魔獣ハンターとして26
なんだろう、向こうの世界でもエッチなお店は高級店と言われるようとこに行ったことはない、酔った後突撃して女の子はおまかせーと告げるのみ、かなり高火力の地雷を踏んだり、見た目は美人だが対応は心が折れそうな冷たい対応だったりして、その後指名したいと思うことは一度も無かったのだが。サオリはやばい、本当に俺の恋人なんじゃないかと勘違いしてしまいそうだ、追手がいなければ金が尽きるまでこの町から離れられそうもない、歯止めをかけてくれる手配書にちょっと感謝すらしている。
しかも、薄明りではっきりとは見えないが……。
「泣いてる?」
「あ!」
「ごめん、油断して声に……。」
「暗いから、手を持っていかなければバレないと思ったけど、無理……だったね。」
「なんか俺むちゃして、しまったり?」
「そうじゃない、大丈夫、大丈夫。なんていうか、優しかったから、お金払ってする相手だからって、男の人は結構ひどい事もするから。それに、最初の人、今思えば優しかったなって。」
「ほうほう!」
「なんだろうなぁ、なんか一番食いつきがいいんですけど。」
「すまん、そのネタはみんな好きなんだ。」
「だよね……。ながーい話聞く?」
「要点だけでいいぞ、ボタン外すとこからは詳しくね。」
「聞くなら、ちゃんと聞け。」
「わかった、わかった。」
「私は、……この町で生まれたの。若い頃はまだ、今よりか少しは栄えてて、荷馬車隊も頻繁に来て酒場も賑わってた。子供は、入っちゃだめだって言われてたけど、たまに見える中の女の人達は綺麗な服をきて、アクセサリーを付けて、お化粧して、町の女の子達の憧れだった。彼女達がどうやって稼いでるかなんて、……知らなかった。若い女の子の興味なんて、おしゃれと男の子、私は近くの村からたまに親の手伝いについている、すこし年上の子が好きだった。でもライバルが多くて、友達に酒場に行って、綺麗なおねーさんに髪飾りをもらって、おしゃれしようって誘われて、夜に家を抜け出して酒場に入った。酒場は子供には別世界だった、綺麗な服で踊って歌う大人の女性に圧倒された、でもすぐに腕をつかまれた、見た事もない大きな男で腰には大きな刀、片腕だけでも私より大きいと思えるほどで、怖くて言葉もでなかった。何を言われているのかもわからず、私は素直にうなずいて、二階の部屋に連れていかれた。事が終わって、初めて涙が止まらなくなった、大男は慌てて頭をなでて、かなりのお金を置いてでていった。私は、ベッドの上で声を殺して泣き続け、そのまま眠ってしまった。昼過ぎに起きて、お金をポケットに入れて酒場をでると、町の男の子達が、俺の相手もしてくれと声をかけてくる、家まで逃げ帰ったけど、お父さんに殴られ、家から追い出され。行く先は、酒場しかなかった。」
「したくない話を無理にしなくても……。」
「誰かに聞いてほしかったのよ……。まだ13だった、それから酒場から外にはでなかった。朝から晩まで家の手伝いをしていたのに、毎日昼まで寝て、綺麗な服にお化粧、染まっていくのに時間はかからなかった。店の外の事は、ほとんど気にならなくなった、唯一心が動いたのは、好きだった男の子が、私を酒場に行こうと誘った友達と結婚したって話を聞いたときぐらい。」
「それって、騙されたってこと?」
「たぶんそう……なんだと思う、彼女は酒場には入らなかった、その後も会ってないし噂もきかないから、実際のとこはよくわからない。でも、それを聞いた時に不思議に憎いとか思わなかった、そこまでしてでもその人が欲しかった友達をすごいと思った。私は、たぶん必死じゃなかったの。それにね、私はだいぶ良かった方なの、子供の頃から背も高いほうだったし、その時は魔力安定してた。そうじゃないのに、まだ子供なのに男に迫られたりして命を落とす子、結構いるのよ。だから、酒場にいた方が安全だったのかもしれない。私って、すごい美人で可愛い子だったから。」
「自分で言うか……、なんか大事なとこ隠してるよね。」
「13の女の子がボタン外すとこの詳細?」
「いや、さすがに若すぎ、ちょっと引く。そこじゃなくて、今は家族といるじゃない?」
「そうだね、それは義姉さんのおかげ。結婚式にいかなかったけど、3年前のお父さんのお葬式は変装してこっそり参加したの、兄さんと出口で見張ってて、いつでも帰ってこいって、言ってくれて。……帰らなかったけど。」
「素直に帰れよ。」
「そんな簡単じゃないって、一晩仕事すれば一週間以上何もしなくても、好きなご飯作ってもらえるんだよ。一日中働く仕事が出来るかどうか、自信がなかったのよ。」
「結局家に帰るんだろ、若い子にも負けないぐらい稼いでたのに。」
「……バレてたのか意外とするどい……、荷馬車隊の数も減って、旅費を稼いだ子は大きな町に移っていったけど、私はそこまで必死ではなかった、この町を出るのが怖かった。今でも誘ってくれた男についていったら、どんな生活してたんだろうって思うけど。そんな勇気は私にはなかった。」
「必死さの無さにかけては、俺も変わらないなぁ。ほんとはどこかで、のんびり暮らしたい。」
「木こりしますか? 兄さん喜ぶよ。」
「……そのまえに、絶対に片付かない問題をね、なんとかしないと。」
「それは、大変そう。」
「……いやいや、まだ家に帰ってきえないぞ。」
「そうだった。最近は昼の酒場なんて、誰もいなくてね、義姉さんが姪っ子連れてよく会いにきてくれてたんだ。あんなちっこいのに、満面の笑みでねーちゃんとか呼ばれて抱き着かれたら、もうメロメロでね。私は、かなりの量の避妊薬のんだから、自分の子供はもうあきらめててね。自分が何を捨てたのか気づいちゃったんだよね、ある日あの子らが帰ったあとしばらくして、涙が止まらなくなってね。4人目が生まれるって聞いて、お母さんに土下座して帰ってきたのです。」
「すごいな、映画一本できそう。」
「エイガ?」
「いや、なんでもない。」
「ヒロ、まだ嘘ついてもバレないと思ってる?」
「嘘はついてないと……。」
「……夢者なの?」
「う……、はい。」
「それで、追われているの?」
「2割ぐらいは、そうかも。」
「要点だけ!」
「……、簡単に言うなら、偉い人の奥様の愛人生活してたのに浮気がばれて、手配書が……。」
「簡潔にゲスですな。」
「いや、まだいれて無かったからね。」
「そういう問題?」
「違うね。目怖いし、いや、まてまて、恋人プレイをそんなリアルにしなくていい……よ。」
「プレイとか言うな! 私だって、好きでやってるわけじゃないのよ、でももう染みついちゃってるのよ。一人だと男の温もりがほしくなるのよ、そんな体になっちゃってるのよ……。」
「ごめん、そんなつもりじゃ。」
「どうかな! いまのセリフすごいでしょ、もっかい出来るぐらいにムラムラくるでしょ?」
「いたずらっ子か?」
「他には、何が好き、叩いたり、叩かれたり、縛ったり? あ、今反応した、そうか縛るの好きかぁ。」
「縛るのも、縛られるのも、ちょっとつらいこと思い出すから、カンベンしてください。」
「そっか、ねぇヒロ、私の事好き?」
「またいたずらか?」
「違うよ、お店の子らとね、男の人は、たくさんの男に抱かれたエッチな女の子とするのはすごく好きだけど、恋人にするなら清楚なほうがいい。女の子は酒場で女を買うような男は恋人にしたくないけど、酒場にくる男は女を買うよねー。ずっと恋人なんて出来ないんじゃない? っていう話を飽きもせず、ずーっとしてるの。そうするとね、不意に好きだとか言われるとグラグラしちゃうから、先にこっちから聞くんだよー。ねぇ、ヒロ、私の事好き?」
「なぜネタバラシしてから、もっかい聞く?」
「アハハ、ヒロ、かわいいね。もう寝よう、したくなったら起こしていいからね。」
どういうことなんだろう、言葉の真意がわからぬまま、腕枕で満足そうに眠る彼女を見て、いやいやそんな、などと自問自答しながら夜が更けていく。分かっていることは、露天風呂のような床の固い場所での運動は股関節にダメージをあたえると言うことだ、忘れないようにメモしておこう。




