盗賊狩り6
3日が経過した朝、ヒナは立ち上がり大きな剣を振り回して、なまった体がほぐれると嬉しそうだ。しかし、すこしあどけない顔だが、立ち上がると俺より少し背が高く大剣を振り回すその腕はたくましい。あんなのに殴られて数発は意識があっただけでも、よく耐えたと自分をほめてやりたい。
「ランさん、ヒナちゃん元気に剣振り回してましたけど、しばらく療養じゃなかったんですか?」
「若い子は治りが早くていいよね。」
「嘘だったんですね。」
「何日で治るかなんて、ぴったり分かるか、予想の一番長い日を言っとけば、早く治って良かったって事になって、誰も困らないだろうが。」
「確かに、それで町へはあとどれくらいで着くんですか?」
「明日の昼頃には着くんじゃないかな、なになに、ヒナちゃんと別れ話をネタに最後までいくか、やるなー色男。」
「本当にだたの、エロ親父にしか見えない時たまにありますよね。」
「そんな事言っていいのか? ラン様特性の筋肉増量薬が欲しくないのか?」
「あからさまに怪しい……けど、今日使うわけじゃないんですが、もしかしたら今後必要になる時がくるかもしれないので、ランさんの素晴らしい研究にいくらぐらい援助させていただければ、一つ分けていただけるのしょうか?」
「わかったきたじゃない、女たらし。」
もちろん、ヒナちゃんを押し倒す為ではない、いまだに持ち上がらない木箱を背負って逃げる為だ、どれくらいの時間効くのか、反動はあるのかなど聞きたいことは、いっぱいあるが、ぼろが出そうなのでやめておく。
昼の休憩時に、ちょっと派手な女性が馬で合流する、ランが団長だと教えてくれた、話すことは無いだろうが、失礼の無いようにと釘をさす、俺自身はおとなしくしていた……と思うのだが。
夜になり、団員達は明日は町だー、ベッドで寝れるー、男を抱けるー、などと海賊船の船員のようにもりあがっている、盗賊よりもたちが悪いかもしれない。
町にいる男達には悪いが、俺には好都合だ。テントを抜け出し、荷馬車までいって剣をさして木箱を背負う、どうやら薬は効いているようだ、走れるほど回復していないが、歩く程度なら問題ない。見張りは3人、いつも通りなら、時間を置いて時計回りに移動する、タイミングを逃さなければ森までいける。
荷馬車を降りて歩き出すと、その陰から槍を持った団員が二人現れる、一人はヒナちゃんだ。言い訳する間もなく、槍の柄が腹にめり込む、息が止まり地面に倒れる。両脇を抱えられて、荷物の様にはこばれる。大きなテントに運ばれ、地面に倒される、正面には団長、その左右にはメイルとランが椅子に座っている。目の前に木箱が置かれ、団長が低い声で開けろと一言呟く、低い迫力のある声だ。メイルもランも目線があっても、何も反応しない、言い訳や冗談が言える状況ではなさそうだ。
木箱を開けると、矢と分解した弓が固定してある、団長はそれをゆっくりと眺めると、視線を俺にもどす。
「たまには髭を剃ったらどうだ、メイル、ヒナ、剃ってやれ。」
「あの……。」
俺の言葉を遮るように、団長が、暴れるようなら、下の毛も剃ってやれと指示をだす。押さえつけられて、ひげが少しずつ剃られていく、最後に剃ったのはいつの事だろう、アンにそってもらったのが最後のかもしれない。ひげをそった顔を満足そうに見つめ、団長が立ち上がり近づいてくる、背も肩幅もかなり大きい、膝をついて肩を押さえられた状態だからか、女性にこんな迫力を感じたのは初めてかもしれない。
「会いたかったぞ、ヒロ。」




