盗賊狩り11
抱き枕の様に、がっちり抱きつかれて寝るのも最初は窮屈だったが、慣れると落ち着く。毎朝ヒナに起されるのも日課だったのだが、起きるとヒナはいない。遠征といっても、町に入る前と変わらない、怪我人がいないので、移動中はひたすら筋トレで時間をつぶす。
夕方には野営の準備をして、アンとみなの食事の準備をする、ヒナは離れた場所で剣の稽古をしている。そして先輩達の対応がかなり改善した、おかしな敬語を使う人もいれば、いままでは無かった手伝いを申し出たりする。
「ランさん、みんなの反応がおかしいです。」
「山を吹き飛ばせば、そりゃ気をつかうだろう。」
「山なんて吹き飛ばしてないでしょう!」
「あそこにいなかったメンバーには、山を吹き飛ばして大河を発生させたって噂が広まってるらしい。」
「なんでそこまで誤差がでるんですか、噂ってひどいですね。」
「これも実験だ、どれぐらいまで大きくしても信じるか試してみたんだが、もう少しいけたかもしれない。」
「なに俺で実験してるんですか。」
「おまえのためだ! 町でおまえを目撃したと噂になった場合、それを消す為には上回る噂を広める必要があるわけだが、どのていどまで大きくすればいいかは、実験してみなければわからんだろうが!」
「言い切ってるけど、半分あそんでるだけでしょ。」
「面白いのは事実だ、みなの驚いた顔が実に面白い。ヒナの焦っていじらしい顔なんか、特に。」
「なんでヒナが出てくるんです。彼女の表情なんて冷静なパターン以外見た事ないですよ。確かに今日は、距離感じますけども。」
「わかってないなぁ、拾った子犬を可愛がって育てたら、実はこの世を滅ぼす魔王だったわけだし。」
「滅ぼさないですから、そもそも剣が使えない事はみんな知ってるじゃないですか、俺にしてみたら先輩達のほうがよっぽど怖いですよ。」
「真面目な話、守ってあげたい対象が、実はとんでもなく強かったら、対応に困るだろう。お前だって、ヒナがお前を守るって宣言したとき、きゅんとしただろう。」
「……確かに、したかな。あれは、もう恋人っていうか、漢だな。」
「ヒナに言うなよ。」
「はい。」
「ヒロ、これも反発だな、一度離れて、さらに深く近づく。私の自信作のポーションいるか? 持久力がアップしてなんと朝まで30センチ……。」
「結構です!!」




