹部さん達が捕縛する事に。」
「おい、だったらあの殴り合いは要らなかったんじゃないのか?」
「……まぁ、確かに。まさかヒロがあんなに素手で苦戦するとは思わなくて。」
「お前、見てたのか?」
「聞いてただけです、終わるまで動かさないように頼んでましたので。」
「無茶するな。」
「全て予定通りにはいきませんよ、光の巫女じゃないんですから。」
「なにそれ?」
「未来が見えるとかって言う、教会の最強兵器です。」
「すごいな、預言者みたいのか。」
「そうですね、でも、巫女が勝つって言えば、敵が諦める、みたいのもあるので、実際の所はよくわからない、会っても直接の話はできないし、顔も見せてもらえないから。なのに、すごいお金とるし。」
「そこまでみんなが信じてるなら、影響力もすごいだろうな。カルって、俺ほどじゃないけど、教会嫌いよね?」
「嫌いってわけじゃないけど、あの人達は負けそうになると商人より先に逃げるから。教会が逃げ出したから負けるのか微妙だけど、それに首輪付けたのも教会だし、すこし怖い? ぐらいかな。」
「なんか聞いてると、教会ってその国とか領主に付いてるかんじだよね、総本山みたいのはないの?」
「あるよ、南のほうにね。でも、それぞれで土地の権力者にべったりだね、大筋でそれなければ、何してもいい感じかな。」
「まぁ、そんなもんか。」
「ヒロ、さっきから全裸の女の子が抱きついてるのに、なんでそんなに冷静なの?」
「確かに、俺も不思議なぐらい、まだ男の子って認識なのかも。」
「……それ、いつまで続くの?」
「さぁ?」
「……だったら、今日は一緒に寝てもいい?」
「子供か? 他にも部屋あるだろうが。」
「あの箱につかってると、けっこう冷えるんだよー。」
「風呂入ってこいよ。」
「もうちょっと優しくしてよ。私がんばってるでしょう?」
「わかった、今日だけだぞ。」
「やった!」
確かに不思議な感覚だ、カルは絵にかいたような美少女だし、スタイルもかなりいいほう。見ていると頭をなでたくなるのだが、なぜかそれ以上は考えられないし、反応しない。本人に言ったら怒りそうだが、猫と一緒だ。




