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夢者  作者: 高島 良
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盗賊狩り16

 まだ少しだけ指が傷む、中指の人差し指側に入れてもらったレッドテイルの入れ墨のせいだ。本来、団の戦士は右腕に入れ墨をいれるのだが、協力者は指に入れてお互いを確認するのだそうだ。こんな小さな印なのに、なぜか誇らしい、入社式で社員章をもらったときは社畜の印だと言っていたのに、人は変わっていくものだ。


 初めて参加した敵のアジトは、小さいが高い壁に囲まれた城、何年も前に廃城となっていたが、数年まえから盗賊達が使っている、たぶん元からある地下牢が使い勝手がいいのだろう。門は廃城らしく壊れていて開けっ放しだが、やる気のない見張りが二人立っており、入口はそこしかない。身軽な数人が壁を登り、あとは正面から一気に攻め込む、俺の役目は壁の上の見張りと、門の見張りを倒すこと。事前の調査では常時80人以上の盗賊がいるが、実際はやってみなければわからない。規模的には2班200人で攻める規模だが、かなりの数の女性がここへ送られたとの情報があり、危険を承知で作戦決行となった。もちろん俺が参加する為、人数不足を補えると判断されたようだが、ノルマはどれくらいなんだろうか。


 深夜予定通り目的の城についたが、小高い丘の上に建っており、下からだと壁の上の見張りが、ほとんど見えない。作戦を変更し、壁を登る人数を増やす。壁の上の制圧が完了し、メイルの合図で門の見張りを倒す。しかしこれは、失敗だった、見張りの交代の時間に当たってしまったようで、二人門に向かって走ってくる。メイルからの合図で、その二人も倒すが、一発は首をかすって城の奥へと飛んでいく。騒ぎになっているようだが、中の様子はわからない。しばらくすると、5人ほど出て来て死体を確認して何かいっているが、内容まではわからない。真ん中の一人を倒すと、隠れていた団のメンバーが混乱した残りを倒して、城の中になだれ込んでいく。しばらく金属のぶつかる音と、断末魔が続き、やがて静かになる。メイルの合図で、俺も城に入る。

 団のメンバーに囲まれて、フルプレートの大男だろうか剣を振り回しているが、手練れの先輩達はそれをよけて遊んでいる。俺に気が付いてメイルが近づいてくる。


「ヒロー、あれどうだ、魔力の通った鉄板だ、試してみるか?」


 なるほど、確かに団のメンバーでは検証出来ない。うなずいて、矢を構えると、左右に団員が割れる。警戒されてるが、味方の居るところでそんな魔力の込めた矢は撃たない。矢で狙われていると気が付いたのか、こちらへ走ってくる、よくそんな物着て走れるもんだと思ったが、そんなに早くはない。慎重に狙って兜に当てると、矢は跳ね返り、大男は派手に後ろ向きにころぶ。しかし、すぐに立ち上がる、それをみて先輩達は俺にブーイング、一発で仕留めろーなどと叫んでいる、ランの推察通りならば、次は貫けるはず。血でつなぎ魔力を矢に送り、すこしためて矢をはなつ。兜とその中身が半分吹き飛び後ろへ倒れる。静まりかえり、やり過ぎたかと思ったが、勝利だ!! とメイルが叫び、みなもその後に続く、ヒナに手をとられ、俺も拳を上げる。勝どきの叫び声がこだまする、これは癖になりそうな快感だ。


 その後も、三つのアジトを落とし死亡ゼロでメイル隊は順調な戦果を上げていたが、勝ちが続いて油断していたのだろう、あっさりと伸びた鼻を折られる。

 次の目標となる敵のアジトを確認する為に、護衛二人と山道を登っていたところ、突然右側から振り子でつられた丸太が接近してきた、数メートル飛ばされ立ち上がる事も出来ないところへ、走ってきた盗賊達に切り刻まれ、胸に剣が突き刺さるところで意識が切れた。


 目が覚めた時には町の教会の一室で、数週間前に団が預けていったのだと神父が教えてくれた。幸いな事に、襲われた時にヒナは交代でいなかった、俺をここまで運んだのなら、メイル隊やヒナは無事なのだろう。胸には大きな傷が残っているが、もう治りかけている、心臓をそれたのか、それとも心臓を貫かれたぐらいでは死なないのか、生き残ったなら団に合流したいが、手順は聞いていない。団のアジトは本拠地しか知らないし、戻るにはかなりの移動距離になる、神父のすすめで待つ事にする。

 教会はかなりの大きさで、俺は住み込みの庭師見習いとの仮の身分で団からの連絡を待った。三ヵ月が経過していつものように、午後の休憩をしていると、初老の神父が走ってくる。隠れなさいと言われ、荷物をもって地下室に行き身をひそめる。ヒロはどこだと、すごむ声が聞こえ、神父が知らないと追い返そうと説得していたが、その声は突然止まる。かなりの時間足音と荷物を倒す音がつづき、その音が止まると、焦げた匂いと共に狭い地下室には煙が立ち込める、天井を押してみるが何か乗っているようで、びくともせず、ゆっくりと息が苦しくなっていく。

 

 炭の味が口に広がる、焼けても死なないのかと思ったが、周りの小物や梯子は残っている。登るとそこにあったはずの教会の建物と、綺麗な庭も、黒い木炭となっていた。生き残りを捜索していた町の青年に発見され、彼の家に招かれる。俺を探して町に来た盗賊達は、教会に火をつけ逃げていったのだそうだ。

 なぜ盗賊が俺の居場所を知っていたのだろうか、団の誰かが俺を売ったか、拷問されてしゃべったか? 考えても分からない、今手がかりがありそうなのは、本拠地しかない、距離があるが向かうしかない、青年に荷馬車を手配してもらい、町を後にする、俺をかばって何人死んだのか、一人での旅は後悔と不安が繰り返し襲ってくる。

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