盗賊狩り3
目隠ししていても、すこし顔が下を向くだけで、色っぽさが増す。目のやり場にこまる、相手に見えていないと分かっても、目をそらしてしまうのはなぜなんだろう。しばらく下を向いていたが、首を回して何か探す動作だが、目隠ししてるから見えないはず。
「ねぇ、まだそこにいるの?」
「はい、いますよ。」
「とりあえず、目隠しとってくれないかな?」
「は、はい。」
何を素直に聞いてるんだと、思いながらも後ろに回る。手枷やばい、何しても抵抗できない女性が目の前に! 寸前で思いとどまり、目隠しに巻いてある黒い布をほどこうとしたのだが……。
「ごめん、ちょっと指が上手く動かなくて、ほどけない……です。」
「そうか、じゃ手枷取って。」
「そ、それはもっと無理かも。」
「じゃ、このままでいいや。」
「そうですか。」
「早くしようよ。」
「な、なんて?」
「だからぁー、聞いたでしょう、私は町に着いたら首にロープ巻かれて吊られるの。みんな私を見て、盗みや殺しはやめとこうって、ほんの一時だけ善人になるのよ。だからぁ、男とするのはこれで最後なわけよ、別に喜ばせてくれなんて言わないし、あんたの好きにしていいよ。」
「ごめん、無理。」
「さっきから、無理無理って、最後の頼みぐらい聞いてやろうって気ないの。」
「ごめん、やっぱり、無理。」
「なに、男の方がいい人?」
「そんなことはないです。」
「ふーん、なのに全裸の女がなにしてもいいって言ってるのに、そんなに私の筋肉がいやなわけ?」
「そんなことないです、すごくきれいです。とっても魅力的だし、色っぽいです。」
「じゃ、なんでって話になるよね!」
なぜ俺は、全裸で手枷の女性にすごまれているのだろうか。確かにおかしい、いつもなら俺は誘惑への抵抗値はゼロに近い、誘惑というかすでに脅迫に近い状態なのだが。
「ごめん、その、俺にはどうしても会いたい人がいて、その、迎えに行くと約束してるので。」
とりあえずシャツを脱いで、彼女にかける。余計に色っぽいが、見なければ大丈夫。
「ありがと、なんかそんな人には見えなかった、目隠しされてるから見えないけど。まぁ、いいや、腕枕して、それぐらいならいいでしょ。」
はいと、返事をして横になり、彼女の頭をそっと腕に乗せる。しまった、現在全身の筋肉が低下しており、腕も例外ではない。向こうにいた時もそうだが、貧弱な男子にはかなり腕に負担がかかる、しかも途中で痛いからやめていい? などと絶対に言えない! 矛盾だ、腕枕して、などと言われると嬉しいが、それは苦痛に耐える時間の始まりの為、出来れば回避したい。
「あの、なんでこっち向きなんですか?」
「あぁー、だって手枷されてるから、逆向きだと、ほら、触っちゃいそうだし。」
「なるほど。」
「その人に、また会えるといいな。」
「はい。」
自分の返事がやけにしっかりしていて驚く。町に着いて最後になるのは、俺の方が早いかもしれないのに。
「ちょっと、痛い。」
「ごめん、ちょっと挟んだ。」
背中から聞こえる声で目を覚ます、どうやらランと昨日の女性のようだ。
「満足ですか、副長。」
「何もなかった……。」
「そりゃあんな言い方じゃ。」
「聞いてたの?」
「最初だけ、ほら早く服きてください。」
「あれ、彼が服かけてくれたのに、あ、あったあった。」
「それで、上着きてないんですか。客人に風邪ひかせたらどうするんですか。」
ふいに首筋を触られ、思わず体が反応する。
「あ、起きてた?」
「は、はい、えっと、どういう事なのでしょうか?」
「これは、うちの副長のメイル。」
「メイルです、よろしく。」
そういって、笑顔で敬礼する、目隠しが無い方が美人さんだ。
「よろしく、お願いします。」
「君が問題のある人間かどうか確認するための試験を実施したのだよ、君は合格だ!」
「団長帰ってきたら、報告するからね。」
「ラン止めて、お願い。こないだ言ってた、高い水晶買ってもいいから、ね、ね。」
そんなやり取りをしながら、二人はテントを出ていく、とりあえずセクハラホットラインは、何番だろう。




