魔獣ハンターとして28
目が覚めるとだいぶ日が高い、窓を開け外を見ると、女性陣が汗を流して畑仕事をしている。サオリが気が付いて笑顔で手を振る、昨日もそうだったけど、普通の作業着なのだ、なのだがそれをまったく感じさせない輝きがある、むしろ不自然な感じすらある。そして、俺は部屋からでられない、昨日はきちんと確認しなかったが、園児サイズのちびっこ4人は全員女の子、姪って言ってたしね、全裸ではトイレの往復すら緊張する。
することもなく、ベッドに横になっていると、ドアの外からちっこい子供の声でごはんできたよー、と掛け声が聞こえる。お昼ご飯も付くのか、ありがたい、だが部屋からでられない。服がないんだよーと返すと、大丈夫、大丈夫と、サオリと同じ返事が返ってきて、ドアがあき、ちびっこが流れ込んでくる。急いで、シーツをまいて下半身を隠す。
「ちょっと、いきなり入ってくるなって。」
「大丈夫、大丈夫、お父さんの見てるから。」
「そういう問題じゃない。」
「そうそう、大丈夫、大丈夫、朝見たし。」
なんだろう、園児どもにセクハラを受ける、責任者でてこーい。と思っていると、私の男だー手をだすなーと冗談っぽくサオリが入ってくる、きゃーと可愛い声をあげながら、ちび達はでていく、なんともほほえましい。
「ごはんですよー、もう昼ですよー」
「分かってますが、服がないのですが?」
「我が家では、屋内は全裸で過ごします。」
「嘘つけ!」
「だめか…ごめん、忘れてた、今とってくるね。」
そう言うと油断した俺のほほにキスをして、ニコニコしながら部屋を出ていく。どうしよう、たった一日でもう、完全陥落です。
久々に洗濯してもらった服で、昼食を女性陣と食べ、町の中心部へとくりだす。きのう足早に通り過ぎた町だが、確かにさびれている、そんな表現がしっくりくる。メイン通りも半分ほどしか店はやっておらず、広い通りの割に人通りがすくない、他でもこんな町は見たが、だいぶさみしい方だろう。酒場の2階から手を振るおねーさん達の誘惑をかわして、適当な店に入り、買い物をして情報を得る。サオリの言った通り、来た町へ戻る荷馬車以外はほとんど無い。三日ほどでたどり着くその町には、俺の手配書片手に怪しい男のフードを剥ぎ取ってまわる賞金稼ぎがいる。この町へ来たのも、行き先を確認している余裕が無かったからだ。近くの村からくる荷馬車も往復のみで、その先はない。長くいれば、情もうつるし迷惑をかける、分かっているのだが。
そらが夕焼けにそまる定宿への帰り道、家の前でおかえりーと手をふるサオリの笑顔に手をふってかえす、俺はこの町から離れる決断ができない気がする。
一回すると、三日は痛くて出来ないと、我ながら恥ずかしい言い訳で、別の部屋を用意してもらう。もちろんサオリの命を気にしてだが、昼どこに行ってたのかなぁーと睨まれる。用意してもらった部屋は、かなり綺麗に掃除されている、それを指摘するとから笑いで逃げていく。
翌日は、朝からちび達が朝ご飯たべろーと起こしにやってくる。ちび達にサオリがメロメロになったのもわかる気がする、この笑顔では何されても許してしまいそうになる。
「ヒロ、これ何入ってるの?」
不思議そうに、胸ポケットをつついてくる、これは誰だろう、名前が覚えられないし、ほとんどちび達の見分けがつかない。
「これ、昨日町で見かけて、女性陣に。」
昨日、店で話を聞くのにとりあえず買うものもないので、髪飾りを買ったのだが。ちょっと子供っぽかったかなと不安に思ったのだが、喜んでもらえたようだ。とくにサオリは、可愛すぎてほんとうにやばい、押し倒してしまいそう。それよりも、女性陣と言ったのに、入っていなかったちび達の怒りはすさまじく、可愛い抗議に抵抗できず、結局4色の小さな花の髪飾りを買いに行く事になってしまった。する事もないのでちょうどいい、髪飾りを買って町をぶらついていると、陽気なおじさんが声をかけて来て、こないだ来た旅の人だろう、新しい剣でも買っていかないかと。どこの町でもこの手の売り込みはある、リンゴでも売るように武器を売る、そんな世界なのだ、いままでいかに平和な世界で暮らしていたのかと、考えさせられる。
口が固いなら、作ってほしいものがあると言うと、目をそらさずにうなずく。本当は、弓の予備もほしいのだが、重力無視で飛んでいく矢は、練習で撃っていてもたまに無くす。それに、魔力を込めて矢を撃つと、木の部分が傷むようで数本折ってしまっていた。本当ならアルミ円筒の初心者用の矢がほしいところだが、持ち歩くのに少し重い程度なら丈夫なほうがいい、すべて鉄の矢を作ってもらう。羽も省略すれば、いまの倍以上は担いでいる木箱に入る。店主は、厄介な注文にも楽しそうにうなずき、2日と前金があれば、100本は作ってやると嬉しそうに答える、とりあえず20本を頼み前金と口止め料を渡す。満足そうな顔から、代金は足りただろう。
帰ると目を丸くして待ち構えるちび達に、髪飾りをつける。飛びあがって喜ぶちび達をみて口元がゆるむ、歳のせいだろうか。すべて色違いにしたので、明日からは見分けがつくと思ったのだが、翌日には、かえっこしたーと色が入れ替わっており、あっさり作戦は失敗に終わる。
部屋の扉にロープをまいて固定して、イメージだけでもと弓を引いていると、お風呂はいらないのーと色っぽいお誘いがあるが、今日はいいと断ると、ドアを蹴りやぶる勢いで叩いてくるが、明日おぼてなさいよと捨て台詞をはいて帰っていく。使い方がおかしいし、間三日の予定だったが……あれアンも三日置き、間二日だったかな。




