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夢者  作者: 高島 良
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魔獣ハンターとして24

 いくつかの町を渡り、やっと自分の似顔絵が無い酒場を発見。ついにあの傭兵のおっさんから伝授された技を確認すると時がやってくる。

 まずはカウンターではなく、店の壁に近いテーブルに座る。そして真横を通る自分のタイプの女の子に飲み物をたのむ、金額を言われるので、倍以上の金を渡す。すると、お酒を持って来てくれたときに、小声で金額が提示される、かもしれないらしい。

 なんてややこしいシステム、しかもお金払うって、娼館とかと一緒では? と思ったのだが、そっちの店は簡単には入れない、貴族や地元の大物商人に連れて行ってもらわないと、入口を通ることができない。

 奴隷商に金を渡せば、一晩同じ檻に入れてくれるらしいがコストも質も下がる、運が悪ければ檻からだしてもらえない可能性もあるらしく、おすすめしないとのこと。

 

 そしてテーブルに座ったのだが、誰も来ない。ファミレスや居酒屋なら、すいませーんなどと呼ぶとこだが、ここで呼んだら負けだ。宿屋にお持ち帰りするため、と言っても大抵酒場と一緒か併設なのだが部屋にご同行いただくためには、のんびりお酒を飲んではいけないらしい。

 そしてこのシステム、女性陣にも選択権がかなりある、らしい。この客は無理って人の近くは歩かない、チップをもらい過ぎたら返すなどなど、男性側の心が折れる設計となっている。

 たまに女性と目があったりするが、びみょうに距離をとられる、そんなに目が血走っているのだろうか。もうあきらめて、カウンターに移ろうと席を立とうとすると、肩に手を置かれ椅子に戻される。


「せっかく粘ったのに、あきらめちゃうの?」

「はい?」


 声をかけてきた女性は、水商売のおねーさんっぽさが無い、普通のOLっぽい感じだ同じ世代だろうか、他の女の人に比べて服装もとてもおとなしい、歳は同じぐらいか。しかしスタイルの良さは逆に際立つ、足の長さも、胸の大きさもそこだけ見れば、さらにすばらしい女性はホールにいるのだが、やはりバランスなのだろうか黄金比というやつなのだろうか。なにより、ニコっとした自然な笑顔がすばらしい、毎度のことだが軽い笑顔で心をもっていかれるやつなのです俺ってば。


「ごめんね、注文にもこないで、ここって常連がほとんどだから、ちょっと怖かったのよ。」

「そうなんだ、いや、ごめんなさい、知らなくて。」

「いいんですよ、まぁちょっと目的が、顔に出すぎかなぁ。」

「も、目的……。」

「だれか、お目当ての子がいるなら、おねーさんが聞いてきてあげようか?」


 そう言って指をさした先をみると、二十歳ぐらいの女の子だろうか、3人ほどカウンターの中から手を振っている。


「若いなぁ。」

「おにーさん、わがままいって、断る言い訳かな? それとも、私がいい?」

「……あぁ、うん。」


 冗談を言い余裕のあった表情が、一瞬驚きに変わり少し照れたように目をそらす、かわいい……。


「いい……ですよ、あの子らに後で怒られるけど。いいや、いこ。」


 そういって手をひっぱる、荷物を持って立ち上がり、引かれるまま出口についていく。彼女がカウンターの店主だろうか、なにか指さすと酒瓶が飛んでくる、さっと受け取りまた笑顔をみせる、かっこいい、俺が女でも惚れてしまいそうだ。そして、店主の後ろから女性達が睨んでいる……。


「ちょっと歩くけど、私の家でいい?」

「いい、……いやいや、大丈夫なの?」

「大丈夫、大丈夫。だって宿とってないでしょ?」

「いや、そうだけど、着いてすぐさっきの酒場入ったから。」

「まぁ、ここ小さい町だから、酒場の二階しかちゃんとした宿ないしね。」

「なるほど、それで手配書……、いやなんでもない。おねーさんちどこかな?」

「サオリね、よろしく。ちょっとまだ見えないかな。」

「おぉ和風な名前だ、覚えやすい!」

「ちょっと何いってるか分からないけど、覚えてね。」

「サオリさん、えっと、なにかルールを破ったりしてないか、気になってるんだけど。」

「さんはいらないかな、ルールっていうか、横取りしちゃったみたいな、知らないお客さんだから、行っても声かけられなかったらショックだし、むちゃする人もいるしでみんな近寄れなかったのよ、何よりお客さんちょっと怖かったし。」

「それは、どのへんがなの?」

「どこってわけじゃないんだけど、ちょとね目が合った時お尻が締まる感じかな、目が合わなくてもなんか怖いって、みんな言ってたね。」

「もう少し……、何を変えればいいんだろう。」

「大丈夫、大丈夫、最初ちょっとだけだから。それで、誰が行くって話でもめてたから、私が聞いてきてあげるって、ほんとに私でよかったの?」

「なんで、一番タイプだと思う……けど。」

「お世辞でも、……ちょとうれしい、最近言われないっていうか、誰も誘ってもくれないし。」

「そうなのか?」

「そうだよ、ここらって元々女のほうが多いのよ、戦争やらでオスが減った上に、近くの村から若い子らが酒場にくるから。私なんて、今日みたいに近くでお祭りあって人が少ないーって時ぐらいしかホールに入れてもらえないのよ。」

「すごい、羨ましい町だな。」

「初めて来た旅の人とかは、そう言ってくれるんだけどね。ちょっとうちらがっつきすぎらしくて、大抵次は、別ルートにするみたい。大丈夫、大丈夫、今日はちゃんと、控えめにする、おしとやかに、大丈夫、大丈夫。」


 口癖なのだろうが、もうなにが大丈夫なのかさっぱりわからない。しばらく行くと、ただでさえ少なかった家がへり、進行方向には大きなログハウス風の家が見えてくる、いやさっきまであった家とサイズは一緒だが、一人で住むには大きすぎる、なにより明かりが付いている窓が複数ある。


「あそこ、だよね? 一人ですんでるの?」

「母親と、兄夫婦とその子供4人だよ。」

「いや、まって、それは、えぇー!」

「大丈夫、大丈夫、普段と違うほうが楽しいでしょ?」

「それは、確かに新鮮……なのか?」


 ちょっと抵抗しようにも、意外と引っ張る力が強い、こんな客引きいたら普通なら逮捕される。しかし、たまに見せるちょっと照れた表情に、本気で抵抗する力もだいぶ控えめとなり。豪快に家のなかに押し込まれる。


「ただいまー、晩御飯一人追加でお願いしまーす。はい、名前!」

「あ、ヒロです。」


 むちゃぶりに、思わず名乗ってしまう。すでに食事中の食卓の席に、かなり強引に押し込まれる。


「おー、ねーちゃんやるー。すげー。」


 お宝見つけて鼻高々にポーズを決めるサオリと、それを勝算する家族達、子供はまだ園児サイズだが叔母を尊敬のまなざしでみている。理解に苦しむ状況のまま夕食に突入、賞金首を追っているというテンプレで乗り切り、後は聞き役にてっする。

 家族唯一の男であるサオリの兄は、木こりをしているらしく、仕事に困っているならぜひ一緒にやろうと誘ってくる、賞金稼ぎだと説明しても……人の話はあまり聞かないタイプらしい。サオリ他の女性陣は、畑仕事と空きがあれば町中心部にある店舗等の手伝いをしているらしい、本当はいらない情報だが、ここ数か月で初めて町に来た人間はいないらしい。サオリが言った通り、ここ一体は昔から女性の出世率が高く、逆に男性がおおい地域へ嫁にいったり、婿をもらったりするらしい、魔物討伐等でオスが減りここ数年は過疎化が進んでいるそうだ。少しお酒の回ったサオリはヒロと一緒に旅でちゃおうかなぁなどと言いながら、酔っているのか目元が色っぽい。

 食事が終わり、サオリと俺を残しみなさっさと部屋に引き上げていく、テーブルには酒瓶とグラスが二つ、会話が止まり、お酒の消費スピードが増す。


「……ヒロ、お風呂入る……よね?」

「そ、そうだね。」

「じゃ、用意してくるねー。」


 そういって、サオリは奥へと消えていく。広いリビングに一人残されると、ちょっと寂しい。かなり強引だが家族のように迎えてもらえるのは、ありがたい。だがしかし、村をでてからさっぱり女性とそんな事がなかった飢えた狼だとしても、流石に無理だろう。嫁の家族と同居って、こんな感じなんだろうか、世のマスオさん達に最大限の尊敬を送ります!

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